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異世界は生きている  作者: 宮原 匠
第1章 驚異的な適応能力
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第12部分 武器の受け取り➁

12部分があまりにも長くなると思い2つに分けちゃいました、今後ともよろしくお願いいたします!


12部分が自分が今できる最大限読みやすくするための作業が終わり次第この12.5部分もリニューアルしていくつもりなのでお楽しみにしていただければ幸いです。

次の日

「あの、すみませ~ん」

 今日は別の要件でトラムとザードの店に来ているのだが、探し物は売っていなかった....


「ハル君が来ましたよ~」

 昨日も来ていたし、不思議な名前だったので憶えていた。


「お~ハルじゃないか!刀は、まだ完成してないぞ?」

 〈彼が探している商品が見つからなかったのか?〉

 なぜかまだ完成したという文書も送ってもいないのに昨日に続いて今日も来てくれた。

「持ち場に戻りますね」

 平均よりも高い給料で雇われている身なので、しっかり働かなければ....

「ああ、案内ごありがとな」


「トラムさんにもう一つ、注文したいものがあって来ました」

「もう一つ注文したいものってなんだ?」

〈追加の依頼か?場合によっては、追加料金をもらわないとな~〉

 だいぶ前にハルが来ていたことは知っていたので、多分探したが店に置いていない商品の依頼だろうか?


「赤い鉱石ってありますか?」

 自分が探しているのは辰砂。鞘を赤く塗りたかったのであるかどうかを確認したかった。


「赤い鉱石、か....たくさんあってわからんなぁ」

 赤い鉱石は種類がたくさんあるのでハルが求めている物を当てるのは至難の業だろう。

「鉱石....いや鉱物かな?」

 鉱石と言ってしまうとなんだか金属みたいだ。それは違うので訂正した。


「有名なものだとすると....パイロープ・クリスタルのことか?」

 鉱石としても、宝石としても観賞用としても何かと使い道、需要が多い物のことだ。


「わかりません。実物があれば判断が可能なんですけど....」

 〈明らかに違う鉱物っぽい名前が出てきたけど、実物さえ見ることができれば....〉

 もしかしたら、トラムが言ったパイロープ・クリスタルっていうのが自分の探している辰砂かもしれない。


「そうか....じゃあ、資料が地下室にあるからついて来てくれ」

「作業中にすみませんね」

「休憩中だったし別にいいよ」

 ちょうど昼休憩中だったし、ハルも昼食を食べてからここに来たのだろうかと思っていた。


「休憩中だったらなおさら....」

「細かいこと気にすんなって!怒ってないだろ?」

 店には大抵のものが置いてあり、高価なものは物取り防止で奥にしまってある。

 実際ハルが探しているものに興味がわいていた。


ー・ー・ー


地下室にて~


「お、あったあった、これがパイロープ・クリスタルだ」

 箱に入っていた標本を取り出してハルに見せてあげた。


「お~」

 探している者はこれではなかったものの、見たこともないような美しい結晶に魅入られてしまった。


「そうだろ~この結晶は美しさから観賞用としても人気があるからな」

 〈実際に俺も持ってるし....〉


「へぇ~....」

 〈確かにこれだけ綺麗だったら絶対に観賞用だな~欲しい....〉


「しかも、最近付近の鉱山が閉山したせいで、値段が上がってるんだよ」

 〈閉山というよりも価格低迷による、採算の都合でやめちゃった感じだったよな....〉

 実際まだまだ質のいいパイロープ・クリスタルが産出するだろうと予想がつくのは、その鉱山は国営で、女王の命令で侵入禁止になっているので間違いなくまだまだ産出するのだろう。


「他にパイロープ・クリスタルの鉱山はないんですか?」

 

「あるぜ、だから今はここで値段が一時的に高騰しているだろうな」

 今は需要に対して、供給が追いついていない状況にあるということになる。


「商人にとってはまたしてもない稼ぎ時かもって思って運んでくるんですよね?」


「だろうな、もうしばらくしたら値段が落ち着いてくるだろうな」

 希少価値が高い今だけは高い値段で取引が行われるだろうが、トリハードの情報網から推測するとあと少し待てば価格が下がり始めると予想している。


「商売は難しいですね」

 需要と供給を見越して仕入れたりしなきゃいけない商人は勘と経験がめちゃくちゃカギを握りそうで想像するだけで疲れそうな仕事だった。


「自分もやっているからよくわかるよ。そろそろ、話を戻そうか」

 どれくらいで価格が高くなり、安定していってしまうのかは誰にも予測できない。


「面白かったので聞き入ってしまっちゃいました」

 闇市のように、需要が極限にまで高まると法外な値段になるのはよく見てきた。


「これではないということがわかったが....」

 一番有名なのはパイロープクリスタルだったのでこれではないということはかなりマニアックなものだろうと思う。


「ほかに赤い鉱石はないんですか?」

 自分が探している物ではなかったので他にもないのかをトラムに尋ねた。

「もともとこの辺り一帯は、赤色の鉱石や宝石は少ないからな」

 場所によってよく産出するものは全くと言っていいほど異なる。ここ、グラーレンの場合は赤色の鉱石や宝石は少ない傾向にある。


「求めているのと違いますね....」

 鮮やかな赤ではあるがどこか落ち着いた感じのある赤色を求めている。


「そうかぁ....」


「水銀の鉱山でよく取れるものなんですが、知りませんか?」


水銀ウォーター・シルバーゴールドのことか?」


 去年、発見されたくらいで、一時期話題になった素材だった。使い道が分からない以上ただマニアの為に小規模で採掘していると聞いている。


「どこに置いたかな....そのままにしておくと、消失しちゃうから密閉した容器に入れたはずなんだが....」

 以前、少なくない金額で買ったもののいつの間にかなくなっていた。ちゃんと暗所かつ密閉された容器に保存しておかないとこれで3回目になってしまう。


「その水銀の副産物です!!」

 〈確か、日本で言う水銀だな。でも、強い毒性があったような気がするような、ないような....〉


「びっくりするじゃないか....急に大きな声を出されたら」


「思い出したので....」

 〈う~ん....毒性あったっけ?〉


「副産物?だったら置いていないかもなぁ....」


「その鉱石がとれる近くで産出する赤い鉱石があるはずです」


「確かに、資料採集に行った時ににあったような....無かったような....」

 サンプルの採集も兼ねて様々な鉱石や鉱物を集めていた。

「ここに今無いですか....」


「そうだな~」

 どっちかというと結晶とか目に見えて他では得られなさそうなものを採集しているせいか自分のコレクションにはなかった。

「まぁ、とりあえず集めて来るよ、値段は銅貨5枚ぐらいかな?」


「安すぎません?」

 安いに越したことはないが、あまりにも安すぎて手間をかけるのに申し訳ない金額だった。


「捨ててあるものを選んで拾ってくるだけだから構わないよ」


「何から何まで助かります」


「おう!刀の完成までには間に合うようにしとかんとな」

 素材を手に入れるために行った際にずり山に捨ててあるのを拾ってくるだけでお金が手に入るのだからそれだけもらえればよかった。


「助かります」

 その赤い石を精錬したら、水銀ウォーター・シルバーゴールドが回収出来るのに捨ててしまうんだな....


「まあ、使い道は特にないからな....」


「そうなんですか?」

 確か地球では体温計などに使っていたな。


「まあ....今は刀の鞘だろ」


「そうでしたね。すっかり脱線していましたよ、あははは」


ー・ー・ー


 4日後、副産物だとしてずりに積みあがっていた石はほとんどが精錬され水銀となってしまったためハルが頼んだ辰砂を含む鉱石を十分な量が入手できないという事態が発生したが、代用品かつメジャーなベンガラで鞘に色付けすることになった。

「できたっ!」

「見事な赤い鞘になったな~あと、予備用も塗らないとな」

「そうですね、それと量が多くないですか?」

「2回か3回は重ね塗りをした方がいい仕上がりになるはずだ」

「重ね塗りですか!いいですね~」

「手間暇かけたほうがいいもんになるからな」

 最後に艶仕上げを行い、完成する。艶仕上げによって辰砂と接することなく人体にも優しい仕上がりとなる。


「大切に使ってくれよ?」

「勿論ですよっ!こんないい武器をありがとうございます!」

「武器のことで何かあったら来てくれよ?それと餞別だ」

「鎖帷子?ありがとう」

「おう!何かあったらまた来てくれ」

 固い握手をし、餞別までもらったハルはホクホクした顔つきで帰路に就いた。



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