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異世界は生きている  作者: 宮原 匠
第2章 2ヶ国間戦争 (開戦編)
54/409

第48部分 戦争への道②

―・―・―


「ワインのコレクションってどれくらいある?」

「コレクションには、結構自信があるよ」

 [なんか酔うと必ずこの質問してくるんだよね....]

 今日はこの質問ではなくまた別の質問が来ることを期待していたことを裏切られた彼女はいつも言っている言葉をギルリアムに返して少しぬるくなってきたワインを口に含む。

 先ほどの思い出すと呆れて来るような策を立てた時のように胸を張りギルリアムに自慢してくるシプラーヌに尋ねた。

「....いったいいくら使ったんだ?」

「光金貨20枚はゆうに超えてると思う」

 [毎回初めて聞いたようなリアクション、いい加減見飽きた]

「お、恐ろしい金額....」

 需要があればその分値も吊り上がる。それゆえにこれといった趣味と言える趣味がないシプラーヌは莫大なお金をワインの収集に充てている。

 ワインにかなり酔っているギルリアムだったのでちゃんとそのすごさを毎回理解できているかは疑問だが直感的にとんでもない金額だということはわかるのだろう。


思い立ったように声を張り上げてギルリアムに言う。

「そういえば!銃弾はあと何発残っている?」

「ん?もちろん全弾撃ってきたぞ?」

 練習しろと言われたのだから上手くなるために全弾出し惜しみする奴がどこにいるんだという思いでシプラーヌを見つめる。

「ふぇっ?嘘、ねぇ嘘でしょ?」

 彼が酔っているのでにわかに信じられず銃が入ったカバンを力いっぱい開けて銃弾を入れて渡したやけに軽い木の箱を開ける。

「あっ!俺の鞄もっと大事にしてくれよ!」

 長いこと壊れたら修復しながら大切に使っているカバンを無造作に開けたので思わず声を出してしまった。

「ほんとに全弾撃ってるし!」

「え....もしかしてまずかった?」

 弓のように放った矢を回収して再び撃つということはできないので1発1発緊張感をもって練習したのでだいぶうまくはなった。が、彼女は渡した弾を全弾撃ってくると想定していなかったことに一気に酔いがさめる。

「....なぁんてね?本番用はもちろん練習用はあと少しだけどちゃんと確保してあるよ」

「おいおい、ほんとに焦ったぞ?普段嘘なんて言わないから…」

 依頼を達成するための仲間に嘘をついて、それをきっかけになって失敗しまったらL.Aのボスになんて言われるかわからない。いつも緊張感をもって依頼を受けているシプラーヌのことを知っているギルリアムはさぞかし酔いが覚めたことだろう。

「ただ管理がめちゃくちゃ厳しいから再度入手するのは難しい」

 銃弾は2日前に入手してきて、後日改めて潜入した際に数がおかしいことによる犯人探しや調査などを行っているようには見受けられなかったので厳しいと思っていただけにその静けさが不気味さが確認しに行ったときに感じた。

「そりゃそうだよな」 

弓よりも射程距離が短く比較的簡単でなおかつこれほど殺傷能力のある武器だったら管理も厳しいのは理解できる。

「残りの練習用、ほんとにこれが最後だから慎重にね?」

 劣化版レプリカ物体収納袋アイテムポーチから15発の銃弾を取り出して机に並べていく。劣化版とはいえどそれなりの量が収納でき、常に身軽である必要がある工作員にとって必須アイテムだろう。

「わかった、本番に成功できるよう頑張るよ」

「頼りにしてる」

 大きなあくびをして目を涙で潤ませながらギルリアムは言った。

「ああ、それと眠くなってきたから先寝るな」

「わかった、おやすみ」

 ギルリアムが思った以上にワインを飲まなかったのもあってまだ半分くらいはありそうだったのでもう少しだけ飲んでから寝ようと思った。

「ああ、お前も早く寝ろよ?」

「ありがと」

「....」

 最初はヤバい奴と組まされたとL.Aのボスを恨んでいたが共に依頼をこなしていく中で様々なシプラーヌの姿を見てきて信頼とは別の感情を彼は自然と持ち始めていた。 

 すぐ寝に行くのかと思ったら無言でこちらを見て来るので少しの間は気にしないようにしていたが無理だったし無言で見てきてちょっと気持ち悪かったので言ってやった。

「どうした?寝に行かないのか?」

「いや、意識しないようにしてるけど無理だなってね」

「....っぐっうう!?早く寝ろ!」

 なんかまた小ばかにする言葉が彼の口から出て来ると思っていただけに思いっきり彼女にとって不意打ちだったのだろう。思いっきりワインでむせていて苦しかったが、それよりもギルリアムに今の顔を見られたくなかったので部屋から出ていくように言った。

「はーい」

「今のは完全に不意打ち、ずるいよ」

 さっき飲んでぬるかったので、また冷やしていたワインを空のグラスに勢いよく注いで一気に飲んでだんだん酔いが回ったせいかもしくは恥ずかしかったせいか顔を赤くしてポツリとつぶやいた。

ギルリアムはというとよっぽど眠たかったのか魔法灯の明かりを暗くして寝るや否や寝息が壁越しに聞こえてきていた。


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