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異世界は生きている  作者: 宮原 匠
第1章 驚異的な適応能力
34/409

第28部分 ぬぐいきれない汚れ

4/28:一部の変更を行いました。


旧:3495字 ⇒ 新:2,785字 710字減少。説明文を大幅に減らしたのが減少要因かな~?(2024/05/29)



 辺りの建物は2階建てや3階建てが多いのに対し、目の前の建物は数えてみると5階建てでさらに接道面は周りの建物の3倍はありそうだった。久々に高い建物を見上げ呟く。

「ここか。建物の大きさから違うとは」

「立ち止まるなら道の端のほうが良いんじゃないか?」

「そうですね。久々に高い建物を見たもので」

「まぁ確かに高いよね。連れは、いないの?」

「あいにく」

 優しい人かとハルは思ったようだが、連れがいないことを知ったとたん笑みが深くなった気がしたが気のせいだと思うことにする。だがやっぱり気のせいじゃなかったみたいだ。


「1人なのか。ちょっとこっち来いよ。知り合ったのも縁だし、穴場を教えるよ」

「急にどうしちゃったんです?」

「そんなことどうでもいいだろ?」

「そこ!その子が困っているじゃないか」

「ちっ、やっぱやめだ」

 腕を力強く握られ振りほどこうとしても振りほどけない。危うく薄暗い裏路地に連れ込まれそうになるがすんでのところで怪しさ満点のローブの女性に助けられた。


ー・ー・ー


 その後魔法省の建物内に入り、とんとん拍子に受付近くに大量にある椅子に机を介して助けてくれたローブを羽織った女性と向き合っていた。

「ありがとうございます!本当に助かりました」

「いいよ。ついて行くととことん漬け込まれるから気をつけたほうがいい。ここら辺に来るのは初めて?」

「はい、そうですね」

 顔は見えないが直感的にこの人なら信頼できると思い話始める。話始める前に何やら魔法を行使したようだったが特に害意も感じなかったので気にして居ないようだった。


「ここら辺は、繁華街の裏に次いで、治安が悪いところだから最低でも2人以上と行かなきゃ危ない」

「勉強になります」

「まだ自己紹介を、していなかったね。バラムレインだ、小さな冒険者さん」

「こちらこそ、助けていただいたのに自己紹介がまだでした。ハルと言います」

「よろしくね。所持している武器、今話題の武器だよね?」

「話題?初めて聞きました」

「少し覗いている装飾からドリクトン工房のかな?」

「武器愛好家?」

「ごっ、ごめんなさいつい夢中になっちゃって」

 いろいろ教えてもらっていたが、その後に始まった武器についての話にすべての印象を持ってかれる。ハルの服からは指先程度武器が見えていたのだがそのわずかな情報のみで言い当てられたので若干引いているようだった。


「別に気にしてませんよ」

「気にしてるでしょ....」

「バラムレインさんでしたっけ?良ければ見ます?」

「いいのか!恩に着るよハル君っ」

 しばらく息を荒くしている残念な美人になってしまっていたが、人の趣味にどうこう言うつもりもなかったので黙って眺めていた。


「ありがとう。とても有意義な時間だった。ところで、ポーションを買いにきたの?」

「そうです。ダンジョンに友人と行こうと思いまして」

「なるほど、じゃあ覚えておくといい。私はこう見えてもポーション界ではかなりの有名な人だからな!」

「初めて聞きました」

「結構有名なはずなんだけど....まぁいいか。これ、渡しておくよ」

「緻密な彫刻ですね」

「会計の時に見せるとちょっとしたいいことが起こるよ」

「....」

「無言にならないでよ」

「よくわかりませんが、頂いておきます」

「そうしてくれ。じゃ!」

 名の知れた有名人だと自負していただけあって、ハルに知らないと一刀両断された時は普通に悲しそうにしていて実に表情豊かな印象を与えた。別れ際に緻密な彫刻が施された金属板をハルに手渡し、また出会ったときにようにフードを深くかぶり魔法省を出て行った。


―・―・―


 独り言を先ほどまでバラムレインが座っていた席を背景に緻密な彫刻が施された金属板を眺めていた。しばらくして立ち上がり、今日魔法省にやって来た目的を果たすべくカウンターへ向かって歩き出す。

「表情豊かな人だったな....」


「ポーションありますか?」

「ポーションですね、様々な効能がありますがどの効能をお求めでしょうか?」

「けがの治療等に使いたいと考えています」

「わかりました、この中からお選びください」

「20種類全部が回復薬?どう選べばいいんだ....」

 奥にある棚から一冊の本をハルに開いて渡し、どの回復薬を買うのかを訪ねてくる。が、せいぜい5種類ほどだろうと思っていた回復薬は予想の4倍もある20種類もあり途方に暮れる。


「もしかしてここのご利用は初めてで?」

「そうですね、始めて来ました」

「それは配慮が足りず申し訳ございません。売れ筋はこの3種類になります」

「とんでもない、こちらこそ配慮をありがとうございます!」

 まったく回復薬の種類に知識が無いハルにとって、20種類もあった選択肢が3つにしてくれたことに自然と受付係に感謝の言葉を口にする。



「値段の差は効能の差でしょうか?」

「その通りです。値が張る方が高い効能を得ることが可能です」

「3つの中で一番高価な回復薬を3つお願いします」

「わかりました。銀貨5枚ですし立て替えます?」

「手持ちがあるので、それとこれを会計の時にと言われまして」

「....」

「申し訳ありませんが、私に付いて来ていただけますでしょうか?」

「いいですけど、できたら暗くなる前までには帰りたい」

「手短に済ませます」

 ダンジョンに行くのは初めてだったし、危険なところだと教わっていたため3種類の中ではほぼ迷うことなく一番高価な回復薬を選択し提示された金額と共にあの金属板を差し出す。


「君が推薦者、か」

「推薦者?なんですかそれは」

「知らないならまだ知る必要はない。本題に入ろうか」

「....」

「ポーションの中でも一番性能のいいものだ。多分この2本で、大金貨1枚分くらいかな?」

「だ、大金貨1枚分ですか!高価なものを受け取ることはできませんよ」

「それを可能にするのが、今渡してくれた金属板の効果だよ」

「じゃあ、いざという時に使わせてもらいます」

「そうしてくれ。推薦者を失うことは損失につながるからな。さて、手短にしてほしいとの要望だったしもう行っていいよ」

「高価な回復薬をありがとうございます」

「迷宮探索楽しんできてね~」

 逆に興味をそそられる言い方であったがなんとなく今は詮索するのは直感的に良くないと感じつつ、渡された回復薬の高価さに度肝を抜かれていた。


ー・ー・ー


 ところは変わり、バラムレインのもつ店。薄暗い店の中、1人の客が彼女に話しかけている。

「ハルという子にアレは渡せたか?」

「ええ、ちゃんと渡しておきましたよ」

「よくやった。これでハルとやらに推薦者である証を渡すことができたか」

「あの子に絡んでた人、どうするの?」

「あまりいいうわさも聞かないし抹消しようかな」

「怖いねぇ」

「あんたも片棒担いでんだから似たようなもんよ」

 あたかも自分は関係ない、悪くないという言い様だったのですかさず訂正してやる。当然ながら彼女は嫌そうな表情をするのだった。


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