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異世界は生きている  作者: 宮原 匠
第1章 驚異的な適応能力
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第19部分 パルメキア帝国古代文献〜②

2019年4月19日~2023年9月10日まで改善修正を行ってきました。


 生活保護ギルドの書物館の管理を任されているレアニダースは、ゆっくりと話し始める。

「オーレックさん実はですね、この古代文献を読める人がいるみたいなんですよ....」


 興味を持ったように答えるオーレック。

「ほう....」


 レアニダースの発言が信じられないとばかりに、声を荒げるエルクレア。

「あっ、あの文字が読めるわけないじゃないですか!」

 ため息をついてオーレックは話す。


「エルクレア、レアニダースの話はまだ終わってはいないぞ?」

 人が話しているのにそれを遮ってしまったことを快く思わないオーレックが言う。


「はい、そうでしたね....」

 オーレックの話によって冷静さを取り戻したようで大人しく引き下がる。


 二人のやりとりを見ていて、説明を止めていてくれた。

「あの、いいですか?」


「ああ、話してくれ」


 これだけは言わせて欲しいとばかりにエルクレアは話す。

「レアニダースさん、今まで読もうとしてきた考古学者がどれだけいると思っているんですか?」


「私も信じられないのですがね....」

 少ししょんぼりしたように話す。


「じゃっ、じゃあ何故に?」

 先程オーレックに言われたことをすでに忘れてしまっているのだろうか?オーレックは無言の圧をエルクレアに課しているのだが当の本人は気がつく素振りがない。


「借りていく人たちのやり取りを見ていたのですが読めているとしか思えなくて....」

 自分も信じられてはいないようだが、自分の目と耳で確認してしまったようだ。だから、このことは事実だと....


 会話が一時的沈黙の時間となった時、オーレックは口を開く。

「レアニダース、あの本を盗むつもりだったのか?」

 オーレックは一番聞きたかったのはこのことなのだろう。


「とんでもない。私は、あの本に発信機がつけられていることを知っていますからね」

 その事を知っていたとばかりに自信ありげに話す。


「っ!?そのことを知っているとは....」

 自分だけしか知らないと思っていたら、レアニダースが知っていたことに驚いたようだ。


「ええっ!?そうなんですか?初めて知りました....」

 発信器がついていることを知らなかったようで目を丸くさせて驚いている。


「まあいい、レアニダース、お前が読むことができるってわけじゃないよな?」

 多少バレていたことを気にしているようだ。だが、気を取り直してレアニダースに問いかける。


 あからさまにいやそうに言う。

「あんな難しそうな本を読もうとは思いませんよ....」


「....いったい誰だ?」

 そんな隠された才能を持つとある人物。その人物を早く教えて欲しいと身を乗り出す。


  レアニダースはさらに詳しく話し始める。

「最近、勉強熱心な子がいてその子に銀貨1枚もらって貸していただけですよ」


「銀貨1枚か....高額すぎるの貸出料金だな」

 ちょっと否定的に、嫌味のこもった言い方で返す。


 それに反論するレアニダース。

「貴重な文献を貸し出すんですよ?それくらいが妥当だと思いますがね」


「その子の名前は、知っているのか?」

[銀貨1枚か....どこかの貴族か?レアニダースの奴ぼったくりすぎるだろ....]


 少しの間、うつむいて考え込んだあと、前を向き思い出したという感じに話してくれた。

「確か、ハルっていう名前の子ですね」


 突然何か感じるものがあったのだろうか?あてもないのにレアニダースに尋ねる。

「あっ、あの3年2組のハルっていう子ですか?」


 その質問に答えられずすまないとばかりに言う。

「ハルっていう子のクラスまでは知りませんね....」


「ハル、か....珍しい名前だったから覚えている。多分、エルクレアが言った3年2組のハルであっているだろうな」

 憶測だが、記憶では平民系統名はハルただ一人だということを覚えている。故に、確信に近いと話す。


「偽名の線はありえないのですか?」

 パルメキア帝国古代文献という貴重な文献を借りるのだ。何かあった場合に逃れられるように偽名の線も考えられるんではないかと視野を広げたようだ。


「そんなことをすると思うかね?」

 まだ、社会経験の浅い生徒が偽名などを使うのだろうかとオーレックは疑問視する。


 そして、このエルクレアの発言でまた大きく自体が動く。

「似顔絵とかがあったらいいんですけどね....」


 良い案だとばかりに、叫ぶ。

「それだっ!資料室にハルのことが載っている資料があるはずだからエルクレア、それを持ってきてくれないかな?」



 オーレックが目をつけた生徒のことを調べさせて資料に保管してあるのだ。

 将来の投資のためにも活用され、生徒たちの目標はそのリストに載ることだがなぜその資料のことが知れ渡ったのは謎のままだ....



「わかりましたっ!ちょっと待っていてください」

 オーレックの要求を理解し、颯爽さっそうに去っていくエルクレア先生。

 その速さに驚いた人が多く、噂にまでなったと言うことは本人が気がつくまで内緒にしておこう。


 オーレックは、確認するように言う。

「レアニダース、その子の顔は覚えているか?」


「ええ、覚えていますよ」昨日も訪れていたので忘れてはいないのだろう。

 自信がたっぷりあるように答える。


ー・ー・ー・ー


〜数分後〜


 急いで取りに行ってくれたのだろう、息が少し湿っている。

「オーレックさん持ってきましたよ」


 早速受け取り、まとめてある資料からハルの名前を探し始める。

「おお、ありがとう」


 

「いっ、いえ....別にこれくらいお安い御用ですよ」

 疲れているようだが、本人は早く真相が知りたいのか話は広がらなかった。


「レアニダース、この子かい?」

 エルクエアに持ってきてもらった指差しながらレアニダースに言う。


「ええ、この子ですね」

 自分もその資料を覗き込みながら、間違いないという自信ある表情をする。


「そうか....わかった。レアニダース君、君の言っていることが本当だったらこのことは不問にしよう」


「いいでしょう」

 想定通りだとばかりに頷きながら話す。


「もう行っていいぞ....」

 何かを考えているようだ。意識は、レアニダースにはなかった。


「では、私はこれで失礼しますね。ふふっ....よろしくお願いしますよ」

 この取引は勝ったとばかりに軽い足取りでオーレックの執務室を去っていった。



ー・ー・ー・ー

 レアニダースが去っていった部屋にて〜


 気楽な様子でこの部屋を出て行ったのを確認して真っ先にオーレックに話しかける。

「彼の話してくれた事は本当のことなんですかね?」


「さぁな....でも、自信ありげに話してくれたからどうなんだろうな?」


「そうですね....」


 そして良い考えがあるたばかりに、不敵な笑みを浮かべながらエルクレアに話す。

「まぁ、このことを不問にするには、ハルがパルメキア帝国古代文献を読めたら、だけどな?」


「なるほど....もしかしたら、借りて模写しているだけかもしれませんしね」

 エルクレアはオーレックの考えを理解し、自分も微笑みを浮かべそうになり、口元を押さえる。


「もしもハルがこの本を読むことができなかったら....」


「レアにダースは、警備隊に引き渡せばいいだけですね!」


「そうだ、くくく....楽しみだ」

 自分の計画が完璧なものすぎて思わず笑いがこぼれ落ちた....


「楽しみですね〜」


「多分、ハルは読むことはできないだろうからな。だって、まだ10歳だぞ」

 付け足すように、エルクレアに語りかける。


「明日が楽しみです」


「そうだな。エルクレア、明日ハルがここに来るように言ってくれないかな?」


「別にいいですよ〜」


ー・ー・ー・ー


その頃〜


「ダッチ、急に呼び出してどうしたんだい?」

 首をかしげながら、ダッチに尋ねる。


「久しぶりに外食でもしないかい?おごるよ」


「どっ、どうしたの?急に」

 会ってすぐに外食へ行こうという話なり不審に感じたようだ。少し本物のダッチかどうかを怪しむ視線を送りながらダッチの話を聞く。


「ちょっと話したいことがあるからいいかな?その席で頼むよ!」

 懇願こんがんするようにハルに語りかける。


「本当にいいのか?」

 食事を奢ってくれるのだ、素直に嬉しいが対価としてどのような相談がとんでくるのか少し心配そうなハルだった....


「いいんだよ、なっ?いいだろ?」

 ハルにグイグイ迫るダッチ。


 そのダッチの気迫に押されついにどうするのかを口に出す。

「お言葉に甘えさせてもらおうかな〜」


「よっしゃ!今から行こうぜ!」

 飛び上がって喜び早速行こうとハルに話しかける。


「えぇっ!?いっ、今から!?」

 早速出発しようとするダッチに困惑するハル。しかし、今は荷物を持っているので....


 ハルが、戸惑っているのをみていて推測してくれたようだ。

「ん?ああ、荷物か!」


「置いてきていいか?」


「もちろんだよ、外で待ってるね」


「ありがと、すぐ戻ってくるから!」


ー・ー・ー

 ハルが荷物を自分の部屋に置きに行っている頃〜


「あと2時間くらいしたら夕飯にちょうどいい時間だな....」

 独り言を呟き、考える。

 ....この隙間時間に冒険者ギルドでハルの登録を済ましておくことができるのではないか?その考えに至るダッチ。

 ハルの戻ってくる姿が確認できたので早速実行に移す。


ー・ー・ー


「なぁ、ハル。まだ冒険者ギルドには登録していなかったよな?」

 待ってくれている自分のために急いで来てくれたようで息が上がってしまっているハル。


「はぁ、はぁ....そんな隙間時間で登録は完了するの?」

 なんとかダッチの返事をするハル。かなり苦しそうだ。


「俺の時はそれくらいだったから多分ハルもそれくらいなんじゃないかな?」

 自分の経験をもとにハルに話す。


「へぇ〜....」

 ようやく息も整ってきたようだが、少ない口数で返事をする。


「人はあるイベントで少ないと思うからね」



 王都にある闘技場にて開催されている第510回目の大会が行われている。

 今は、冒険者もかなりそっちに流れているせいかこっちの冒険者もいつもよりかは少ないのだ。

 だから、普段だとこの時間帯と朝方が一番混んでいる。だから当分は、この時間は混雑しないだろう。



「大きな祭典なんだね〜」

 2人で会話を楽しみながら、馬車乗り場へと歩き始める。


「君も一度は行って欲しいくらいだなって思うくらいわくわくするよ!」

 自分は行ったことがあるので、とても盛り上がる祭典である事を伝える。そして、ハルにもぜひ行って欲しいとばかりに宣伝する。



 コロシアムは王都にしかない。だが、他の国と比べるとちょっとだけだけど規模が大きい。



「そうなんだ....でもそんなに王都に冒険者が流れて行ったらグラーレンの守りが手薄になってしまうんじゃないの?」

 心配そうに言うハル。


 心配するなとばかりに、胸を張りながらハルに話す。

「対策は取られているみたいだよ」


 安心したようで肩をで下ろし、ダッチに問いかける。

「どんな対策をしているんだろう?ダッチは知っている?」


「ああ、それはだな....確か今は、クエストの報酬が、普段より少額だけ高くなっているんだよ」


 故に、これを狙っている人もいる。また、闘技大会に出場して一攫千金を狙って王都に行く人もいる。



「低ランクの人はどっちかと言うとこっちに残っている人が多そうだね」


「そうでもないと思うよ?王都に行ってお金を賭けたりする人もいるみたいだけどな」



 恐らく、大半の人が損をしているはずだ。

 なぜかと言うと、ここから王都のサルベルシアまで行くのにもお金がかかっているからだ。



賭博とばくまであるんだね....それだけ賑わっているってことなんだね」

 気の毒そうに言う。自分も昔なにかしらの経験があるようだ。


「すごい盛り上がりだよ〜」


「優勝したら何があるのかな?」


「確か、女王サルベルシア3世に謁見が許されるんじゃなかったっけ?あと、大金貨100枚が報酬として渡されるんだった気がする」


「闘技大会についてはあまり知らないからわからないよ....この国に来て、まだ1年も経っていないしなぁ....」


「女王様のの名前だけは覚えておいたほうがいいと思うよ」

 説得するようにハルの顔を見ながら話す。


 ダッチが珍しく自分お顔をよくみながら話したので重要なことだと判断できたようだ。

「わかったよ。ちゃんと覚えておくよ」


 ハルの返事にに安心したようで頷きながらまた歩き始める。

「うんうん、絶対そのほうがいい」

「それにしても、大金貨100枚か....一生遊んで暮らせそうな褒賞金だね〜」

 金はいくらあっても困らない。羨ましそうに話す。

「一生は無理なんじゃないかな?大半がお酒や賭博などで使い果たしているみたいだし....」

「お酒か....美味しいのかな?日本酒が美味しい!って思ったことがないんだよなぁ....」

 大人の嗜みとあり、飲んだことがあるようだがいまいち好まないようだ。

 このことは、後ほどありがたい幸運を招くことになろうとは、この時は微塵にも思っていなかったハルであった。


「それはもっと大人なってから確かめれることだね」

 早く自分もお酒を飲みたいとばかりに、グラスで大人が酒を煽る仕草をするダッチ。



 実際にこの大会で優勝した戦士がたった一週間で大金貨100枚を使い切ってしまったっていう話もあるくらいだ。

 王都は物価が高いこともあって遊んで生活していたらあっという間になくなるだろう。



「女遊びとかもあるのかな?」

 日本の自分が住んでいた街にも花街はあり、2、3回お父さんが夜中にこっそり母に内緒で行っていたことがバレて怒られていたことを思い出し、ダッチに聞いてみるハル。


 ハルから出てきた言葉に驚きながら質問に答える。

「王都にもあるし、グラーレンの南西にも大きな繁華街があってそういうジャンルの店はたくさんあると思うけど....」

「あるんだ。ないわけないか」

 やはりこの世界にも需要があるのだと知ってしまったハルであった。

「俺は、とてもじゃないけど今はそんなことに高額なお金は払いたくないな」

「なくならないってことはやっぱり行く人がいるからってことだよな?」

「まぁ....需要があるってことだろうな」


 ほんの少し歩き、冒険者ギルドへ来るときに使った駅まで戻ってきた。

「馬車で移動、やだなぁ~」

「嫌なのは、俺もわかる。でも、歩くよりはマシじゃないか?20分かけて行くか8分くらいで行くかっていうのだったらまあいい方じゃないか?」

 乗り物酔いする人からしてみればできれば乗りたくないだろうが便利な面はもちろんあるので使わざるを得ない。そのことをわかっているハルはしぶしぶまた歩き出す。

「今日はもう暗いから確かに馬車の方が良さそうだもんね」

「いいタイミングだな。じゃあ行こうよ!」

「....分かったよ」

「どこまで乗るのか?」

「冒険者ギルド前まで」

「わかった。じゃあ銅貨2枚な」そう言って、乗ってきた二人組に運賃を請求する。

「わかった。これでいいか?」

 そう言って、銅貨4枚を目の前にいるおじさんに渡す。

「ああ、乗っていいぞ」

 2人から合計4枚のどうかを受け取り、ちゃんとした銅貨であることを確認して自分が管理している馬車へ入れる。

「じゃあ行こうか、冒険者ギルドへ!」

 ダッチとハルは馬車へ乗り込むのであった....


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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