2:運命のダイスロール
――かかったな、幼女神めがッ!
この鬼龍院日和、ド変態である前にド畜生である!
十面体? 賽子? ダイスだぁ~?
おう、知っとるわい!
麻雀やチンチロリン、テーブルトークRPGで賽を操るのは慣れとる。
俺は博徒や! 生粋の博打打ちや!
そりゃそーやろ?
人生放り投げて、漫画やら物書きやらチューバーやらライバーやらFXやら女装やらアフィリエイターやら詐欺やら、ただの一度も就職しとらん生粋の自由人やぞ!
どうゆう能力持っとるかよく分からんアカギより、テクニックに特化したニセアカギを心の師にする俺にとって、賽の目いじるなんて楽勝楽勝!
手先が、指先が器用なんだよ、俺はッ!
じゃなきゃ、絵描きなんかやってらんねーよ!
滑らすように転がしゃ、だいたい、出したい目を出せるんだよ。
ついでにッ!
0の目が出る裏側には、すでに俺の鼻クソを塗りたくってやったぜ。
わずかに重心を狂わせている。
これぞ、鼻クソテクニック!
だいたい、十面体使って振るダイスロールなんざ、00か01~05までが有利な結果に決まっとる。
平凡な数値は、並のクラスに決まってんだろ、って話だ。
だったら狙うは0。兎に角、十の位は必ず0を出し、一の位もできるだけ0を狙う。
これでパーフェクト!
――しかしっ!
手先の器用さだけじゃないぜ~、俺は!
三味線も弾かせてもらうぜ~!
用心深いんだよ、俺はッ!
「魔王ってどんなクラスなんだ、幼女? 変なクラスだったら困るんだが……」
「ううむ――変なクラスかどうかは本人次第じゃが、神に匹敵する超レアクラスじゃ。魔力だけなら他を圧倒する力を持つ強キャラじゃ」
「そうなんだ……」
ケケケッ!
ここで喜ぶようなマネはせん!
ちょっと不安げ~、みたいな表情を浮かべときゃ、ダイス目が偏っても多少は誤魔化せる。
さて、――
「――次は何を決めるんだ、幼女?」
「それじゃ、次はアライメントを決めるとするか」
「アライメント?」
「属性、じゃ。振る舞いというか、生き方というか、魂の在り方にどのような傾向が見られるか、その方向性を定める」
「――なるほど」
アライメントねぇ~……
正直、どーでもいいな、こりゃ。
ムフッ!
丁度いい。こういう、どーでもいいパラメーターは、適当にダイスを振る。
適当に振ることで乱数な目が出て、疑惑の目を背けさせることができるって寸法よ!
俺、頭イイッ!
「てりゃ! ん? <7>と<2>、つまり……」
「72じゃな。おぬしのアライメントは、無秩序にして善じゃ」
「なんだそりゃ?」
「法やら規律、秩序だったことは嫌うが、基本的に善行に沿って行動するタイプの属性、ということじゃ」
「――意味不明」
――知ってた!
別にこんなん、どーでもええねん!
俺自身の意志で行動なんざ、どーにでもなるんだし、訳分からんパラメーターなんぞ、興味ない。
ケケケッ!
この調子で最高に虫のいい人生設計してやるぜッ!
重要な箇所はダイス目をいじり、どーでもいいところは適当に振って、チートキャラに仕上げてやんぜ!
コレで俺の異世界転生生活、勝ったも同然だな、ガハハ!