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異世界は生きている  作者: 宮原 匠
第1章 驚異的な適応能力
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第4部分 時空の狭間



2019年3月26日~2020年4月22日:改良や追記、誤字の訂正を行いました。


 春香の神様に対する傲慢な態度が....目上の人には敬う必要があるということを知らしめられるのだった....


「ここはいったい....」

 辺りを見渡しながらどこまでも白い空間を見据える。


「もしかして....死んでしまったのかな?」

 敵国の飛行機が落としてきた数えきれない焼夷弾。しかも夜襲だった。死んでも仕方がない、そう思いたい自分がいるが目には涙がある。


 鼓膜にこびりついた空襲警報に叩き起こされた。

 その時から、逃げていた記憶が曖昧だな....眠たかったのもあってかなぁ....


 一瞬にして慣れ親しんできた街が火の海になった。


「もう少し平穏な時に生まれたかった」

 涙を拭い何も考えずにただ歩く。


 歩きながら、ふと思ったことを口に出す。

「....これから、どうすればいいんだろう?」

 もう少し悔いのない人生を歩みたかった、もっと平穏な毎日がある時に生まれたかった。

思い残したことは、こう考えると多いものね....


 後ろから彼女の背中を叩く。

「やあ、覚えているかい?....久しぶり、かな?」


「きゃっ、きゃぁぁぁっ!!」

 とっさの判断というものだろうか?背中をとんとんとした知らない人物を思いっきり叩く。


「いちち....そんなに驚かないでくれよ....」

 叩かれたところを痛そうにさすりながら落ち着かせようと試みる。


「わっ、私になんのようなんですか!あとっ!それ状近づかないでくださいっ!」

 自分の背中を叩いた人物を汚れ物扱いをする。そして、さらに間隔を開けるために一歩後ろに下がる。


「気持ち悪いものを見たような表情をしないでくれ....心が傷つく」

 自分が思いっきり叩かれ、まさか汚れ物扱いされるとは思っていなった。それ故に、ショックが大きいようだ。


「いっ、いきなりどこからともなく現れたので驚いたんですよ....当然じゃないですか!」

 初対面で、思いっきり叩いたことを少しは悪い、慌てふためいているようだが、必死に自分を正当化する。


「確かに....後ろから姿を見せたのは悪かったね」

 自分の姿の表し方が悪かったことを素直に彼女を見ながら謝る。


「そうですよ....あと、ここはどこだか知っていますか?」

 謝られたことに、自分が正当化できたということを頷きながら納得する。そして、気になっていることをいきなり現れた人は知っているのでは無いかと思い尋ねる。


「ここ?ここは僕の執務室だよ?」

 首を傾げながら、当然のように説明する。


「....は?何言ってるんですか?」

 このなにも無い空間が執務室というふざけた回答をし、目に見えてあきれる。


「もしかして....この素晴らしい執務室が僕のだって納得できない?」

 彼女の顔からして、納得していないことがわかったのでなぜ納得できないかを聞く。


「どこが執務室なんですか、ただの真っ白い空間ですよ」

 執務室と言われ、周りを見渡しても、どこまでも広がっているような真っ白い空間が広がっていた。


「執務室の主人が帰ってきたんだ、そろそろ見せてやろう。それっ!」

 そう少し上から目線で春香に話す。そして、指を鳴らすと....


 さっきまでは、どこまでも広がっているような白く広い空間がみるみる色付きたくさんの本棚が連ねる執務室になった。


「ええっ!?信じられない.....」

 春香の目には、信じられない奇術マジックとして映り、しばらくの間、ずっと辺りをキョロキョロしている。よほど物珍しいのだろう。


 後ろから服ををつまみ、一歩下がらせる。

「ほら、それ以上進むと本棚にぶつかるぞ」

 彼にとっては善意そのものだったのだろうが、この時ばかりは本当に逆効果だった。


「ちょっと、なに勝手に私の体に触れようとしてるんですか!」

 服をつままれた場所についた汚れを払うようにして、不快そうに見る。 


「わっ、悪かった!だって今にもぶつかりそうだったし....」

 したごころあって触ってはいないということを必死に伝える。


「あなたのこと、本当に全く覚えていないんだけど....」

 本棚にぶつからないように後ろを見ながら、覚えていないことを伝える。


「なっ、なに!?この私のことを覚えてないのか!?」

 目を見開き、信じられないとばかりに彼女に訴える。


「はい....会うのは、初めてですよね?」

 少し首を傾げながら、確認するように話す。


「僕は昨日のように君の夢の中で会話したと覚えているんだけど....」

 ありのままに考えていることを春香に晒し、あの日の事を思い出してくれるように話す。


 人間と私の時の経過感覚は違う。ゆえに記憶にないのは当然なのかもしれない....



「覚えてないですね」

 目の前にいる初対面のよくわからない者に対してキッパリと言う。


「そうだなぁ....浅野春香さんの時の経過感覚で言う所の大体20年前くらいじゃないかな?」

 あの日の事を思い出しても会えるようにさらに切り込んで話す。


「結構前ですね....う〜ん....」

 もし会っていたらという場合をようやく考慮し始め思い出そうと春香も考え始める。


 考え込んでいる春香を片目で眺めながら、もう思い出してもらえることを諦めたように話しかける。

「まあ、忘れててもしょうがない、か....」


 じろりと睨みを利かせて強い口調で話す。

「ちょっとバカにしませんでしたか?」


「えっ、あぁ....ばれちゃったかぁ〜」

 軽くヘラヘラ笑いながら馬鹿にしたように笑う。


「はぁ....顔にバッチリ出てますよ」

 自分は必死になって記憶を辿っているというのに目の前にいる人物は勝手に諦める。

 さらには、必死になっている私を見て笑う。なんて心の冷めた人物なのだろうか、と冷ややかな視線を送る。


 観念したとばかりに手をあげながら謝る。

「....よく仲間に君とおんなじことを言われるんだよね」


 こんな人物にも友達はいるのかと、こんな人物が友人にいる仲間を少し哀れむ。

「仲間は一人だけではないんだね」


「他にもたくさんいるんだよ」


「で....あなたの名前を聞いたら思い出せるかもしれないので、一応教えてくれませんか?」


「せっかちだなぁ〜」

[時間はまだまだあるんだからゆっくりして行って欲しいんだけどなぁ....]


「せっかちですみませんね」

 時間は、限りがある。有効に使わなければいけないということを生きていた時に叩き込まれたのを罵られたようで嫌味を込めて返事を返す。


 そんな疲れ切った春香を見かねてとある提案をする。

「どうだい?コーヒーでも飲むかい?」


「コッ、コーヒー!?」

 目を丸くし、声を高くした。


 さっきまでプライドだらけだった春香の変わった様子を見ていい気味だとばかりにニヤニヤしながら....

「ああ、飲むかい?」


 先ほどまでのプライドはかなぐり捨て、飲みたいという本能に任せ、動き始める。

「ぜっ、是非っ!」


ー・ー・ー


「少しは落ち着いたかい?」

 恐る恐る表情をうかがいながら、コーヒーを堪能たんのうしている女性に尋ねる。


「ええ、少しだけですが....」

[久しぶりに飲んだ味だ....あれ?涙が....]


「それはよかった。しかし....泣くほど美味しかったのかい?」

 今まで苦労してきた春香の事を考えずに自分のれたコーヒーが感動ものだったと勘違いをしてしまい....


 コーヒーのおかげで、今までの苦労が優しく包まれ消えていくような感じになったが....そんな余韻をぶち壊す発言が横から飛んでくる。

「は?なに私の世界に入ってくるんですよ!せっかくいい思いになってたのにぃ....」


「そっ、そうか....邪魔してすまなかった」

 ここは、自分の執務室なのに何故か目の前にいる女性に気を使わなければならない自分に首を傾げながらも、必死に機嫌をとる。

 余程、あのビンタが衝撃的だったようだ....


ー・ー・ー


 春香が3杯目のコーヒーを飲み始める頃〜


「そっ、そろそろ始めてもいいかな?」

 緊張感漂う声で春香に尋ねる。


「気になっていたんですけど....他の亡くなられた方々もこんな対応をしているんですか?」

 コーヒーを片手に尋ねる。


「そう思うかい?」

 ようやく、上から発言ができることに気分が上がったようで声も少し高くなる。


「それはわからないです。が、なんとなく....」


「そんなことをしていたら、きりがないと思うよ〜」

[考えただけでゾッとしてしまう]


「となると....私は、異例ってことなんですか?」

 カフェインで頭が冴えてきたようで、理解も早くなる。


「まぁ....そうなるね」

 性格までは気にしていなかった自分に後悔しつつも、うなずくのであった。


「そうなんですか....そういえば、早く言ってくださいよ!な、ま、え!」

 自分だけなぜ特別な扱いを受けるのか思い出せないが、それよりも気になっているのが目の前にいる輩だ。


「すまん、すまん。私はグワッハ、イムスという惑星を見守ったりしているんだ」

 椅子から立ち、胸を押さえながら自己紹介を始める。


 彼は、管理人といっても差し障りはない。管理者だけあって、忙しそうだと思ってしまうかもしれない。

 だが、原則干渉することは最低限に留めるようにという決まりがある。それ故に、あまり忙しくないようだ。


「え....神様なんですか?」

  こんな人でもなれるのかという今日が事実に、空いた口が塞がらないようだ。


「そうだとも、敬え!」

 両手を広げ神々しい光と共に演出する。


「嫌です。なんで私なんかを特別扱いしたんですか?」

 こんな人が神様なんて認めたくなかったようで、頑固として拒否する。


「地球の管理者から戦争の止め方を学びたいんだけど....そうしたら、是非とも君を使ってもいいと言われてね」

 春香が今ここにる理由を説明し、特別扱いになったのは私のせいではなく地球の神様が決定したことを伝える。


「へぇ....」

[疲れたから、もう安らかに眠れせて欲しかったのにっ!]


「そのイムスに転生させようと思うんだけどいいかな?」

[忘れているようだから一応再確認だけはしておこうかな....俺って優しい!]


「別にいいけど....そのイムスという惑星は戦争をしているの?」

 うんざりしつつも、されたからには地球の神様に恥じぬようにしようと心に誓う。


「そうだね....悲しいことに戦争をしていたよ」

 どこからともなく出現した手拭いで涙を拭いながら話す。


「してた?つまり過去形?」

 だとしたら、今は戦争を行っていないということなのだろうか?と、考える。


「私も止めようと努力したけれど、なかなか止められなくてね、そこで地球の管理人(神)に相談しに行ったんだよ」


「そうなんですか....」

 無能なんだな....見下すような目線を送り、軽く鼻で笑う。


「干渉せずに戦争を止めれないものだから、地球の管理人(神)に名案をもらってきたんだ」

 目を閉じて喋っていたので春香の鼻で笑うようなことも耳には入らず、話を続ける。


「それが....地球にいた私を転生させることなんですか?」


「そうっ!理解が早くて助かるよ」

 確信をたった1回で聞いてくれたことを喜ぶ。


「よかったです。コーヒーのおかわりありますか?」

 コーヒーをもう一度煽ったが、コップはもうからということに気がつき、もう一杯頼む。


「わかった。持ってくるからちょっと待っててくれ」

[あの量をもう全部飲んだのかっ!?]


ー・ー・ー


「コーヒーのおかわり、ありがとうございます」

 コップに注いでもらい、熱いコーヒーに息を吹きかけながら啜る。


「かっ、構わないよ」

 自分のことを恐れ、敬わせることを諦め、春香に従うグワッハの目には涙があった。


「話を再開してもいいよね?」

 頼むように春香に尋ねる。


「いいですよ」

 コーヒーを飲みながら話すように促す。


「そこでだ、私の代わりに戦争を止めて欲しいということなんだけどいいかな?」


「大変そうですね」


「惑星イムスに入ると同時に魔法が使えるようになる。だから、困ったことがあったら遠慮なく言ってくれ」


「じゃあ、魔法ってなんですか?」

 初めて聞く言葉、おとぎ話の世界なのだろうかと想像する。


「そっ、そこからか....つまるところ奇跡の一種じゃな」

 魔法の根本から説明しなければならないことに驚き、なるべく早く済ませたかったこともあり、本当に簡単に説明する。


「へぇ〜面白そう」

 好奇心が湧いたように、楽しそうに話す。


「でも、管理者という身でもあるから....即座にに答えられないのは我慢してほしい」

[何かと管理人だけあって忙しい時もあるからな....]


「そうですか....あれ?でもさっきほったらかしにしているって言っていませんでしたっけ?」

 グワッハがさっき言っていていたことと辻褄が合わないことに気がつき問い詰める。


「かっ、完全にほったらかしじゃないからな」

[さっき言ったことと矛盾が生じてしまったぁぁぁ!!]


「大変ですね」

[ちょっと怪しいけどあまり詮索しないであげよう....]


「そうなんだよ〜魔法はね....指導者リーダー、守り(プロテクト)、に特化しているようだがな、もうその魔法は使えるようになっていると思う」

 春香のステータスを見ながら、彼女に伝える。


「そんな才能があったんですか?」

 指導者と守ること、そんなことに特化していたことに身に覚えは無かった。


「いや、無理やりねじ込んでおいたよ」

 権限を行使し、イムスでも活躍できるようにしておく。


「神の特権みたいなものですか?」


「そんな感じに捉えてもいいだろうな」


「なんだか凄いですね」


 褒め言葉が出てきて、嬉しそうに話す。

「ふふっ、そうかな?」


「そうですよ....」

 調子乗らせてしまったかなと後悔している春香であった....


ー・ー・ー


「このイムスという惑星をお願いしますどうにかして戦争を止めてください!」


「わかりましたよ....グワッハさん。できる限りやって見ます」

 覚悟を決めたようで、前を向き決意を表明する。


「イムスには、コーヒーがあるからな」

 思い出したように、はっとし、春香に伝える。


「それは嬉しいですね」

 という事は、コーヒーが飲めるということ。その知らせに嬉しそうだ。


「あと....今更なんだけど、君は転生したら男性になるけどいいかな?」


「えっ!?」

 とんでもないことがグワッハから飛び出して、目を丸くする。


「では、少し苦しいかもしれないけど我慢してくれ!じゃっ!」

 慌てて転送ボタンを押して何もなかったかのように口笛を拭く。


「ちょっ、ちょっと待ってぇぇぇっ!!」

 手を伸ばし、手続きを止めるように言ったが時すでに遅しであった....


ー・ー・ー・ー


「やることはやった....」

 満足したように席につき、コップに残っていたコーヒーを飲み干す。


 転送手続きに行った性転換することを伝えた。そしたら、最後に春香が何か言っていた。


 そのことには全く気を止めることなく、書類に目を通し始めるのだった....


「終わったか?」

 部屋の隅から出てきながら、グワッハに尋ねた。


「借りは作るもんじゃないね」

 不満を吐き捨てるように出てきた人に向かって言ってやった。


「ふふ、相変わらずの口の悪さだね」


「....」

 まるで悪口が言われるのを待っていたかのような発言をされたことに少し悔しさがあった。


「これで舞台は整った」

 片眼を閉じ、春香が無事イムスに行ったことを確認して言った。


「それは良かったです」


「うむ、後は頼んだよ」

 これであの方からの依頼は達成することができ、やっと肩の荷が下りた気がした。


「わかりました」



ありがとうございますm(_ _)m



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