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異世界は生きている  作者: 宮原 匠
第1章 驚異的な適応能力
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第20部分 冒険者に

試験が一段落したので投稿します。

また、月曜日に試験があるので大変です....

投稿した当初に書いたのでしょうか?懐かしい、、、


ある人がこの案を建てたが町の人による反対で廃案となったもの。

挿絵(By みてみん)

―・―・―


 馬車に揺られながらダッチとハルの2人は冒険者ギルドへ向かっている。

「ダッチ、馬車って結構走っているけど事故とか起きたりはしないの?」

「ん~ちょっと前まではよく起きていたはずだよ」

「やっぱりあるんだねぇ」

 疑問に思ったことを街の風景を眺めながらダッチに質問する。その質問にダッチは首を横に振り、その話はむしろ過去のものだと話し始める。


「と言っても、それは25年前くらいだけどね」

「えっ、あっそうなの?」

「事故が発生するのは主要路じゃなくて脇道とかだったからね」

 街の主要路の死角を無くそうかっていう案も出たようだが、街の人や商人によって反対されたためこの提案は没になった。通路が狭くなるのと、工事のための資金はその通りにある店が出し合って賄うという案だったので猛反発を食らったそうだ。


「脇道の角をなくすってどうやってするのさ?」

「そりゃ、角を削ればいいだけだよ」

「意外と単純だったな。信号とか作ったのかと」

 簡単ではないだろうが角にある店を潰す、それか信号を作って解決すると思っていただけあって思っていた以上に単純な解決案だったので難しく考えてしまった。


「そこにも信号とか合図が出るようなところを作ったらそれこそ恐ろしいぞ?」

「信号だらけだね」

「それもあるけどコレが掛かっちゃうよ」

「みんなが住みやすく快適な街って難しいね~」

 にやけながら親指と人差し指をくっつけて輪を作ってハルに見せる。ハルはこっちの世界でもお金のことを指で輪を作ってみせるのは共通なんだ、と笑いながらしゃべっていた。


「今みたいに馬車の通行を主要路のみにしたら事故は格段に減ったはずだよ」

「不便にはなるけど事故が起きるよりは、ってことか」

「そゆことみたい」

「ふ~ん」

「なんだよ~せっかく丁寧に教えたのにぃ」

「もうすぐ冒険者ギルド前だから、降りる人は準備しておけよ〜」

 2人は馬車の事故について話しているうちに目的地はすぐ傍になっている。たまにズルする奴がいるから駅からの出発前に確認はするが面倒なので目的地が近いことに気が付いていない人の為に親切に毎回呼びかけていた。


「そういえば、道の舗装って偉大だね~」

「王都みたいに主要路は舗装されているからね」

 かなり揺られて気分が悪くなった時のことを思い出しながら、改めて舗装された道の偉大さをかみしめるハルがいた。


ー・ー・ー


 馬車が駅で止まり、ハルとダッチは駅に降り立った。降りて真っ先に目に飛び込んできた建物は大きくそして頼もしい雰囲気を醸し出していた。

「こっ、この建物大きいね!」

「冒険者ギルドは街の鏡みたいなものだからね」

「どゆこと?」

「まぁ、冒険者ギルドでこの街が栄えているかどうかが分かるってことだよ」

 人口も少なく栄えていなかったりすると無駄に大きくても意味がない。だから、近くに迷宮ダンジョンがあるここグラーレンは冒険者ギルドの大きさは町が栄えていることの表れ。ハルは、ここの街が初めてなので比較対象がないので当然わからないだろう。けれど、この冒険者ギルドはサルベルシア王国の中でも巨大な迷宮ダンジョンがあるおかげで規模が指折りなのだ。


「冒険者ギルドが大きい分その町が栄えているということ?」

「そういうことだ。さて、ハルにとっては記念すべき冒険者に向けての第一歩かな?」

「冒険者になるとは言ってないんだけどな」

 死ぬのも怖いけどせっかく第二の人生をもらったんだから死にに行きたくもなかったので冒険者になるなんてこれぽっちも考えていない。


「なんだよ、釣れないな~あっ、そうそう!酒場の方はあんまり見ない方がいいよ」

「なんでよ?」

 アルコールの匂いがハルの鼻をくすぐる。お酒が好きだったのもあって思わず生唾を飲み込んでしまった。ふと自分が写った鏡を見てこの姿じゃ飲めないことを言われずとも悟るのだった。


「変に絡まれると大変だぞ?」

「確かにそうだ」

「さて、連れをよろしく」

「わかりました....こんばんは、新規の方でよろしいですね?」

「はっ、はい!」

 ハルの返事を聞くや否や手慣れた手つきで書類をどこからともなく取り出してまた戻って来た。場所が場所なのと何とも言葉に言い表せないような雰囲気もあって緊張せずにはいられない。


「まず、今回の登録を進めさせていただくサレアと申します」

「よっ、よろしくお願いしますサレアさん」

「こちらこそ。ではまず自分の冒険をする上で使う名前をここに記入してください。偽名でも構いませんが、自分だということが分かるようにしてくださいね」

 誰でもなれる冒険者、それこそ軽犯罪者でもなることが出来るので名前を知られたくない人も一定数いる。冒険者組合としては依頼さえ達成してくれれば問題ないので偽名も認めている。ただ自分で付けておいて忘れる人も稀にいるので注意したいところだ。


「わかりました」

〈どうしようなぁ~まぁいいか、ハルで〉

 この世界に来て初めて紙らしい紙に筆を滑らせる。ゴワゴワしていたり、凸凹していて書きにくいというストレスが全く無い良い紙だった。


ー・ー・ー


「できました!」

「....登録させてもらいます、髪の毛を1本もらえますか?」

 大抵、上と下の名前を持つ人が多いのと、偽名でも上下の名前を書いてくる人が多いのであからさまに偽名だと言っているような名前に思わず黙ってしまう受付係。そこそこのお金を支払うか級が上がるごとに変更できるのであえて言うのも面倒だったのでそのまま進める。


[すごいなこれが本で読んだ魔法道具っていうものか....]

「何度も言わせないでください」

 髪の毛を適当に少し痛かったが1本抜いて渡す。これで登録ができるなんて不思議な世界、元居た世界とは別世界なんだと実感する。


「わっわかりました。これでいいですか?」

「登録してきます。少しお待ちください」

 やっと帰れると思ったのに面倒な新人登録。微妙な時間に来るなんて厄介極まりない。しぶしぶかわいい青年だったこともあって受けてやったがやっぱり面倒なものには変わりはなかった。


「できました。これで今日から....いえ、今日はもう遅いので明日からあちらに貼ってある階級相応の依頼を受けることが可能です」

「どのようにすればいいの?」

「先程一緒にこられた方に直接聞いたほうがわかりやすいと思います」

「そうですね、じゃあそうします」

 受付係に聞くのもいいとは思うが彼女にもほかの仕事があるだろうし、それくらいはダッチに聞けばいいと思いその提案に乗った。


「あと、これを持って行ってください」

「カード?」

 さっき紙に書いた名前が彫り込んである金属製のカードが渡される。


「これは、あなたの身分および何級冒険者なのかを示す上でとても重要なものなのでくれぐれも無くさないでくださいね」

「もしもなくしてしまった場合はどうなってしまうんですか?」

「また髪の毛を1本をもらって新しく作ります」

「さすがにタダじゃないですよね?」

「そうですね、手続きが面倒なので金貨1枚はかかりますね。あとペナルティも」

「それなりに高いね」

 金貨1枚ならかなり高価だし、ペナルティもあるなんてよっぽどなくしてほしくないみたいに聞こえた。よほど手続等が面倒なのだろうか?と考えてみる。


「ペナルティに関しては有名なので、一緒に来られた方も知っているかと」

「あとで聞いてみます。今日はありがとうございました」

「いえいえ、依頼を受ける際はくれぐれも油断しないように」

 何事も慣れてきたころが一番怖い。慣れてきて、つい油断や意識が散漫になってそれこそ冒険者は命を懸けていることを忘れ、亡くなる人は数知れず。自我を持たない植物だと侮っていればたちまち養分になって彼らの成長の糧にされてしまうだろう。


「わかりました!」

「カードは忘れないようにしてくださいね?」

「あっ、ありがとう。忘れるところだったよ」

 受付係の言葉には経験からか重みや気迫がありハルはすっかり気圧されてカード存在自体を忘れていたみたいだ。

 そして、登録と話がちょうど終わった時ナイスタイミングでダッチが駆け足で戻ってくる。


「終わったか〜?」

 休憩場所に本当に偶然ダンジョンによく一緒に潜入するパーティのメンバー1人がいたのでスケジュールをすり合わせていたのだ。その予定のすり合わせも終わりまたハルの元に戻ってきた。


「うん、無事登録完了したよ」

「よかったよかった、じゃあ夕食に行くか!」

 穴場で美味しい店を最近見つけたので、今夜はそこに行こうともう昨日のうちから決めてあった。

 ギルドが近いこともあって、あらかじめ何を食べようか決めていなければ迷うのはほぼ確実なくらい周りには多くの飲食店が連なっている。


「お腹すいたね~」

「わかる~」

「それといろいろ聞きたいこととかあるからよろしくね?」

「わかった。確かあと5分ほどで次の馬車が来るからそれに乗って行くか!」

「そうしよっか、急ぎの話じゃないし」

 ペナルティの件や依頼の受け方、ダッチが自分の冒険者登録中どこに行っていたかとか聞きたいことがたくさんある。急を要する話でもないし、今はお腹がすき過ぎていてどうでもよくなっている。外からの飲食店のおいしそうな匂いは空腹をさらに加速させていたのと、酒場の雰囲気がそろそろヤバくなってきた。


「わかった、ここで立ち話もアレだし」

「だね」

 依頼を完了した冒険者が戻ってきているのか、来た時よりもかなり人が増えてきている。

 ここに来た時は、まだ外は明るかったが窓ガラスから見る外はもう薄暗くなっていた。また、隣接している酒場からは騒ぐ声や店員を呼ぶ声や怒鳴り声と、やばめに盛り上がって楽しそうな雰囲気が少し離れているけど2人に十分伝わってきた。


「おっ、もう街灯が点いてる」

「もう暗いからね~」

「平和でいいな....」

「ん?なんか言った?」

 〈いいな?よっぽどお酒が飲みたかったのか?〉

「独り言、気にしなくていいよ」

「ならいいけどさ」

 街灯に照らされた駅までの道を2人は横に並んで歩いていくのだった。


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