第6部分 ひと悶着
2018年12月21日~2020年5月5日
:文章の改良、誤字の訂正、追記等を行わせていただきました
1から話を作るってこんなに難しいなんて....
「へぇ....結構朝から並んでいた人も多いんだな」
自分も最後尾に並び、手続きのようなものを済ませているであろう場所の通過の順番を待つ。
その時に前に並んでる人に聞いて見たけど、だいたい1時間くらいかかると言われた。ざっと見たところで100人くらいいそうだから1時間かかるのも無理はない。
喉が乾いてきたので出来る限り早く町に入りたい。日本とどれくらい街の風景が違うのだろうか?という好奇心もある。
前に並んでいる人と情報交換をしてみた。話が通じなかったらどうしようかなと思っていたけれど、話が通じるから安心した。
[....ありがたいけど」
思わず声が出てしまうほど、ありがたいと思った。でも....だいたい何語くらいあるんだろうか?
大きく分けて8ヶ国語くらいあり、小さく分けてみると、100以上あります。
「ふ〜ん....」
[そ、そんなにもあるんだ....地球もそれ以上あるから、だいたいそんな感じなのかなぁ?]
けれどこちらは、この世界に来てまだ1日も過ごしてないのだ。
持っていたお金はどれくらいの価値があるのかわからなかった。
だから、持っていた硬貨?教えてくれた感謝として1枚渡してみたら大声を上げられてこっちは本当にびっくりした。
どうしよう?あっ!警備員いや、武装した人がこっちに来た....
ー・ー・ー
....早速、大声を出した人とともに尋問室のような場所に案内される。
「この人金銭感覚おかしいんですよ!」
門の警備を担当している人に、春香が異常だとばかりに指差しながら喚く。
「こんにちは。私の名前はエドです」
鈍い輝きを放つ鎧を着た人物が小さく礼をしてから自己紹介をする。
「こっ、こんにちは〜」
エドは、なかなかのイケメンさんだったので思わず見惚れてしまったようで、反応がワンテンポ遅れて挨拶する。
「今回はどうしてこうなったんですか?」
何故じっと見られていたのか首を傾げ、どうして今回のような事態になってしまったのかの事情聴取を2人に始める。
「初めてこの国へやってきたので、金銭感覚がまだつかめていないのです」
とっさに思いついた言い訳を、あたかも本当であるかのように話す。
「なるほど....」
目の前にいる少年を見ながら小さく頷き、状況を整理しようと試みる。
「それで、その人にいろいろ教えてもらったのに、何もしないと悪い気がして....」
申し訳なさそうに、さっき倒れた男性を横目で見ながら話す。
「だからと言って大金貨を渡すなんて無知すぎですよ!」
わちゃわちゃと手を動かし、強い口調で話す。
「大金貨?こんな少年が持っているのか?」
信じられないとばかりな物言いで疑いの目を向ける。
「これを渡したんです」
小さな袋から無造作に取り出した金色の硬貨を取り出して、美男子に恥ずかしそうに見せる。
「ほっ、本物の大金貨?嘘だろっ!?」
目を丸くし、その少年から慎重に受け取り本物であるのかどうかを確認する。
「いいか?大金貨1枚で金貨200枚分の価値がある。白金貨1枚で金貨100枚分。あと、金貨1枚で銀貨100枚銀貨1枚で銅貨100枚と交換できるんだぞ?」
もう自分でも何を言っているのかどうかもわからないような感じで、目の前にいる無知な少年に、常識というものを叩き込ませようとする。
「えっ....じゃあ多すぎたってことですか?」
改めて、自分の所持金は十分すぎるほどあることがわかり、目を丸くする。
「銀貨10枚で贅沢しなければ1ヶ月は暮らせるくらいなのに....」
手のひらで目を覆い、泣きそうな声で喋る。
「気をつけます....」
*こちらの世界のお金の相場はよく変化するので聞くまでわからないのです。
「今後は気をつけてくださいね、世の中善人ばかりではありませんので....」
この町に入った時に事件に巻き込まれないようにするためにも、しっかりと忠告する。
「....両替しておきますか?」
親切心で、このような大金であっても支払いに困るだろうということを見越してお金を崩すことをお勧めする。
「そうですね....お願いしてもいいでしょうか?」
大金すぎても面倒なだけなので、その提案に乗ることにしたようだ。
「構いませんよ。ですが、両替の手数料として銅貨10枚いただきますけど本当にいいですか?」
「いいですよ〜じゃあ、お願いします」
まだ、大金貨という硬貨は10枚以上袋に入っていた。だから、そんな少額に気にする必要ないとばかりに、手数料がかかっても構わないということを大金貨を渡しながら伝える。
「かしこまりました、少々お待ちくださいね」
春香から受け取った大金貨を大切そうに運び、去っていった。
ー・ー・ー
自警団のエドが両替のために去っていった後は、外で手続きを済ませる人々の声が微かに聞こえていた....
本当に突然、自分が迷惑なことをしてしまった人物が単刀直入に質問する。
「あっ、あの!ちょっといいでしょうか?」
しかし、突然だったこともあってか、少し歯切れが悪かったのは心許なかった。
「えっ?あっ....なんでしょうか?」
このまま、なんともいない雰囲気が続くのだろうと覚悟していたようで、話しかけられることなぞ想定外だったようだ。
「....アルビン帝国からいらしたんですか?」
少し間があったものの、いままで気になっていたということをゆっくりとした口調で尋ねる。
「アルビン帝国?わからないです....そう言えば、自己紹介がまだでしたね」
知らない国の名前が出てきてボロが出るのを恐れたかのように慌てて話題を変える。
「確かにまだでしたね、私はダッチと言います、よろしくね」
そう言って、友好の印である握手をする為に春香に手を差し出した。
「私....ぼっ、僕の事は、ハルと呼んでください」
まだ、男になりきれていないようで口調がままなっていないようだ。そう言って、手を差し出し、握手をする。
「ハルさんですか、よろしくお願いします」
握手をしながら笑顔で話しかける。
「こちらこそよろしくね」
自分も笑いかけ、失礼のないように振る舞う。
ー・ー・ー
「そう言えば、ここグラーレンは初めてですか?」
その後は、少し無言が続いてしまったがダッチの質問でまた会話が始まった。
「ええ、初めてですね。ふぅ〜....」
出身をあまり詮索されたく無かったので、話題が変わっていたことに安堵のため息を吐く。
「辺境伯が治める土地であることはご存知ですよね?」
無知なハルに対して、これは知っているだろうとばかりに尋ねる。
「ん?ここが辺境なんですか?」
[辺境ってなんだ?辺鄙なところっていう意味かな]
「え....辺境であると言うことをご存知ない?」
驚愕な事実に目を丸くしつつ、声が出ないようで口をパクパクする。
「そうですけど....『グラーレン』なんだか、かっこいい名前ですね」
そんな基本的なことだとは知らないハルは、話題を広げていく。
「あ〜もういいや。ところで、ハルさんはどうしてこちらへ?」
さっきのことは全て聞かなかったことにして、先ほどの思考は全て放り出し、次の質問に移る。
「辺境でしたっけ? その辺境の見物と生活保護ギルドにお世話になる予定です」
[見た目が、まだまだ子供だからね....大人だったらなぁ〜]
「なるほどっ!生活保護ギルドか!実は、私もお世話になってるんですよ」
ここ、グラーレンに入ったら真っ先に向かおうとしていたところだったので驚いたように話す。
「結構有名なの?」
そう言いながら、ダッチを観察していた。見た目の年齢は、自分よりも2つか3つ年上なのでだいぶ大人びていた。
「その存在は街の人みんなが知っていますよ」
「えっ!?」
[そっ、そんなに有名なの?]
「....どうです?私も今からそこへ向かうので案内しましょうか?」
親切心から、生活保護ギルドへ案内してあげようと考えたようで、提案をする。
「本当ですか!」
[親切な人だなぁ〜]
「お安いご用ですよ。気になっていたのですが、付き添いの親はいないんですか?」
「いや、そのっ」
自分のような小さな子が、1人で壁の外を出歩いているのは普通は考えられない。その事は、慌てている自分でもはっきりと理解できた。
故に、怪しまれるのは必然的であると言えよう。
ハルの様子が目に見えておかしくなり、目が急に泳ぎ出したので、これは聞いてはところに踏み込んでしまったと思い、急いで質問を取り消す。
「あっ!....すみませんちょっと気になってしまったのでつい聞いてしまいました」
[またやってしまった....]
「えっ?ああ、そうなんですか?」
あまり詮索されなかったことに安堵ののため息を心の中で吐き出す。
そんな、何気ない会話を楽しんでいたら、エドが戻ってきた。
「お待たせしました。両替した代金と差し引きさせたものです。確認してください」
「ありがとうございます」
親切なことに、布製の袋に大金貨を両替した硬貨が入れてあった。その袋を受け取り、一旦机に置いた時、平民の誰もが羨みそうな多くの硬貨が擦れ合う音がした。
お金はありすぎても、決して困るものではない。
「確認はされないのですか?」
普通なら、確認するのが一般的だったが、確認しないようだったので尋ねる。
自警団がよほど腐っていない限りそのようなことは起きないと信じているようで、今自分が思っているありのままの気持ちを伝える。
「自警団の方々を信頼していますので」
「それは嬉しいお言葉ですね」
それを聞き、嬉しかったようで鼻の下を擦る。
「ハルさん、その小さいカバンに入りそう?」
ダッチがハルの様子を覗き込みながら心配そうに尋ねる。
「大丈夫だと思います。ほら、この通り!」
見事硬貨が入った大きな袋は、ハルの持っている袋、いやポーチの中へ吸い込まれるように入っていった。
「そっ、それって、物体収納袋じゃないですか!」
ハルの腰のあたりについている物体収納袋が信じられないとばかりに、頬を強くつまみながら2度も見て確認する。
「えっ!?」
[なぜそんなものを....]
「貴重なものなんですか?」
「いやそんなものを持ってる人なんてどこかの王族とかが持っていてもおかしくないですよ!」
「でも、もっと昔でしたら一般的だったようですが今は違うんですか?」
エドとダッチはお互い顔を見合わせてからため息をつく。
「「はぁ....」」
無知すぎるハルの取り扱いにはまだまだ時間がかかりそうだと感じさせる最後の会話だった....
読んでいただきありがとうございますm(_ _)m




