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魔法使いの行方  作者: 腐れミカン
学院編
18/75

第18話 ゆっくりと




フラムが去った後この荒れ切った屋上で僕は一人で空を眺めていた、雲一つ無く綺麗な青色が満開ないい天気。


今さっきもし死んでしまっていたらこの綺麗な空を見る事さえ叶わなかったと思うとなんだか感慨深い。


そんな風に雰囲気を楽しんでいたら屋上のドアがバタンと開かれて誰かが出てきた。


「そこの人 大丈夫…ですか?」


こちらに呼びかけてきたその人物は茶髪で目元が隠れている少女だった。


服装は整っていて優等生っぽく見える。


「えっと貴方は?」


僕が聞き返すと目隠れ少女は手でスカートを押さえながら答えた。


「私は…この学院の会長のマリアです。屋上で爆発があったと報告を…聞いて来たんです。貴方はその爆発に関係している人なのですか?」


やはり優等生だったか…。


それとなんか不思議な喋り方をする人だ、割と綺麗な声なのに所々で詰まるからより一層ミステリアスな雰囲気がある。


「僕はこの学院に転入する事になったアリスタです。それとその爆発は恐らくあの炎の事だと思うんだけれど。」


少女はそっとこちらを確認しながら少しずつ近づいてきた。その様子はまるで小さな子リスの様で可愛らしい


「本当…ですか?」


こちらを伺う様に首を傾げるマリア今さっきよりも近くにいて僕とそろそろぶつかりそうだ。


「うん。本当だよ今さっき殺されかけた僕が言うんだから間違いないよ!」


僕がそう答えたら彼女は驚いた素振りをこちらに見せた。


「なんで…殺されかけたんですか?」


当然の疑問だけど正直訳が分からない状態で戦いに巻き込まれた感じだからどう言えばいいか悩んで少ししてから正直に答えた。


「いや、僕にも分からないよ。フラムって人が勝手に因縁付けてきただけだからね。」


指を顎に当てて名探偵が考え事をする様な素振りをしたマリア。


「なる…ほど。また…フラムさん絡みですか。」


「またってもしかして?」


彼女は指をピシッとこちらに向けて指した。


「前科…アリです。」


「やっぱりかぁ。」


なんだかすぐに納得した。フラムは出会ったばかりの僕を焼き殺そうとする少し…いやかなりクレイジーな少女だ。


間違いなく昔から僕以外の人に対して攻撃的だったに違いない。


「取り敢えず…アリスタさんに怪我が無くて良かった…です。前の人は…大火傷を負って集中治療室に運ばれました。」


さらっと衝撃的な言葉が彼女の口から漏れた。どうやら僕の前の被害者は大火傷を負って死にかけてしまったらしい。


少し間違っていたら僕も大火傷を負ってしまっていたかもしれないと思うとゾッとした。


僕はまだフラムに殺されかけただけで済んだのだから多分相当な幸運の持ち主なのかもしれない。


「そうだったんですか。そういえばマリア会長が屋上に来たのは聞き込みの為ですか?」


「うん…それともう一つ。フラムさんが壊した…校舎を直しにきました。」


「えっ、これを直せるんですか?」


周りはまる焦げで真っ黒になった所や今でも少し残った炎が燃えていたりと散々なこの場所を直すことが出来るなんて凄いな。


なんて事を考えていたらマリアは準備を終えたらしくこちらに親指をグッと立てて少し微笑み答える。


いつの間にか書かれていた紋章が煌めき黒焦げだった場所は元の色に戻っていて。


屋上に残っていた炎は消えてその場所も綺麗に直っていた。


「終わりました…これで元通りです。」


「凄いまるで新品みたいだ!」


僕がそう言うと彼女は少し微笑んで応えた。


「私の魔法は主に鉱物を司る魔法。フラムさんが壊した部分を…私の魔法で作った鉱物で補ったのです。」


「なるほど凄い魔法ですね。」


鉱物を作り出す能力…フラムや緋色君もそうだけれどこの学院の生徒たちは皆色んな魔法を使っているみたいだ。


改めて彼女の方を見ると少し頬を赤らめていた。


「えへへ…褒められると嬉しいのです。」


少し照れたのか顔を俯ける素振り見せたマリアが余りにも魅力的だったので僕まで恥ずかしくなり目を背けてしまった。


今改めて考えると目の前にいるのはこの学院の会長で可愛らしい少女のマリア。


ダスト校長からはフラムに案内してもらえと言われたがもう焼け死にはごめんだ!


僕は今決意した。意地でもこの目の前にいる温和で優しそうな彼女に案内してもらう事を!!


「えっと…マリア会長。この後暇だったりしますか?」


マリアは少し考える素振りをして答える。


「む…この後は暇…なのです。」


「もし良ければ僕にこの学院の中を案内してくれませんか?転入したばかりの新米なんで全然わからなくて…。」


僕の問いかけを聞いたマリアはこちらに向き直して体制を整えた。


「いいですよ。会長に…任せなさい!」


マリアは両手を腰に当てて胸を張って自信満々な素振りをした。


その仕草や声色全てが眩しく見える、フラムが鬼だとしたらマリアは女神だ!


間違いない!!


「ありがとうございます!!!!」


そして僕はなんとかこの学院での平和な生活に一歩近づく事が出来のであった。

一応ここまでのまとめ


アリスタ 主人公、頭にとんがり帽子を被っていて竜が封じられた杖を持ったそこそこ変わった人。


アルテミア 師匠枠、歪み修復の為アリスタと一時的に別れて行動中(再登場はかなり後。)な人。


ダスト 校長、髭がもっさもさの人。アリスタに試練を与えて一人で勝手に驚いてた人。


邪竜(封印されてた可哀想な竜) 初回の敵1号、ダストが封印していた竜だが怖いのは見た目だけで実はそんな悪い事してた訳じゃない可哀想な竜。


こっそり杖に封じられてる間に一人しりとりとかしてた可哀想な竜。


フラム 仲間1号、見た目だけは完璧だが中身が相当残念な人。


緋色 蓮 仲間2号、ごく普通の黒髪黒目の地味な人でなんか変わった力を使う人。


マリア 仲間3号、鉱物を好きなだけ生み出したり操ったりするそこそこ規格外で喋るのが苦手な人。



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