雲へ
雲の上の家に行けるんなら、絶対行ってみたいよ。
「でも、手伝うって何をすればいいの?
私、何度も行こうとしたけど、いっつも途中までしか
飛べなかったよ?」
「うん、子供くらいだと力が弱くて、一人じゃ
あの高さまでは飛べないみたいなんだ。
でも、二人一緒なら行けちゃうかも知れない。」
「どういうこと?」
「もう飛べるんだったら試したほうが早いかな?
まずは、一人で飛んでみて?」
「うん、」
よくわからないけど、やってみよう。
いつも通りにイメージしながら軽く飛んでくるっと
円を描くように回ってみるよ。
ニャン君は満足そうに見上げていたけど
「じゃぁ、次ね。そのまま飛んでて」
と言うと、自分も飛び上がって私のところに来た。
「それじゃ、手、出して」
「はい」
言われた通り手を出すよ
「ちょっと、手、繋ぐね」
って言って、言葉通りに手を繋いできたの。
猫は嫌いじゃない(むしろ好きな)んだけど、
男の子と手をつないでるって思うと
ちょっと複雑な感じしちゃう。
でも、恥ずかしがっててもしょうがないよね。
「じゃぁ一緒にさっきみたいにくるっと回ってみよう?」
「わかった」
あれ、体が軽いよ。さっきよりスムーズに一周して戻ってこれたの。
「どう?わかったでしょ?
こうやって2人、3人って力を合わせることで飛ぶ能力を
上げることができるんだ。
マナさんは飛ぶ素質があるみたいだから、僕と2人だけでも
雲まで届くかもしれないって。
一緒に試してみてくれるかな?」
なるほど、とてもわかりやすいね。
もちろん私も行きたいから
「うん、私で良ければ、一緒に飛んでみよう?」
と返事をした。
ニャン君が望遠鏡片付けるのを待って、
早速今一緒に飛んでるんだけど、こ、これって、、、
「すごいね、ニャン君。いつもより全然速く飛べてるよ?」
そう、特に急いで飛ぼうとしてないのに、速い。
「うん、飛ぶ力が増えるってことは、速さや、小回りが効いたり、
より重いものを持てるようになる、とか全部が上がるってこと
だからね」
「へぇ〜」
素直に感心しちゃうよ。
雲が近づいてきた。
「じゃぁ、いよいよ、雲まで行ってみよう!」
ニャン君も気合を入れているみたい。ここは私も頑張らないとだよね。
「いいよ、雲の上までGo!」
二人共気合をいれたからなのかな?とにかくすごい速さで
ぐんぐん雲が近づいてくる。
「もう、ちょっとだよ、がんばろう!」
「うん!」
いつもの高さより全然高いところに来てるのは
見てる雲の大きさですぐにわかったの。
でも、、、でも、、、
「あと、、、、ちょっと、、、なのに、、、、」
すごい悔しいけど、雲の下側の端が目の真横に来てるの。
なのに、それ以上、上がれないよ〜。(ん〜〜〜!)
ニャン君が考えがあるって言うから一回海面まで
二人して降りてきたの。
「惜しかったね。これなら次は行けると思うよ」
「ぶ〜、もっといい方法があるなら最初からそっちで
やった方がよかったんじゃない?」
さっき届かなかったのが悔しくて、ついついニャン君に
あたっちゃったよ。(ごめん)
「あはは、ごめんごめん、でも、これやるには多分
マナさんにちょっと練習してもらわないといけない
かなって思ったから、最初は楽な方法で行けたら
行っちゃえばって思ったんだ。」
「練習?」
確かにちょっと練習とか勉強とかって苦手かも、、、
「慣れれば全然大丈夫だから、海の中って入ったことある?」
え、泳ぐの苦手なんだよね、、、
「海の中って、ここ?」
下の海面を指さしながら、不安げな声になっちゃうよ。
「大丈夫。飛ぶのと同じ感覚で、これは空気と一緒で
海の中を飛んでるだけ、って思ってれば普通に息もできて
ペンギンみたいに海の中を移動できるよ、見てて」
ザブリ、とそのまま飛び込んじゃった。
ニャン君は言った通りにペンギンみたいに海を飛んでるみたいに
泳ぐの、すっご〜い。
「私にもできるかな?」
上がってきたニャン君に恐る恐る聞く私。だってやっぱり怖いよ。
「みてるから大丈夫。なんかあったらすぐ助けるから」
って答えられたら、いまさら引き下がれないよね、、、
「ほんとに、助けてね、、、」
ゆっくり海に入るよ。
あれ思ったより冷たくないの、温水プールみたい。
えっと、さっきニャン君がやってたみたいにペンギンさんを
思い浮かべて、飛ぶみたいに、、、、
「すごいよ、僕より速かったんじゃない?」
水面に顔をだしたときのニャン君の第一声も嬉しかったけど、
何より自分が海の中を飛ぶみたいに泳げたのが嬉しかったの。
あと、海の中、綺麗☆
「でも、こうして泳ぐのと雲まで行くのって、どう関係あるの?」
いつもご愛読ありがとうございます。3話目です。
アドバイス、ございましたら、なんでもいつでもお教え願います。