第60部分 アルビン帝国最悪の日
短めです。
アルビン帝国軍では〜
動かないですね....
そうだな....中心部隊がなぜ動かないんだろうか?
前でしたら、先手を打つべく進軍してきたんですけどね。
指揮官が変わったのか?
いえ、今回もピーター・ドラッカーのようですよ。
あのピーター・ドラッカーか!
ええ、あなたが思っている通りの人ですよ。不敗のピーター・ドラッカーですよ。本人であることも確認済みです。暗殺はしようかと試みましたが、常時護衛がついていたので諦めたはずです。
あやつが指揮官か....出世したのか?
そのようですね。戦争上手のドラッカーは、本当に厄介だからな。
そうですね。ドラッカーは、古参でもあるがゆえ知識と経験が非常に豊富です。
困ったものだなぁ....
そうですね。
何人くらいの護衛がいたのか?
最低でも3人はいましたよ。多いときは7人ほどが護衛に当たっていましたよ。
それは無理だな....
鹵獲品の武器を使用しようかと思ったのですが警備が厳しく無理でしたね。
そうか....まあ希望的観測であったから敵軍の情勢がしれただけでも良いだろうよ。
そうですね。
ああ。そう言えば、騎士団の準備は完了しているのか?
ええ、昨日のうちにほとんどの準備を済ませたためもう完了しています。
歩兵の方はどうだ?
そちらは、もう少しかかるかと思われます。
騎士団の準備が完了しているなら、もう進軍するか?
そうですね。それでしたら伝えてきましょうか?
助かるな。
ありがとうございます。
ー・ー・ー
第三団長!いくらなんでも下級2団長が言っていたように行くのは無謀ではありませんか?
深追いはしない、一撃を与えた後すぐに離脱する予定だ。
それなら....まだいいかもしれませんね。
なんだ、そんなことも考えられなくなったと思ったのか?
いえ、そんなことはないですが心配になったからです。
気持ちは分からなくもないが、もしかして新兵器が怖いのか?
正直に言えばそうですね。
そうか....
はい。
大丈夫だろうよ。ここ数年間で戦況をひっくり返すような武器は出てきていない。
ですが....
もしものことに備えるのはいいが、恐れていて何も行動しないでは、何も変わらないじゃないか。
しかし....
これ以上言うと嫌でも君のことを上に報告せんといかんぞ?
わかりました。
そうじゃぞ?方針をまとめたものがここにある。1と2と3と4の騎士団にこれを持って行ってくれ。
わかりました。
2分後には、行くぞ。
「はっ!」
行ったか....
そうですね。
いつから気がついていたんですか?
だいぶ前からだよ。
そうですか....
こんな感じでいいよな?
ええ、特に....問題や見落としはないと思いますよ。
ならいい。今日は、風が弱いな。
そうですね。いつもでしたら山からの吹き下ろしが強いんですけどね。
戦争の時に限って、無風に近くなるのは不気味だよ。
そうですね....これから出る死者を歓迎しているのでは?
アンデットの大量発生地点だからこその発想だな。
そうですね....だいたい14月くらいですね。
その頃は、商会の被害が大きくなるから手を焼いているよ。
我々もよくそこに派遣された記憶がありますよ。
わしも若い頃行ったことがある。
そうなんですか....
懐かしいですか?
そうだな。あの頃は、本当に苦労していたよ。君と違ってね。
身分制度ですか....
ああ。あの時はそのしがらみが一番厄介だった。今思えば、懐かしいよ。
そうですか....そろそろではないですか?
そうだな。わしはもう行くから留守の時は、私が担当している歩兵を頼んだぞ。
わかりました。
ー・ー・ー
第1、第2、第3、第4部隊揃いましたであります!
良い。右翼と左翼に注意しながら中央部隊を叩くぞ!
おおおお!!
途中までは、集合陣形で進んでいくぞ!わかったな?
はっ!!
進軍!!
おおおお!!
ー・ー・ー
なんだあれは?あれが、多大な被害が懸念されている新兵器か?
いまだに動かない兵、なぜ!なぜ動かない!異様な空気が漂っている。士気の方が心配だな。
残り200メートルくらいか....
陣形変形!陣形変形!矢野飛翔距離に侵入した!
各団体、矢に注意しろ!
「「「「はっ!」」」」
近くの人にしか聞こえていないが、大丈夫だろう。もしかしたら、魔法道具で聞いているか?まあ、聞こえてなくたって訓練してきたんだから大丈夫か。
残り残すところあと100メートルほどか....いよいよだな。
いよいよですね!
死ぬなよ!
わかってますよ、そっちこそ死なないでくださいよ?
幸運を!
幸運を!
流石に敵兵に、動きがあるな。さあ、どんな新兵器か見ようじゃないか!
ー・ー・ー
私は、今全力で離脱している。今思えばなぜもっと危機感を持ってぶつからなかったのかが悔やまれる。もっと警戒しておくべきだった。
あのけたたましい音が聞こえた時、恐怖の始まりだった。いや、悪夢だった。悪い夢を見ている気がした。夢だと思いたかった。仲間が次々と死んでいく。
この光景を見て誰が夢だと思うだろうか?
私は、夢を見ていると信じたかったが肩を掠ったナニカの痛みで急激に現実だと脳が感知。
本能的に私は敗走する兵に混じっていた。
今もまた一頭、また一頭と大地を蹴る馬の蹄の音が減っていく。主君をなくした馬は、死んでいった。
連続的に撃たれたナニカに私の師団は、生き絶えた。あっけないものだった。なぜっ!なぜだ!私のどこが間違っていた!今までの戦争とは明らかに違うものだった。と、言い訳しかできない無力さが悔やまれる。信じたくない、この一心であった。
一度だけ恐怖に耐えながら、後ろを見た。
もう後ろを振り返りたくなくなった。あの勇ましい私が鍛え上げた兵は数えられる数になっていた。あの最初の自信はなんだったのだろうか?
わからない....なぜこうなったんだ!




