3:魔力1000万パワー
振る、賽を。
また、振る、ダイスを。
まだまだ、振る、十面体を。
これでもか、と振る、サイコロを。
くぅ~~~、飽きた!
圧倒的、飽きた。
おいッ、幼女神!
いつまで振らせんだよ、賽子をよぉ~!?
キャラメイクが長ぇーんだよ、ちくしょー!
駄作だ、駄作!
この異世界転生、無駄に長ぇーんだよ!
いつになったら始まんだよ、俺の異世界生活!!
もう、ええやろ?
はよ、悪役令嬢か、俺TUEEEか、チーレムか、スライムにさせろし!
早く無双してーんだよ、俺は!
「――できたのじゃ」
「!? おおッ! もしかして――」
「うむ、おぬしの転生体、完成したのじゃ」
「やった! ……って、エイリアスってなんぞ?」
「転生体、もしくは異核体。魂の核を同じとする異次元実体じゃ。複数の世界、次元にまたがる虚像の本体であり、深層心理においてそれらを統合する意識集合体。超越的な立場から管制系を担い、それらを指揮して統括する……」
「――ちょっとなに云ってんのか分かんない……」
「……有り体に云って、新しい体の完成じゃ」
「やったぜ!」
「――うむ」
俺自身、自分の体を見回してみる。
見たところ、変わった様子は見受けられない。
あれ?
本当に俺、生まれ変わったの?
「――なんか、前とあんま変わってないんですけどぉ~」
「ここは神のみぞ知る付加思議界! ここでは再設定した人生設計はまだ反映されない。一度、別世界に退出しないと反映されないのじゃ」
「めんどくさっ! まあ、それはいいとして――んで、具体的に俺のエイリアスのパラメーターってか、能力教えて」
「ふむ。少々長くなるが、心して聞くのじゃ」
「おk」
ふむふむ――
うむ……
――ふむぅ~……
むむっ!
むぅ~――
ぬぬっ……
むふゥーーッッッ!!
――なっがい!
くっそ長いわ!
この幼女、説明が兎に角、なっげぇ~!
ヘタクソか!?
お前は説明が下手くそなんか?
校長先生の挨拶か?
キャラメイクは長ぇーし、説明は長ぇーし、どーなってんだよ!
これで、ステータス気に入らなくて、リセマラしたとすっと、どんだけ時間かかんだ、って話!
もちっと要約して話せよ。
これだから困るぜ、幼女はよぉ~?
データで見るとこんな感じ。
レベル:0
クラス:魔王(Lv0:魔王見習い)
レイス:究極生物(来訪者)
アライメント:カオティックグッド
ジョブ:召喚師(特殊)
体力:1 戦闘力:1 統率力:1
知力:666 政治力:1 魔力:10,000,000
魅力:530,000 幸運:7 精力:∞
全スキル:100% ユニークスキル:トレース
所持アイテム:魔王辞典
――なんか、偏りが凄ない?
くそゲー臭がする。
これは……
リセマラしかないか!?
よっしゃ!
「おい、幼女! キャラメイクに納得いかんので、やり直しを要求する!」
「――ダメなのじゃ」
「!? な、なんでッ!」
「超人生設計モードでの転生は、初回登録の1回切りなのじゃ!」
「ええっ!」
「安心せい! おぬし、かーなーり強いぞ」
「んな、アホな! 9つの能力値の内、5つが一桁って、強いわけねーだろ!!」
「うっさいなー、おぬし? 大丈夫じゃ、レベルはサクサク上がるから」
「いや、意味分かんねーし」
幼女神が指を突き出し、つんつんしてくる。
なんだ、なんのつもりだ、こいつ……
き、きゃわいいじゃねーか!
「そんなことより、次のほうが大事じゃ!」
「な、なにぃ? つ、次とは??」
「――設定、じゃよ」
「せ、設定!!?」