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異世界は生きている  作者: 宮原 匠
第1章 驚異的な適応能力
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第1部分 プロローグ①

興味を持っていただきありがとうございます!!


 空襲が収まったのを見計らって眠りについたはずのだと思うのだが知らないところにいる。その空間、いや場所を支配する者。タイミングを見計らったかどうかは定かではないが....話し始めた。

「やあ、はじめまして。私は、グワッハという者だ」


 驚きと動揺、その場所を支配する者にはそう映っただろう。春香は、おずおずと初めて会った人に返事を返す。

「こっ、こんばんは!」

 まるで以前から浅野春香のことを知っていたかのように友達のように話しかけて来る。そんな目の前にいるよくわからない奴と何を話せばいいかなんて見当もつかない。困惑する彼女のことを気にも留めず話始める。


「よろしくな。早速だがここはどこだかわかるかい?」

「い、いえここはどこなんでしょうか?」

「君と会話するために、夢に干渉させてもらっているんだ」

 その空間の支配者は、春香の疑問に丁寧に答える。

 自分の丁寧に疑問に答えてくれた。しかし、いきなりそんなことを言われてもやはり現実味がわかず、受け入れられない彼女。


「夢でも見てるのかな」

「うむ、そなたの認識はほぼ正しい。だが普段の夢と比べて特別だぞ?」

「ずいぶん設定の込んだ夢ね。悪夢じゃないだけいいか」

「ちょっと、私はそなたらの世界で言う神って存在だからな」

「....そう」

「いや、ちょっとそんな表情で見ないでよ。やってること思いっきり不敬だぞ....」

「見た感じ、ちょっと設定が凝ったくらいで特別にはならないよ」

「とりあえず聞け!」

「かっ、体が....んんんっ!」

 いつまで経っても埒が明かないことに嫌気がさしたのか権限を使い、半強制的に今の状況に至った経緯とかを要約して聞かせることにしたようだ。彼女の体が硬直したのちに口もチャックを閉じたかのように言葉を発することが出来なくなったようだ。


ー・ー・ー


 彼女がおとなしく聞くまでの時間と合わせて20分ほどの説明を終えて質問タイムが始まった。

「質問はあるか?」

「今の状況が、体に悪影響とかはないんですか?」

「悪影響は無いのか?それともあるのかを聞かれると....実はあるんだ」

 冷静になってもしあったら大変だと思ったのだろう。春香は、恐る恐る聞く。彼女の目の前にいる得体のしれない何かはうつむいいていかにも申し訳なさそうに春香に話し始めようとする言葉を遮り春香は尋ねる。


「まっ、まさか、死んだりなんかしないですよね?」

 まだまだやりたいことは山ほどある。このまま永遠の眠りには付きたくないという思いが切実に伝わってくる。


 そんな春香に一瞬気圧されそうになる支配者は、気を取り直し断言する。

「もっ、もちろんだよ。そんな事をしたら私は法に違反することになるからの」

 刑罰が恐ろしくて誰もまだ犯したことがない法。そんな法を犯したりすれば自分には悲惨な最後しか待っていないだろう。誰だって、そうはなりたくない。

 厳しい決まり事がある環境に身を置いている自分には、なぜか同感ができたようで同情したように話す。


「ふぅん」

「明日の朝はものすごくお腹が空くだろうな」

「そっ、それは嘘ですよね?」

 原因を聞くより前に嘘かどうかを確認したかった。原因を聞いてしまえばお腹がすくこと前提となってしまいそうな気がして。そんな春香の希望を一瞬で突き崩す発言が耳に入ってくる。


「いや、本当のことだ。嘘だったら言わないし」

「戦争中だから食料がないんですけど....」

「そうなのか!また無駄な争いをしているのだな~」

 春香の発言で、支配者の顔がにやける。....声を聴く限り多少は悲しんでくれて入るようだが同時にさげすむ感情がはっきりとわかった。

 空腹になることをどうにか回避したい春香は必死に訴える。春香が目の前にいる奴に伝わったかと希望を抱くも次の瞬間、瞬く間に儚い希望は砕け散った。


「そうなんですよ!私たちまでなんで巻き込まれなきゃいけないんでしょうね」

「苦労しているのだな。で、話を戻そか。申し訳ないけど神の力と言えど万能ではない」

「ダメじゃん」

「ダメじゃないもん!いろいろできることあるもん」

 話に付き合ってやるのもこれくらいにしてやろうと思ったのだろうか?気持ちを入れ替えて顔を上げる。自分の思いが伝わっていなかったことが分かって一瞬で希望は砕け散った。春香に自分のことを知ってもらおうと必死なようだが彼女は空腹になることで頭がいっぱいで細かい内容は右から左へとすり抜けて行っていた。


「む....そうですね」

「私は、君たちの世界とは似ても異なる世界の神だ。そう言ってもわからんだろう?」

「そんなこと急に言われてもわからないに決まってる」

「だろうな。期待した私が馬鹿だった」

「そりゃそうでしょ。今の言葉めっちゃ腹立つ」

「ごめん、口が滑った。そこでなんだけど、亡くなったら魂をくれぬか?」

「滑ったって....もういいよ。んぇ?今なんて言った」

「亡くなったら魂だけもらうね」

 とんでもないことをさらっと言う支配者に動揺を隠せなかった春香。明らかに動揺している春香を期待する眼差しを送りながら淡々と話していく。


「私の管理している惑星イムスでも同じようなことが起こっているのだ。だから、今生きている世界での記憶が欲しいのだよ」

「つまり、今生きている世界で死んだらイムスに行くっていうこと?」

「うむ、事情があるのだ理解してくれると助かる。悪いようにはしないからわかってはくれぬか?」

「あの....楽しいですか?楽しいなら気になるかな」

「君は、子供の頃からもう一度やってみたいとは思わぬか?」

 いろいろと反省がある。しかしその反省から今が成り立っているはずなので戻りたくはないようだ。ただ、支配者の提案に興味はあるようだ。


「はい、少しですね」

 本当のことだとうことが伝わるように、できたら死んだらゆっくりしたいという気持ちを込めて。少しよりも、もっと興味あって欲しかったようだがないよりはいいと思ったのだろう。しかしながら見るからに落ち込んでいた。


「本当に少しなのか?どうなのか?」

「わかりましたよ!お前がやりたいようにしたらいいよ!」

 今度は本当に諦めたようだ。春香はついにこの支配者に心を許す。先程の話し方と比べ、どこかほっとしたような声だった。


「本当か!じゃっ、早速だがここに契約してくれんか?」

「うわっ、やられたかも」

 どこからともなく、契約書、筆記具が出てきたことに驚くと同時に異様なほど準備がよかった。もはや目論見通りになったと言わざるを得ない気がしてきたが同意してしまった以上断れる雰囲気はなかった。


「ありがとう!本当に感謝するよ!」

「まあ、楽しそうなのでいいですよ」

「また君が、そっちの世界で亡くなったら迎えに行くよ」

 自分よりかは明らかに身分のよさそうなのに、わざわざ迎えに来てくれることに驚きを隠せなかった。


「わざわざ来るんですか?」

「頼んでる側だからね。それくらいは誠意を見せなきゃね」

「そうですか....でも、口にされるとありがたみが無くなりますよ」

「ははっ、確かにそなたの言う通りだね。返す言葉も無いよ」

 嬉しさのあまり何も考えずに口にしたが彼女からの指摘を受けると、確かにそうだと納得せざるを得ない。例え抗ったとしても最初からこうなる運命なのだろうと自分を言い聞かせた。そうでないと現実味がわかないから。


「本当に悪いようにはしないんですよね?」

「もちろんだよ。これは、私の名に誓って約束しよう」

「信じることしかできないんだよなぁ」

 今より悪くならないという支配者の強い自信が言葉と表情から読み取れた。死後の世界は今よりは良い生活になることを祈るように視線を向ける。


 最初に出会った時よりもどこかほっとしたような顔だった。

「ありがとうじゃあ、現在いまの世界でも頑張ってな!」

「言われなくても頑張りますよ!」

 約束を交わせたことがよほど嬉しかったのか支配者は緩み切った顔をしていてみっともなかった。後悔しない人生を歩もう。そう心に誓い前を向く浅野春香の顔は支配者を反面教師として明るかった。


ありがとうございますm(_ _)m

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