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魔王は世界を救うのか  作者: 戦部孔雀
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いろんな話

ユナンが独り立ちすると決めて数日経ちまだ成人ではないが身の回りの整理を始めていた。

なぜかユナンは自分が焦っているように感じてならなかった。ここを一度出てしまえばもう二度と帰ってこれない気がした。

自室には物が少ない。物に執着がなく、こだわりも無かった。必要なのは得意武器の刀、解体用ナイフ、金品、そして…


「もうじきこの森を出て行くのだな。寂しくなる。」


音もなく開かれた扉と発せられた言葉にビクリと肩が震える。勢いよく振り返ればハロルドとカフカがいた。


「ハロルド、要件は簡潔に。」

「固い奴め。」


ハロルドを嗜めるカフカは僅かに不機嫌そうにしているようにも見えたが彼女はいつも顔に鉄仮面を貼り付けたような無表情故、判断がつかない。


「話がしたかっただけさ。」

「話?」

「俺たちのことを、ね。」


ユナンはハロルドたちのことを何一つ知らない。

何故たった七人だけで、種も出自も違う彼らが一緒になって暮らしているのか。

何故彼らは頑なに森の外へ出ようとしないのか。何故彼らの姿形は何も変わらないのか。


「ユナンは俺たちの種族が何か知ってるだろ。」

「?父上と母上が【人族】、ザガンが【巨人族】、ゼノが【鬼人族】、ジンが【エルフ】、ガロウとウィリアムが【獣人族】でしょう?」


この大陸には様々な種族が生活している。聞いた話によると海の向こうには俺と同じ魔人しか住んでいない国もあるらしいが本当かどうかは知らない。


この大陸にいる種族の中で最も数が多いのが【人族】。

魔人の子孫が人族になったと言われているが全ての種族の先祖が人族であると言う国もある。宗教の話はよく分からない。


次いで多いのが【獣人族】。ガロウは獅子獣人、ウィリアム(薄緑の青年)は鷲獣人だ。海の生物である人型の種族は【魚人族】と呼ばれている。

陸空の獣人族と海の魚人族は暮らす場所は違えど陸海空それぞれに一柱ずつ創造神の眷属である守護神がいると信じている。


【エルフ】と【ドワーフ】はよく【妖精族】として一括りにされることがあるがどうやらこの二つの種族は仲が悪いらしい。

自然と共生することを至高とするエルフと、木を切り出しそれを焼べ武器を作るドワーフで度々衝突するそう。ジン(ボロの老人)はあまり気にしてない。


【巨人族】はその名の通り巨大な体を持つ種族だが個体数自体が少ない。現存する種族の中で最も神に近い存在と言われている。

その殆どが邪神との戦いで滅び、生き残った巨人族はこの大陸の果てに巨人しか超えられない山を築きその先で暮らしているらしい。ほぼ神話の中の存在。


【鬼人族】と【龍人/竜人族】は人とつく種族の中でツノを持つ特殊な種族だ。ツノははるか昔から叡智や神聖の象徴とされている。

この二つの種族は他の種族にはない技術や知識を持ち神の代替者と呼ばれている。ザガンは巨人族だが竜人族とのハーフだ。


そして最後に【魔人族】。この種族に関しては殆ど情報がない。膨大なオドと優れた身体能力と高度な文明を持つ謎の種族。

海を越えた先にある【暗黒大陸】に国があると言われているが誰も真実は知らない。ハロルドたちも知らないらしい。


「俺たちはもう人ではないんだ。」

「どういう事ですか?」


十五年経っても外見が全く変わらない人間がいるかと思うがそういうスキルもあるにはある。

【隠蔽】や【偽装】、【変装】といったスキルがそれだ。勿論逆に【看破】といったスキルもあるのだがそれはまた別の話。


「俺たちのステータスを見たことがないだろうから分からんだろうが俺たちの種族は全員同じなんだよ。」


【ステータス】、それはこの世界に生きる全ての命あるものが持つ個人情報で名前、性別、種族、職業、称号、先天スキル、後天スキル、ユニークスキルの八つで構成されている。

自分のステータスは脳内で意識する事で確認できるが他人のステータスは基本的に見れず見るには三通りの手段がある。


一つ目は各国の首都にある教会と冒険者ギルドに一つずつある【アンラベルストーン】と呼ばれる水晶で確認してもらう。

アンラベルストーンはかつて存在した鬼人族の中の一つ、【サトリ】と呼ばれる民族の眼球でできていると言われている。

この水晶はかなり希少なものでこの大陸では今のところ11個しか見つかっていない(そのうちの一つはハロルドたちが所有している)。


二つ目はは冒険者ギルドで発行される【ギルドカード】を見る。ギルドカードには名前、クラン名、冒険者ランク、職種の四つが記載される。

冒険者ランクは文字通り冒険者ギルドにおけるランクでありF〜Sに分けられる。Fが最下でSが最上だ。

職種とは冒険者の中でその人物がどのような戦い方をするのかを簡単に表したギルドカード特有の表記で剣士や魔術師と記載される。


三つ目は【看破】というスキルを使う。しかしこれはあまり現実的ではない。

スキルには《先天スキル》《後天スキル》《ユニークスキル》の三つがあり【看破】は先天スキルに分類される。

先天スキルとは文字通り生まれつき備わったスキルでありその後どれだけ努力しようと得られないスキルだ。

系統としては『見る』『知る』『得る』といったものが多い。【透視】【予知】【強運】などが有名だ。

特に【看破】は強力で対象を見ただけでその情報が手に入るスキルで【偽装】のスキルもこのスキルの前では無意味だ。


「俺たちの種族は【使徒】。不老であり不死とはいかないが強靭な体を創造神から与えられた世界の守護者のみが属する種族だ。」

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