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お別れ

最後に先生がこう言ってくれた。

「ニャンパネルラ君が来た日と違い、私が来た今日は余り次元安定が

 良くなかったのだが、早く来る必要があったため、今日になった。

 捜索時間もそれほど取れない中、最短で救出できたのはマナ君が

 ニャンパネルラ君と一緒に行動し、ここまで来てくれていたお陰だ。

 大したことはできないのだが、何か欲しいものはないか?」

「え?そんなお礼なんてしてもらうこと何もしてませんよ、

 こっちに何があるかも全然わかりませんし、、、」

困っちゃったな、、、ふとニャン君の方へ目を向けると

そわそれしてる?何か言いたそう?

あ、

「あ、すみません、それじゃ記念にニャン君の持ち物、何でもいいので

 頂いてもよろしいでしょうか?」

ニャン君の顔が嬉しそうになったのって気のせいじゃないよね?

「ふむ、、、ニャンパネルラ君、こう言ってるが、何かあるかい?」

「僕も、大したもの持ってきてないんですが、昔おとうさんにもらった

 ハンカチとか、僕にとっては大事なんだけど、、、、

 こんなので記念になるかな?」

何でかすごい照れてるけど、

「え?それってそれもお父さんの形見ってことだよね?いいの?

 もらっちゃっても、それなら、、、」

「?」

幸い今日は制服だ。ハンカチならあるよ。

(いつもはパジャマだから、本当に何も持っていないの。

 これは、戻ったら怒られること間違いなしだよぉ)

そんな内心は外にださないように、ハンカチをそっと出すよ。

「ほら、お互いの記念に交換しよ?

 私のも結構古いかもしれないけど、ごめんね?」

「え?全然、嬉しいよ、交換できるものがあって、よかったよ」

そんな笑顔で言われたら、泣きたくなっちゃうよ、ニャン君。

「うむ、ハンカチは長く使っていたほうが使用人の念が宿ると

 いうし、記念の交換品にはいいのではないか?

 ただ、こちらがお礼するつもりだったのが

 結局交換になってしまうが」

「いえ、いいんです。記念に大事にします。ありがとね、ニャン君」

「僕こそ、マナさんがいてくれたお陰で全然寂しくなく救助

 待つことできて、本当、嬉しかったよ、楽しかったし」

「さて、名残もつきないところかも知れんが、こちらも先程

 言ったようにあまり長い出来ない身でな、ニャンパネルラ君、

 特に準備は大丈夫だろうね。

 もうこの扉は向こう側から接続を切ってしまうので今度こそ

 最後だぞ」

「はい、大丈夫です。先生」

せめて最後くらい見送ろうと思って、先生が扉を開けるところを

みてびっくりしたの。

そこに見えたのは長い廊下みたいな通路なんだけど、それが虹色に

光っていて、少しずつその色合いが変わっているように見えたの。

「それでは、さようならだ、マナくん」

「さようなら、先生」

「じゃぁね、マナさん」

「うん、私も楽しかったよ、ニャン君」

手を振って精一杯の笑顔で見送るよ。

そして、扉は閉まってしまうの。


「出雲君、出雲真奈君?ほう、ようやくお目覚めかい、お、は、よ、う」

はい、わかってたの。制服であっちの世界にいたってことは

授業中に寝ちゃってたんだな、ってことくらい。

「睡眠学習に余念のない出雲君は英語をたくさん勉強したいようなので、

 特別に先生から試験対策用の問題集をプレゼントしよう。

 期末試験の1週間前までに全部やって提出するように」

クラスのみんなの爆笑の中、先生に怒られながら

(やっぱり、ニャン君の先生と、どこか似てます、先生)

と思ったことは内緒ね?


後日談、あれから私は何度か、この世界に来たの。

庵にも何度か来て、いつも、反対側の扉を開けて確認しちゃうの。

でも、いつ開けてもそこは庵の反対側へ通じるだけの扉で

虹色の渡り廊下に繋がっていることはなかったの。

先生のお話どおり、接続を切るってこういうことなのかな?

ってちょっと心に隙間風が吹くようなちくっとした感覚がするの。

そんなある日、ちゃぶ台の下でキラって光るものを見つけた。

金属の筒の片側に黒い蓋がしてあって、真ん中はガラスみたいなの。

え?これって、、、

ネットで調べてみると、やっぱりこれは接眼レンズじゃないかな。

もちろん、こっちの世界の望遠鏡にはあわないんだろうなぁ。

「にゃんだよぉ、ニャン君、お父さんの大事なものだったんじゃ、

 にゃいの?」

ついつい口をついてでてしまうのはニャン語風の日本語。

家の猫には「にゃぁ」とも「にゃん」とも通じないの。

もうすぐ期末試験かぁ、せめて英語だけでも真面目にやろうかな?


p.s. うっかりもののニャン君へ

  接眼レンズはニャン君のハンカチに包んで私の引き出しの奥の宝箱で

  今でも大事に保管してるよ

結局、ろくに休憩入れずに書ききりました。これで完結です。

主人公のキャラがぶれてるとか、キャラそのものがつかみにくいとか、

いろいろご不満点もあるかと思いますが、自分にとっての初の長編を

書ききることができたのは、読者のみなさまのおかげです。

長い間、本当にありがとうございました。

Mではないつもりですが手痛い教鞭もたくさんお待ちしております。

また出会える日を楽しみに、また次作の構想を考えてみます。

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