第2話 大掃除
「それで掃除って何をすればいいんです?」
「えーと、ねぇ。じゃあまず部屋に散らかってる物を片付けて貰おうかな。ちょっと来て。」
アルテミアさんに連れられて今いる部屋を出て隣の部屋に案内された。
「ここだよ〜。」
アルテミアさんの体が目の前にあって下の辺りがよく見えないがパッと見るとそれなりにお洒落な部屋だ。これならすぐに掃除も終わるだろう…。
「じゃ、よろしくね〜。」
彼女がそっとその場からどくとごっちゃりと散らばった道具の山が現れた。
「おぉう…。」
思わず自分の口から嗚咽が漏れ絶句した。
部屋の上部は少し小洒落ている分より一層何故こんなに貯め込んでしまったのだろうかと思わざるを得ない。
まず空き瓶やら食べ物のパッケージ そして紙屑やら埃やら…数えたらキリが無いくらいにゴミが一部に押し込められている。
「これ…全部ですか?」
「うん、そだよ〜。」
アルテミアさんはどこからか持ってきたマスク&ゴム手袋&大型ビニール袋を僕の手にポンと渡してきた。
取り敢えずゴミ掃除装備一式を着たものの…この量のゴミ相手には気が滅入る。
だが、やるしかない。今この作業をしないでいてアルテミアさんに追い出されたら記憶も名前も無い僕は本当に行き場を無くす…。
それだけは避けねばならない!
頑張れ…自分!!!!
〜
終わりなき悠久の時を経てこの部屋の小型ゴミは全て片付いた。
あとは掃除している時に見つけた何か大切そうで捨てていいのか怪しい物が何個か残っているのでそれらを確認して処理する。
そんなこんなでアルテミアさんを呼ぼうとした時…この部屋のドアが開いた。
「お〜随分片付いたね、おつかれさん。」
「えと…先生?これは捨てていいんですかね?」
僕がアルテミアさんに見せたのは『三人の魔法使い』という本だ。本革のブックカバーがあり見た感じかなり綺麗だったので捨てずに確認を取る事にした物の一つだ。
「懐かしいなぁ。この本はね…私が恩師から始めてもらった本なのさ。話すと長くなるが…」
〜
「…という訳ですごく大切にしていたんだけれど無くしちゃって困っていたんだ。見つけてくれてありがとうね。」
すっっごく長い。
この話を要約するとアルテミアさんが魔法使いになりたての時の師匠から貰った本で思い出の一品という事らしい。
それにしても長い、無くすまでのプロセスがひたすらに長かった。
「はぁ…。」
思わずため息が漏れ疲労感が溜まった僕に対して労いの意味があるのか分からないけれど僕の肩をポンと叩くアルテミアさん。
「一旦休憩にしましょうか、君が頑張って掃除をしている間に少しお菓子を作っていたの一緒に食べましょ?」
「それもそうですね。」
そして僕らはこの魔の部屋から出て、最初の部屋に戻った。
「さぁ、適当に座っておいて。今からお菓子を持ってくるからね」
「分かりました。」
そしてしばらく待つとアルテミアさんの手にはお菓子とは呼べない…奇妙な肉片やらの集合体があった。
「おまたせ〜。さぁ召し上がれ」
どうやら本当の地獄はここからの様だ。
一日で二本やってみました。無事指が破裂したので明日からは一つずつやろうと思います。