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異世界は生きている  作者: 宮原 匠
第1章 驚異的な適応能力
32/409

第26部分 修復準備

4/27:一部を変更しました。


3017字 ⇒ 3015字 文字数減少した。


古いバージョンからの変更では今まで増えてたけど減少パターンは初だな。

―・―・―


 目が覚めると懐かしい天井を見て、自分の家でないことを理解した。だが、冷静になってみるととんでもないミスを犯していることに気が付いた。

「そうか、昨日は家に帰らなかったんだな。ん?んんんっ!」

「オーレックさん、どうかしましたか?朝から唸っちゃって」

「妻に帰らないこと言ってない」

「あー言わなきゃ怒られるルールとか?」

「うん、結構厳しいんだよね」

 自分にはもったいないくらいのいい妻。浮気といった思い当たる節は何一つないのだが世間一般の家庭に比べたらかなり厳しいルールがあった。悩んでいる時、部屋の外から声が掛かる。


「おーい、起きてるか!」

「あっああ、起きているよ。先行っててくれ」

「わかった、先朝食食べているからな~」

 一緒に悩んでやりたいところだが、昨夜は軽い食事しかとっていないせいかお腹が空いていた。立ち上がり、口を開く。


「俺も朝食、食べて来る。どうするんだ?」

「俺も行くからちょっと待ってくれ」

 部屋の外へ行けるような格好に慌てて着替え、ギランの後を追う。


―・―・―


 出された朝食を食べながら、理由は知らないがオーレックは浮かない顔をしていた。顔が暗い訳を聞きたくて話しかけた。

「どうしたオーレック、浮かない顔して。よく寝られたんじゃないのか?」

「....」

「妻に帰らないことを言っていなかったそうで」

「なるほど、俺は大丈夫だと思うけどな。納得してもらえそうな理由もあるし」

「ですよね?飲みに行って帰れなかったとかじゃないですし」

「まぁ、それだけ妻も心配なんだろうな」

 実際にオーレックは職場内の男性陣の中と比較してもかなり人気上位。面倒見もいいことが裏目となって、過去にも浮気未遂がかなりあったようだ。


「結構人気ですもんね。妻の気持ちもわからなくないですよ」

「だろ?未だに本人は理解してないみたいだけどな」

「グライン、大丈夫かな?」

「いいから食え!今日もやることたくさんあるんだから」

「....わかった。やっぱここの朝食は美味しいね」

 さっきまでは味がしなかったが、グラインから強く言われたのをきっかけにだんだん朝食の味がするようになってきた。記憶にある朝食を入れてもかなり上位に挙げてもいいだろうと思うほど美味しい朝食だと思う。


「美味しいですか?」

「これか?美味しいよ、いい肉使っているのかな?」

「今日の朝食のお代はいらないので評判をどうか広げてもらえませんか?」

「昔から有名な宿屋じゃないか、その必要はないのでは?」

「他の時間帯の客入りはいいんですが朝がどうも悪くて」

「なるほど。まぁ、別に評判くらいなら」

 突然話しかけられたのには驚いたが、話を聞いて評判くらいなら広げてもいいと思い承諾した。ダンジョンもあり、安定的かつ高収入の冒険者層も一定数いるグラーレンなら評判を聞いてきてくれる人もいるだろう。


「ありがとうございます!よろしくお願いしますね」

「人が少ない理由ってほかに比べて割高ってのが大きいと思いますがね」

「味はいいし、立地もいいから理由は値段だろうね」

「丁寧に製粉された粉を使っているから美味しいパンだよな」

「あと焼いた後の色味がいい高い小麦を使っているのもあるから見栄えもいいね」

 味だけでなく舌触りも良く、口にざらざらとしたものが残らないことから丁寧に製粉して焼き上げたパンなのだろう。問題と言えばほかにも朝食を提供している場所との価格差だろうか。かなり強気の価格設定だと一同は思ったよう。


「さっきから思うけどグライン、何度もお辞儀されているよな」

「ほとんどが顔見知りだし、高い階級の冒険者が多い」

「特にあっちに座っている人。高そうな装備だね」

「美味しかったよ」

「それは良かったです。お仕事頑張って下さいね」

「じゃあ、また夜の料理も楽しみにしているよ」

「満足していただけるような料理をご提供できるよう頑張りますね!」

 自慢ではないが高位の冒険者と顔見知りなのは誇らしいものがあった。そして食事を終え、去り際に一言グラインが受付係に伝えた。


ー・ー・ー


 この日は曇り、日差しも強くなく絶好の作業日和だろう。遅れてやって来たグラインに作業着を着た1人が話しかける。

「グライン、仕事をもう始めちゃってるぞ」

「バライト、すまんな。明日はもっと早く来られるようにするよ」

「現場監督はどうする?交代しますか?」

「いや、もしかすると仕事の量によっては不在にすることもあるかもしれない。だから引き続き頼むよ」

 今日こうしている間にも仕事は溜まっていく一方だ。自分が担当するよりは絶対に現場にいる人い任せたほうが良いという確信すらあった。


「わかりました!あと今日はグリングさんも来てますよ」

「えっ、あいつ来てるの?」

「オーレックさん凄いですね。グリングさんのことをあいつって言えるなんて」

「俺たちと同期だしな」

 けらけら笑いながら感心するバライトのことを笑っていた。


「バライトくん、どこにいるかわかる?」

「おそらく瓦礫の撤去作業の監督をしているかと」

「ありがと、現場監督は大変だろうけど頑張ってね」

「可能な限り夏季までには完成させたいですからね」

 今はまだ涼しい。人々の水の使用量が増える下記までには可能な限り完成させたいというのが皆の共通の考えだった。


ー・ー・ー


「グリングっ、久しぶりだな!」

「えっ、オーレック?やべぇ、いつぶりだろ」

「俺も記憶ないよ」

 固く握手して少し会話を交わす。お互い忙しい身であるため、前回会ったがいつかという話題でさっそく盛り上がる。


「とりあえずだな、意外と一夜で水が引いてくれたから補修工事をするためにどかしてるんだよ」

「こんだけぬかるんでいたらバルバでは運べないだろうからね」

「ああ、しばらく天気もよさそうだし長くても4日あればバルバで運べるようになるだろうな」

「まぁそれくらいはかかるよな」

 一度は冠水した道路。いくら天気が良くとも1日で乾く見込みはない。


「そうだな、それくらいはかかると思う」

「あっ、そうそう。この人ターインって子なんよ、今話題のね」

「もしかしてターイン法の考案者?いや、若いから違うか」

「お恥ずかしい限りですがターイン法の考案者です」

《....》

「凄いな。この若さで話題になるなんて将来が楽しみだね」

 自分の息子くらいの年齢にもかかわらず、多くの人から認められる技術を考案したと聞いて一同は驚きを隠せていなかった。


「たまたま用事で近くにいて緊急ということで連れてこられました」

「災難だったな」

「オーレックさんでしたっけ?あなたの横で悪そうな笑みを浮かべてる人からね」

「グライン。お前が呼んだのか?」

「考案者が居たほうが良いと思ってな。近くにいると耳寄りな情報を得たからね」

 にやにやしながらターインを呼びつけたいきさつを自慢げに説明するグライン。技術指導や提供を求める人々で引っ張りだこな忙しいターイン本人を呼びつけた発言力の大きさにはグラインの影響力を感じざるを得ないだろう。


「積もる話はさて置いて、とりあえずはグラインさんから聞いています。修復ですよね」

「私も忙しい身でね、間隔を置いてしか来れないかもしれないけど期待しているよ」

「わかりました、しばらくの間お世話になります」

「こちらこそ!じゃあオーレック、俺は戻るよ」

「久しぶりに話せて楽しかったよ」

「俺もだ!」

 グラインは冒険者ギルドでの業務をこなすため、現場から去っていく。夏までに完成させるという目標のもと久々の一大工事が幕を開けた。

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