第38部分 とある日々に
ダンジョン3層はそこそこの量です。
2日かけて考えたので、いつもよりも結構長めです。読んでいただけると嬉しいです。
⇒昔書いた前書きなので記念に残してあります。
旧サブタイトル:ダンジョン3層で!
新サブタイトル:とある日々に
旧:4,030字 ⇒ 新:3,005字(1,025字減少)内容少し変わったのであまり参考にはならないかも!
ー・ー・ー
アレーク王国王都、ガルバールの一角にある宿屋で不穏な空気漂うやり取りがされている。
「聞いているな」
「ああ、お前の話そうとしていることは予想がつくよ」
「標的がパレードに参加する、だろ?」
「そうだ」
「今年は珍しく参加するからその時を狙えばいいかな」
「俺もそうしようと思っていたんだよ」
3人が見るからに高そうな酒を酌み交わしながら、薄暗い部屋の中で話を進めていく。
「毎回議題に上がるけど、どうやって国王を狙うの?」
「これをお前にやるよ。最新の武器らしい」
「良く手に入れたな。警備は厳重じゃないのか?」
「完成品は警備がきついが部品に関しては潜り抜けられる程度だったからここで組み立てた」
「さっきからごそごそしていたのはそういうわけか」
机の中央にアレーク王国が生み出したデルリッヒ工房らの傑作を無造作にのせる。ここまでに至った、いきさつを自慢げに2人に話始めた。
「俺も初めて見た武器だが殺傷能力は保証するよ」
「お前が太鼓判を押すとは....よほどの武器か。どう使う、教えろ」
「焦るなよ。まずこの安全棒を外して」
「これが安全棒?ほんとにその名前なのか?」
言われるがまま安全棒と言われたものを銃身から抜き、魔法灯にかざして聞く。直感的にそんな単純な名前じゃないだろうと思って。
「知るか!ネーミングセンス壊滅的で悪かったな」
「いつものことだろ?」
「より傷つくよ!」
「外したらどうする?」
「持ってきた黒い粉を入れた後に金属の弾を入れる。ここで撃つなよ!」
「耳元で怒鳴るなよ。俺を何だと思っているんだお前は」
酒が入っているせいか、一言一言が大きくもはや漫才。騒ぐ2人を片目に明日の朝宿屋の亭主に睨まれなないことを願いつつ、グラスに注いである冷えた琥珀色の酒を飲み干す。
「ならいいが。昔から好奇心が強いから心配だったんだ」
「いつまで経っても好奇心旺盛ですまないね」
「そのおかげで、上からの命令をいくつ失敗しそうになったことか!」
「思い出したら腹が立ってくるってか?」
「その通り!」
「「ぎゃはははっ!」」
喧嘩しだすかと思えば肩を組み合って大笑いしだす始末。いよいよ本格的に酔いが回ってきたようだ。
「お前ら酔い過ぎ。うるさいぞ」
「「はーい」」
「不味いな。酔いが覚めるとはいえ」
「....ここに20発の火薬があるから、今度町から出て人気のないところで練習してこい」
「わかった。練習してくるよ」
ポケットから出した、小さな瓶に入っている青色の液体を飲み干すと見るからに平常時に戻り、呂律もはっきりとしだす。
「言っとくけど殺傷能力は非常に高いが、命中させなきゃ矢と一緒だからな」
「パレードの日までには仕上げれるようにするよ」
「行動で示してくれ。いいな?」
「わかったよ。それと今日は遅いから泊ってくぞ」
「どうぞ~」
「....わかった」
泊っていくことに少し不満げにしながらもすぐいびきをかき始めて仲間を見てすぐ諦めるのだった。こうしてまた一夜、更けていく。
ー・ー・ー
日が昇り、時刻は昼頃。シプラーヌとギルリアムは仲良く王都の人気の店で仲良く昼食を食べていると、ギルリアムはふと何かを思い出したのか声に出る。
「あっ!」
「どうしたのよ、急に大声出して。目立つじゃん」
「ちょっと重大なこと思い出しちゃって」
思った以上に大声を出してしまい顔を赤くする。しかしそれも一瞬で重大なこと思い出し、真っ青に近い色だっただろう。耳を何かしらで塞いでから撃つよう伝えることがすっかり抜け落ちていたことに気が付く。
「今から行く?」
「いや、もう間に合わないかな」
「そう。じゃあ冷めないうちに食べよ」
「シプラーヌ、帰りにお酒買って行ってもいいか?」
「いいよ。でも早くしてね?」
「わかったよ」
余裕そうにしつつも、思い出してからは次会ったときに説教の長さを思うと料理の味がしなかった。一瞬話題に上がった本人はと言うと、王都からほど近い人の気配のしない森の中にいた。
「こんなもんか?ギルリアムに聞いておくべきだった。っ!音大きすぎ....間一髪だったか」
少なくない年月を生きてきた中で聞いたことも無い乾いた大きい音、そして強い衝撃に思わず銃を放り投げる。すぐさま左右の耳を交互に押さえ、鼓膜が破れていないか酷い耳鳴りのする中恐る恐る試す。
「思いのほか的が遠くなると当たらない」
独り言を呟きながら5発目の引き金を引くも当たらず、的近くの幹に傷をつけるのだった。
ー・ー・ー
昼食を食べ終えたギルリアムはと言うと、シプラーヌを店の外で待たせ酒を買いに来ている。
「おすすめの酒は入荷しているか?」
「予算と何系がいい?」
「銀貨15枚で白色。頼むよ」
「どうだ?珍しいサルベルシア女王国の銘柄だぞ」
一通り店を見るも珍しく興味をそそられる銘柄はなく、カウンターにいた店主に聞く。するとカウンター裏にある棚から一本取り出して提示する。
「いいね。一応味を知っておきたくて試飲はできるか?」
「構わないよ。軒先で待っている嬢ちゃんの分もやるよ」
「すまないね」
天井からつるされているグラスを2つ取り、少し注いで手渡す。一瞬アルコール臭がきつい気もしたがもう一度かいだ時にはそんなことはなく気のせいだったのかもしれない。
「サルベルシア女王国の銘柄らしい」
「珍しいね~2本買ってきてよ」
「結構高いぞ?」
「え~奢ってくれないの?それにしても丁度いいぐらいの辛口ね」
「....わかった」
危険な仕事だけあり、それなりに自分も稼いでいる。奢れと言われたときは驚いてしまったが、別に買えない値段でもないので渋々空になったグラスを受け取り店に戻る。
「これにするよ。彼女の分までありがとう」
「銀貨15枚な」
「2本あるか?」
「あるけどもう1本買ってくれるのか?」
「ああ、気に入ったらしくてね」
「高いから在庫が捌けなくて困っていたから助かるよ」
「銀貨1枚くらいおまけしてくれないか?」
「別にいいぞ?御贔屓に~」
瓶に布を巻き、少しでも割れにくくなるように丁寧に梱包してくれた。今までいろんなお酒を扱う店に行ったことがあるが5本指に入るくらいの丁寧さ。これを見てまたここで買いたいと思うのだった。
「例の件で今日もあいつが訪ねて来るだろう」
「またうるさくなるの?」
「今日はなるべく控えるよ」
「よろしくね!」
笑顔でギルリアムに微笑むも、その笑顔は少し怖かった。
ー・ー・ー
アレーク王国のザブロライト国王の執務室。外を見ればもう薄暗く、真っ暗になるのももう間もなくだろう。
「....絶妙な時に来るな」
お茶を貰おうと側近に頼もうとした瞬間、ヒィービル・リムルンド・パースンが入室許可を求めていることを部屋の外に控える近衛騎士からの思念伝達で伝えられ思わず独り言をつぶやく。
「失礼します!」
「お疲れ様。あの件はどうなった?」
「グリンディル6世に謁見し、支援が受けることになりました」
「よくやった」
思わずガッツポーズをして喜ぶ。もはや小腹が空いたことがどうでもよくなるほどに。
「お褒めに預かり光栄です。こちらが証明書になります」
「ありがとう。しばらく有給休暇にでもしてくれ」
「後処理と引継ぎだけ済ませてからもらいますね。では仕事に戻ります」
「今日は休んだらどうなんだ?」
「早く有給休暇にしたいので」
「なっ、なるほど。くれぐれも無理はするなよ」
「もちろんですよ」
文書を受け取る時、目の下にクマがあったことから心配の声をかけるも跳ね返される。有給休暇に対する強い情熱と眩しい笑顔に思わず気圧される王だった。
ありがとうございます。m(_ _)m




