表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王は世界を救うのか  作者: 戦部孔雀
1/34

プロローグ

ある森の中でまだ歯も生え揃わない幼い男児の泣き声が響いた。


森には子どもの拳より小さいものから大人の背をゆうに越す大きな獣に満ちており男児などいい餌でしかない。


しかし獣は子どもには近寄らない。獣は本能的に自分より巨大なものから身を潜める。




ザザザザザッ




草木を掻き分け、枝の上を飛び移り、地を駆け、常人の目では追えない速度で移動する人影があった。


黒い髪と黒い瞳、上から下まで黒色の軍服を身に纏い外套は風に流される。

意思の強さがはっきりと現れた目は惑うことなく前を指し、目的の場所へ足を進ませる。


その後ろを追う影がもう一つあった。


白い細く細やかな髪に金の目、銀の鎧を身に纏った騎士だ。


二人は迷いなく足を走らせると先に黒い軍服がある場所で立ち止まる。

それに続く様に白い騎士も数歩下がったところで足を止める。


二人の前にあるのは一つのゆりかご。


黒い軍服はゆりかごに近づきその中を確認すると中に入っていたのは先程泣き声をあげた男児だった。


「…魔人だ。」

「町に届けるか?」


男児を抱き上げゆりかごの中を物色する黒い軍服は男児の下にひかれていた二つの封筒を見る。


片方の封筒には微小ではあるが金銭が。

片方の封筒には手紙と思わしき書類が。


手紙と思われるものを取り出し中を除けば黒い軍服は次第に顔を歪めていく。


「何事か?」

「この赤ん坊は連れて帰る。」

「それがお前の意思ならば、私はそれに従おう。」


黒い軍服は男児をゆりかごに戻すとそれらをまとめて抱えゆっくりとした足取りで来た道を戻っていく。

白い騎士はその姿に僅かに目を見開いたがすぐに元の表情になおると追うように歩き出した。


この瞬間、後の世に名を轟かせることとなる魔王の誕生が決定した。


だがそれはまだ誰にも知る由のない話である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ