8:ドレッドノート
なんぞ、コレ?
れ、レベルアップ??
えっ!?
俺、なんもしてないけど……
どゆコト?
よく分からんので、魔王辞典のページに表示されている『⇒次へ』と浮かび上がった文字を指で触れてみる。
すると、新たな文字列が浮かび上がる。
レベル:1
クラス:魔王(Lv1:魔王パピー)
体力:2 戦闘力:2 統率力:2
知力:673 政治力:2 魔力:11,000,000
魅力:535,300 幸運:8 精力:∞
ボーナスポイント:+1
なんだこりゃ?
ガバガバなステータスが、適当に増加された。
魔力の上げ幅、デカくね? この世界って、魔力、大したことねーアビリティなのかな? 魔力消費量が異常にデカい値、とかなんか?
なんか……バランス、悪くね?
ん?
ボーナスポイント?
なんぞ、コレ?
ふむふむ……このボーナスポイントは自由に能力値に割り振れるのか――
やったー――
……じゃねーよ!
たった1ポイントかよ!
基本的に一桁しかねーステータスが多過ぎんだよ。仕方ねーから、幸運に加えとくか。そしたら、次のレベルアップで二桁になんだろ?
おっ?
ボーナスポイント消費したら、また『⇒次へ』の文字が出た。
どれどれ、ポチッとな!
<ユニークスキル:ドレッドノート獲得>
おおっ!?
なんか、かっこいい能力、手に入れたぞ?
よっしゃ、解説を読む!
〔未踏エリア、“学園”への侵入。それは勇気が試される大きな一歩、勇者の証!
恐怖に打ち勝ったおまえを万民が祝福するであろう!
【ドレッドノート(怖れ知らず):全ての恐怖対抗においてSANチェック不要】〕
――なんだこりゃ!
ちょっと待て!
そもそも、SANチェックってなんだよ!
俺のパラメータにSAN値(正気度)がそもそもねーんだよ!
えっ!?
もしかして、隠しパラメータとかあんのか、コレ?
えーッ!
だとしたら、結構めんどくせー!!
ついでに、俺、勇者じゃなくて、魔王じゃなかったか?
なんか、解説文が明らかに共通テキスト使い回し感が凄くて、俺のクラスに合ってなくねーか?
ま、いっか――
――さて、
気を取り直して、入学式場、ま、こんなのは体育館か講堂って相場は決まってんだが、そこを目指すか。
いや、待てよ?
この荷物。要は、この学生鞄とか、どっかに置く必要あるよな?
こんなもん持ったまま、入学式に参加するとか、聞いたことねーや。
あっ、そっか――
先に、教室に行って説明聞くんだったか?
どうにも、ローリーの記憶があやふやだから、行動がふわっとしちまうぜ。
んで、どこだ、俺の教室は?
ローリー、書類とか持ってねーのかな?
あった!
んん?
おいッ!
俺って、英雄科の生徒なんか!?
だーかーらー、俺のクラスって魔王だろ!
いや、このクラスってのは、教室を意味するクラスじゃなくて、位を意味するクラスのほうで~……めんどくせ。
まぁ、羅漢英雄塾とかぬかす、巫山戯た名の学校だから別にいっか。
で、教室は、1-A。
こりゃまた、普通! こっちの名称は普通なんかい!
入学……いや、入塾案内のパンフを見ながら校舎内を移動。
比較的分かり易い正面の校舎の二階、すぐのところが1-A。
引き戸を開け、教室内に入ると、誰もいない。
どういうことだ!?
黒板を見ると、チョークで書かれた大きな白い文字が!
<新入生諸君は荷物を持ったまま直接、講堂へ向かってください>
――手間取らせやがって、この学校はぁ~~~!