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魔法使いの行方  作者: 腐れミカン
学院編
13/75

第13話 大爆発







ライトニングで歩きやすくなった道を進んでいると、突然轟音が鳴り響き地面が揺れ始めた。


「うわぁぁあ!!」


足元から地面が隆起して地形がめちゃくちゃに崩れ始める。


僕が必死に地面にしがみ付いてしばらく時間が経って…気付けば僕のいた場所が盛り上がり山頂付近まで近づいていた。


代わりに自分の周りが下がっていったので落ちたらただではすまないだろう。


そんな事を考えた後その場から立ち上がり周りを見渡す。すると後ろにに大きな岩屋がある事に気づいた。


「試験なんだし多分この穴の中に入れば杖があるのかもしれない、行ってみよう。」


口に出す事で自分の中の恐怖心を押さえ込み岩屋に歩み始めた。





中は真っ暗で何も見えない。どうやら暗闇が辺りを覆いかぶさっている様だ。


周りには杖の代わりになりそうな物が何も無い為魔法を使う事は出来ない。


「はぁ…。」


今の僕の状況だと魔物か何かに出会したら一瞬で終わり…これはいくら試験といえどやり過ぎでは無いだろうか。


でもよく考えれば魔法を使う為の杖を調達しないでこの山に入った僕も相当な馬鹿だ。ちゃんと準備すればよかった。


そんな後悔を自分の中で繰り返しながら進んでいくと足元に何かが当たった。


「ん?」


足元に落ちている物を掴む、それは棒状でなんと杖の代わりになりそうな物だ。


「ようやく魔法が使えそうだ。


そう呟いてから紋章をサッと描き出す。緑色の光が現れているのだが何故か不思議と岩屋の中は薄暗いままだ。


まず魔法を使ってここを明るくしたいと思った僕は光をイメージしたが自分で止める


多分ライトニングを使ったら威力が強すぎてこの岩屋は崩れてしまい僕も死んでしまう。


「う〜ん。じゃあ炎だ!」


僕は紋章に燃え盛る豪炎のイメージ…だと威力が強すぎると思ったので消えかけの炎のイメージを送り込む。


「ファイヤー!!」


紋章は煌めき炎が現れ天井を燃やした、これで周りが見えて探索が楽になる。


僕はそんな喜びを覚えながら自分の掴んでいるそれを見た。


「うわぁぁぁあああああああ!!!」


咄嗟にそれを投げ捨てる。


それはカラカラと音を立ててその場に落ちた。


僕の持っていたそれの正体。


それは恐ろしい程数の多い呪符が付けられていた杖だった。


「なんだこれ?!」


なんか呪われてるんじゃないかってレベルの見た目をしているその杖がなんでここにあるんだろう?


少し考えた後自分の中で結論を出した。


凄い見た目をしてるけど魔法が使えたしこのままコレを持っていってしまおうという物である。


そして僕がその杖に触れようとした瞬間岩屋が強く揺れ始め壁に亀裂が入った。


(オロカナルニンゲンヨ、サイアクタルワレヲヨビオコシタナ?)


脳内に揺れと同じく響く誰かの声


「な、なんなんだ!」


(ヨロコベ、オマエガフッカツシテカライチバンメノイケニエダ。)


杖がピキピキと音を立てて砕け散り辺りが信じられない程の熱気に包まれる。


「グッ………」


腕で咄嗟に顔の辺りを防ぐが代わりに腕がヒリヒリと痛い。


「痛っ!」


そして僕は痛みに耐えれず腕を退かして見えてしまった…この岩屋を埋め尽くす位巨大な炎を纏う竜を


(人間よ、冥土の土産に我の言葉が伝わりやすいようにした。つまり貴様の脳内レベルに我が合わせてやったのだ!そして死ねぃ!!)


竜がこちらに向けて大きな口を開きその中に赤い炎が集まる。


「マズい…!!!」


咄嗟にその場から身を翻した瞬間、竜の口からは轟音と共に強大な炎のブレスが放たれた。


「うわぁぁぁあ!!!」


(ふはははは、惨めだな人間よ。我を封じ込めた時の様な勢いはどうした?!)


「封じ込めたとか何とかって僕はそんな事知らないよ!」


(オマエが知っていようが知らまいが関係ない、次は確実に仕留めて殺してやる!)


竜は改めてまたこちらに顔を向け大きな口を開き炎を集め始めた。


「嘘だろ…。」


今さっき僕がいた場所は炎で燃え盛っていて戻ることが出来ない、そしてもう僕が身を躱せるような場所はこの狭い岩屋には無い…。


考え込んでいる僕の足元に何かが当たる。

下を見るとそこには半分に折れて砕けている杖の残骸があった。


どうやら僕にもまだチャンスはあったみたいだ。


杖を拾い上げて紋章を描く、竜はもう強大な炎を蓄えているどうやら詠唱する時間はないみたいだ


ならば浮かべるんだ。僕の中で最強で最大の壁を無詠唱でソレを出せるくらいの物を!!


(オワリだ。)


竜が炎を放つ、僕の目の前は真っ赤に染まり凄まじい熱気が襲い掛かる。


だが間一髪で緑色の煌めきと共に僕の目の前に現れた透明な皮膜がその炎を遮った。


(何だと!我の炎を防ぐとは。)


「さぁ…ここからが本番だよ。」


僕は紋章を新たに描き水のイメージを浮かべる、流れていく透き通った水のイメージだ。


竜がまた口を開き炎を集めている中目掛けて水を打ち込めれば!!


「いでよ!ウォーター!!!」


(ハッ!水程度で我の豪炎を防げる訳無かろう!!コレが最後だ!死ねぃ!!!)


緑色の煌めきと共にドロっとした液体が竜の口元に張り付いた。


「あっ…。」


(ム…?)


大切な事を忘れていた。


僕のウォーターは水では無く油が出ると言う事を…。


その刹那 竜が炎を溜めていた口元から大爆発が起こり岩屋と竜と僕はとてつもない爆風に吹き飛ばされた。


僕は壁に頭を打ち付けてふらふらとその場に倒れ込んでしまった。


薄れゆく意識の中目の前にいる巨大な竜が真っ黒になっている事に気付く


どうやら目の前の竜は自分の炎で丸焦げとなってしまい動けないみたいだ。


そして上を見上げると眩い太陽が僕を照らしている。どうやらこの岩屋は爆発で天井が吹き飛ばされた様だ。


なんとかなったのかな…。

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