第11話 試験開始!
光の先にはアルテミアさんの言った通り学院の建物が聳え立っていた。
上を眺めてみて分かった、どうやらこの学院の真ん中に大きな木があって周りを囲む様に建物が並んでいるみたいだ。
そんな事を考えていたら僕の目線の下から嗄れた声が聞こえた、下を見るとそこには身なりの整った老人がいた。
「君を待っておったよ。話はアルテミア君から聞いていたからね。」
老人は不敵な笑みを浮かべてそう言った。
「貴方は?」
老人は自分を誇示するかの様な仕草をしながら語り始めた。
「ワシはこの学院の校長を務めるダストと言う者じゃ。早速だがお主には転入試験を受けてもらう。」
「転入試験…?」
確かに僕は途中からこの学院に所属するのだから必要な物だと思うけれど何か嫌な予感がする。
「そうじゃ。お主の後ろにある竜巣の山の頂上に行って杖を取ってきてもらおうかの。」
振り向くと信じられない大きさの山がそこにあった。そして信じられない事にこの老人はあの山を登れと僕に言っている。
気でも狂っているのか?
「なんで転入試験で杖を取りに行くんですかね?」
純粋に気になった事を質問をすると老人に簡単に流されてしまった。
「フォッフォッフォッ、行けば分かるじゃろう健闘を祈るぞ少年。」
改めてその言われた竜巣の山を眺めて絶望した。割と大きめな学院より遥かに大きい巨大な山だからだ。
「えっと…転入試験ってこれ以外無いんですかね?」
「無い。」
校長のダストは目をカッと見開きそう言った。どうやら言葉で言いくるめられる様な人じゃ無さそうだ。
僕は諦めのため息を吐いてから山に向き合った、どう見ても1日で登れる物じゃない。
「分かりましたよ。行けばいいんでしょ!」
「その意気じゃ!頑張りたまえ。」
今からでもアルテミアさんの元に帰れるならどれほど良かっただろうか。
だけど僕は今一人だ、ここで踏ん張らなきゃ
遠くで頑張ってるアルテミアさんに合わせる顔がない。
僕は老人の元を後にして山の方へと向かった。
〜
その一部始終を陰からそっと見ていた一人の金髪赤目でツインテールの少女は指を噛んでいた。
「お爺様はなんであんな馬の骨みたいな奴をこの由緒正しき魔法学院に入れようとしてるのかしら!許せない…あの男!!!」
貧乏ゆすりをしながらイライラとした様子の少女はその気に入らない男の後を付けて行った。
勿論邪魔する為である。