Ⅱ-9 王女たち
■リーブル宮殿 皇帝執務室
昨日は本当に部屋から出ずに済んだ。
食事も全て部屋に持って来てもらって食べた。
無論、親友たちの分もだ。
やつらも久しぶりに寛げたはずだ・・・黒狼は夜に出かけたがな。
俺も病と言うわけではなかったが、あまり人とは会いたく無い気分だった。
即位式で人と会いすぎたのだと思う。
だが、そもそも即位してから、『休み』と言う日は一日も無かった!
なにかおかしい気がする。
うむ、これからは10日に1日は休むことにしよう。
「陛下、そろそろ後宮の序列について、決めていただかねばなりません」
「序列? 何を決めるのじゃ?」
「陛下がお食事などをされる序列でございます。当面は婚約者ですが、いずれは正妃と側室に、側室にも序列がございます」
-ふむ、何を言っておるのかさっぱり判らん
「序列を決めねばどうなるのじゃ?」
「決めねば? ですか?・・・、そうですね、与える部屋や食事を共にする回数などに影響が出てまいります」
-どうやら、こいつも今までどおりやっておるだけだな
「ならば、部屋は年齢順に広いものを与えてやれ、食事は余と一緒にとればよい」
「部屋は承知いたしましたが、食事の順番はいかがされますか?」
「順番など無い、皆で一緒に食すのだ。そなたも一緒にな」
「そのようなことは・・・」
「宮殿の儀礼等はどうでも良いのだ、余の婚約者もいつ狙われるか判らんであろうが。余は周りのものが死ぬのをこれ以上見とうないのじゃ・・・」
「・・・かしこまりました」
「時に、年齢順だとどうなるのだ?」
-年齢どころか、名前も覚えておらんがな
「はい、年齢順ならばウラーナ国 アン王女 12歳、モンハル国 ミユ姫 6歳、サウザンド国 イアナ王女 6歳、そしてリリィ王女4歳 となります」
「ノットランドのエイミー王女もお申し出がありましたが、受け入れは先と言うことですので後宮の用意は正式に決まってからで良いでしょう」
-エイミー以外は白玉だったな
「そなたは、フランからは婚姻の申し出が無かったことをどのように思う?」
「はい、私も意外に思いました。正妃の子は年齢が少し上ですが、側室には年齢の近い王女がいるはずですので、全くその話が出ないのは・・・」
-やはり、そうか。
-婚約者を増やしたいわけでは無いが、フランの王、何を考えているのか・・・
-だが、判らんことは先送りにするしかないか
「ハンスよ、直轄地への視察の準備はどうなっておるのじゃ?」
「はい、明日には居館の準備が整いますので、明後日には出立可能となります。東西どちらの領地から行かれますか?」
「そうか、ならば旧内務卿のシュターナー領を先に見に行くことにしよう」
「それから、ハンスよ。馬車にはくれぐれもゆっくり走るように指示をしておけ、ゆっくりだぞ」
「・・・? 承知いたしました」
俺のためにも、俺の親友のためにも急ぐ必要は無い。
暴走馬車はもうこりごりだ。




