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異世界は生きている  作者: 宮原 匠
第1章 驚異的な適応能力
28/409

第22部分 夕食だ!②

続きとなっています。




今日はひな祭りですね〜

m(_ _)m

4/27:一部の変更をさせていただきました。


「わかったってば!」

「明日、買いに行くか。魔法総合ギルド、グラーレン支店っていう店だ」

「冒険者ギルドみたいに組合みたいなのがあるんだね」

「冒険者ギルドみたいに誰でもなれるんじゃないけどな。素質がいるんだよ」

「あれ?そうだったっけ?」

 てっきり冒険者組合と同様に誰でも担い手になれるのかと思っていたようで、少し驚いた様子だった。

「そうだぞ?おいおい、授業ちゃんと聞いているんだろうな?」

「知っている事ばかりでつまんないんだよ」

 どういった仕組みかよくわからないが多少の認識のずれはあるものの、ほとんどの知識は脳内にインプットされていて、授業は寝ていても付いて行ける状況だった。が、いくら知識があれど器用さは地球と変わらず微妙だったので主席ではないものの常に上位だったので先生も次第に文句を言わなくなったから嬉しかったことを覚えている。

 いろいろと雑談をしていたら料理が運ばれてきて自分たちの前に置かれた。

「支払額をここに置いておきます。ごゆっくりどうぞ」

「おお~いい匂いじゃん。お腹空きすぎて今すぐかぶりつきたくなっちゃうよ」

「だろ?いい店なんだよ」

「いただきます。さすが看板メニューなだけはあるね」

 ハルが注文したのは香草焼き。絶妙な具合に香りづけされていてまたそれが食欲を掻き立てる。最近は肉ばかりだったので体が魚を求めているのか先程からよだれが止まらない。

 ご飯だったらもっと最高だが文句は言っていられない。骨ごと食べないように身をとって口の中に運ぶ。美味しい、その一言しか思いつかないくらい久しぶりの魚は旨かった。その後にご飯を想像しながらパンをちぎって口に放り込む。

「そうだろう?」

「ダッチのオススメの店はハズレなしなんじゃない?美味しいよ」

「ん?前来た時よりもおいしい気がする」

「常に味を追求しているのかもね」

「そうなのかも、あともう一つ相談したいことがあるんだけどいい?」

「むぐむぐ。ほうひはの?」

「お口の中がなくなってからでいいよ」

 そう言ってダッチもまた一口食べる。焦げ目がまた香ばしくておいしい。前は1人で来たがやっぱり誰かと食べるとより美味しく感じる。ハルが食べる前に手を合わせて祈るようなしぐさも、最初は何をやっているのか気になったけど彼との食事の回数を重ねるごとに気にならなくなっていた。

 さっき聞かれたときは口の中に旨い魚があったが口の中で堪能した後飲み込んだ。

「で、相談って何かな?」

「図書室のパルメキア帝国古代文献を読むことができるって本当?」

「ああ、あの図書館に置いてある古い本のこと?時間はかかるけど一応読むことはできる」

「それそれ、何が書いてあるか読めない本。噂は本当だったんだな」

 家にある同じ言語で書かれたん文献を読みたくて一時期何が書いてあるのか解読に挑戦したがあまりにも意味不明すぎて挫折しそのままになっている。

 そんな記憶を忘れそうになっていたとき、同級生のとある噂を聞きつけて藁にも縋る思いでこっそり覗きに行くとそこにはハルが友達と一緒にいて、内気な性格だと思っていたハルがその中心にいたことには心底驚いた。

「噂にもなっているのか....やだなぁ」

「本当に読めるならさ、今度うちに来てくれないかな?頼むっ、この通り!」

「ダッチの頼みなら別にいいよ。けど噂になっているなんて初めて聞いたよ」

 たとえ来てくれなかったとしても我が家の家宝にしておけばいいだけなのだが、やっぱり内容は気になるのが本音。行っても良いという返事を聞いたときは言葉に言い表せないくらい嬉しさだった。

「じゃあまた近いうちにお邪魔させてもらおうかな」


―・―・―


 久しぶりの魚を心行くまで堪能し、完食した。目の前の魚はもう可食部はきれいさっぱり無くなっていた。

「ごちそうさま。いや~美味しかった。改めていい店を紹介してくれてありがとう!」

「それは良かった。ハルは食べるの早いね」

「そうかな?ダッチがよく喋っていたからだと思うよ」

「確かにな、俺はこんだけ残ってるよ」

「武器の手入れとかしているからダッチはゆっくりでいいよ。それにしても美味しかった」

「ギルド長のお墨付きだから当然じゃないかな?」

「ってことは、ギルド長に認められなくてはここに店を出してはいけないってこと?」

 ダッチは暇なときは冒険者として依頼をこなして、その帰りに仲間といろいろな店に行っていたこともあり、冒険者組合の近くにある店に詳しかった。

「そんな感じかな。その中でも穴場の店を案内したんだ」

「色々調べて案内してくれてありがと」

「俺もまた魚料理食べたかったからちょうどよかったよ」

「いまさらだけどさ、いっつもダッチって呼んでるけど本名ってどんなのなの?」

「ダッチ・アルドルフ・デ・ヘルマールだよ?あ~もしかして言ってなかったかもね」

 これは授業で習ったのと、興味を持つような授業内容だったのですぐに気付いてダッチに尋ねる。2つで構成されるのが普通だが、それ以上の名前を持っていると位が高いそうだ。

「ん?もしかしてダッチって貴族位?」

「叔父の代で没落してから名ばかりの貴族位だけどね」

「知らなかった。なんかごめん」

 額をぽりぽり掻きながら苦笑いしながら話すダッチ。お世辞にも質問に答える様子はあまり嬉しそうではなかったこともありハルは興味本位で直接聞いたことを少し後悔する。

「俺は別に気にしてないけど、いろんな人がいるからね。面倒だから首を突っ込むのはオススメしないよ」

「わかった、覚えとくよ」

「そうそう、階級を聞くのは直接じゃない方が無難だよ。さて、俺も食べ終えたし話したいことも話せたからそろそろ出ようか」

 ダッチは自分が貴族であるというプライドはすでに捨て去っていた。家の状況を実際に見てしまえばもはや捨てざるを得ない状態だったこともある。中には過去の栄光に縛られた貴族も少数ではあるがいるので階級に関してはダッチの言ったように直接尋ねないのがこの世界において無難だろう。

「わかった、今日はいい店をありがとね」

「おう、また食べに行こうな!」


 会計を済ませて店の外へ出た二人、辺りは街灯なしでは歩けないくらい暗くなっている。

「ありがとうございましたー」

「なぁ、星が綺麗だな」

「そうだね。ハルが来てあともう少しで半年か」

 星の位置は完全に違うが上に広がる満天の星空の美しさは変わらない。一人で住んでいる部屋から眺めることはあったが、誰かと眺めるとまた違った美しさがそこに広がっている。

「まだそんなに経ってないだろ?」

「そうだっけ?まぁいいや。今日は楽しかった、おやすみ~」

「おやすみ~」

 ダッチと別れ、時折美しい夜空を眺めながら帰路に就く。


ー・ー・ー


ハルはダッチとギルドへ行っていた頃、図書室には普段いないはずの1人の教員の姿がある。当然普段はいない人なので来館者の注目を集めている。

「ハルさん来ませんね~」

「どうしたんでしょうか?いつもだったら来てもいい時間だけど」

「私に聞かれても知りませんよ~」

「今日は来ないんでしょうか?」

こうして待っていたエルクレア先生とレアニダースがいた。多くの生徒や入館許可証を持った人が暇つぶしも兼ねて本を読みに来るが待てど待てど目的とするハルの姿は一向に現れる気配が無い。

「今日は諦めてオーレックさんとこ戻りましょ」

「ですね、もうすぐ図書館の閉館時間ですからね」

 外が暗くなってきたのと、今日11回目の鐘が鳴り響く音が遠くからしてきた。時間は17時くらいのようだ。この時間になってくると人の姿もまばらになり、今利用している人数は両手で数えられるくらいだろうか。


 そんな話をしているうちに閉館時間となり、職員室に2人は戻って来てオーレックの執務室へ報告にやって来ている。

「ん~そうだね。直接ここまで来てもらうように言ったほうが早いかもね」

「じゃあ、なんで最初からそうしなかったんですか!」

「いや、エルクレア先生が行く気満々だったからね。邪魔しちゃいけないかなと思うほどだったからですよ」

「なっ、そうだよなぁ、レアニダース」

「ええ、そうでしたね」

 実際にその通りだったので、やる気があることは大いに良いことだったので水を差すことなく彼女のやりたいようにやらせだのだが、結果的に思うようにはいかず苦笑いする2人がいる。

「わかりましたよ!で、誰が行くんですか?」

「そこはもうエルクレア先生でいいでしょう」

「わっ、私ですか!?」

「ああ、頼んだよ。明日の放課後にここにくるように伝えておいてくれ」

「わかりました、明日の昼までには伝えておきます」

 その役割を嫌そうにするも結果が結果だったので反論できず、あす本人に直接伝える役割を了解したのだった。

「「頼んだよ」」


 オーレックを除く教員は明日の授業内容の確認だけ済ませた後、それそれまた1人また1人と帰路へ着くのだった。




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