30話_5歳児の流通改革
■リーブル宮殿 皇帝執務室
「陛下、本日のご予定をご報告いたします。」
「ウム。」
「これより、国事の決裁を行っていただき、その後エドガー、ラインハルトが謁見を求めております。謁見が終わり次第、即位式のご確認。夕食までのお時間が残っていれば、家庭教師の時間となっております。」
-いやー、相変わらずハンス君は容赦ないね。
「陛下。即位式ご来賓の来歴などは、どの程度お目通しいただいているでしょうか?」
「フム。それなりにだな・・・」
-更に追い打ちかよ・・・
「即位式の日も迫ってきております。そろそろ本腰を入れていただきませんと、陛下の名誉にも傷がつきます。必要でしたら、夕食の後にでも・・・」
「何度も申すでない! 家庭教師にも手伝ってもらうゆえに心配するでないわ。」
-夕食の後って・・・俺は皇帝だぞ!
「それでは、ご決裁いただく国事・・・」
決裁案件はそんなに多くなかった。
内務と外務は、ハンスのもとでエドガーとラインハルトが方向性を整理している。
前任の大臣のときは、焼けてない肉の状態だったが、今は食べられる状態でハンスのところへ回ってきているようだ。
だが、どう焼くか悩ましい懸念事項については謁見で相談があるのだろう。
■リーブル宮殿 皇帝謁見の間
「陛下。本日もご機嫌麗しくぞんじます。貴重なお時間を賜り御礼申し上げます。」
「ウム。堅苦しい挨拶はよい。エドガーよ、余に話があるのであろう?」
「ありがとうございます。早速ですが、2つばかりご相談がございます。1つ目は陛下の勅命により、都市に無税の市を作らせていただきたく存じます。」
「狙いはなんじゃ?」
「はい。現在の市は各領主の管理により、税や手数料の取り決めがバラバラです。ましてや、一部の領地においては、税以外に役人が個人的な手数料を要求するなど、商人が安心して商いを行うことが出来ません。」
「陛下直轄の市をつくることにより、国内での商業を発展させ、民の暮らしを豊かにしたいと考えております。」
「良くわかった。良い案じゃ。だが、無税で手数料も取らんとすると、店を出す者達でいさかいが起こらぬか?」
「さようでございますね・・・」
「市に店を出すものからは、広さに応じた手数料を取れ。出店を求めるものが多ければ、入札にして、高い値をつけたものに出店させよ。」
「なるほど、承りました。」
「それから、集めた手数料の半分は領主にくれてやれ、残りは市の整備に使うのじゃ。水飲み場や看板等の整備じゃ。」
「そちらも、承知いたしました。 なるほど・・・」
「いかがした、エドガー?」
「いえ、陛下の深謀に感嘆しておりました。常に、領主や民のことを同時に考えておられるのだなと・・・」
「世辞はよい。皇帝としての勤めじゃ。」
「ハンスよ。この件も即位の施策として公布する。準備を整えよ。」
「かしこまりました。」
「で、もう1つ相談があるのだったな?」
「はい。旧大臣方の領地の件です。陛下直轄地での改革について、旧領主家へご説明にあがったのですが、残念ながら話を聞いていただけませんでした。」
「話を聞かぬ?どう言う意味じゃ?」
「はい。ありていに申しますと。 平民の話は聞けぬと言うことのようです。」
-なるほど、まだ自分達が貴族で領主だと勘違いしておるのか。
「ハンスよ。三家とも家督の相続は終わっておるのであろう?」
「はい、いずれも長兄が引継ぎをしております。」
「ならば、その3名を引見せよ。余が直接話しをしよう。」
「陛下、もはや爵位をもたぬ逆賊の子に直接お会いになる必要はございません。」
「いや、良いのだ。ハンスよ。会わねば、踏ん切りもつかんのでな。」
「陛下?・・・」
会えば、ひょっとすると白玉かも知れんしな。
まず無いとは思うが・・・
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