表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

6話 ~女の空騒ぎ~





「うー・・・ん、なかなかいいのないわね・・・サイズもしっくりこないし、ちょっとくらい大きくてもいいかしらね・・・。」

「メアまだ・・・?おなかへった。」

「ちょっと待ってね・・・」

「・・・・・・・・・・・」

王都に到着して最初に訪れたのは、とってもオシャレなブティックだった。

色とりどりの服、装備が並ぶ店でメアは非常に、非常に、非常に悩ましくメアは吟味していた。

一見すると絵になるような光景だけど、今彼女等のが何をしているのかというと、メアとネコが何をしているのかと言うと

ネコの服をメアが選んでいるということなのだ。


ネコとの一戦でメアが自慢の魔法でネコの装備を吹き飛ばしてしまったので

どうやら弁償しようという形で新しい装備を買ってあげようということらしかった。

「さっきメアちゃんがあげたヘンテコなローブでもよかったんじゃない?ほら、エロくて俺はよかったよ?」

「ッダ!!ッメ!!あと、ヘンテコじゃないしッ!」

凄絶なNO!が下る。

そんな表情が崩れるほど否定せんでもいいじゃん。次元魔法使ったあとみたいになったぞ一瞬。

「おもい!おなかへった!トール食べたい!!」

相変わらず意思表示ははっきりしている。

いかんいかん、はやくしないとまた食い物にされる!

「自分のを買おうと思うとすぐ決まるのに、他人のだと思うとどうしてこんなに悩ましいのかしら・・・。あぁ、ほらネコ!動かないで!」

ジタバタしたりするネコを落ち着かせながらメアはまた服を着せていく。

メアさん・・・お母さんみたいです・・・。

「俺はあるやつ何でも着てたけどなぁ・・・。例えば、こういうのとか。」

「アナタ・・・それレディースよ?」

「え?そうなの?まぁ、いいんじゃね?」

「そういうのはどうかと・・・。」

そもそも何で男性キャラの【トール】が女性キャラの衣装を装備できてるのかという謎だ。

チートだから?リアルだから?

そこはゲームシステム的にガバガバだろ。少しくらい縛りがないとダメだろ。

いや、違う違う縛りプレイとかの話じゃない、好きだけどそういう破廉恥なはなしがしたくて俺はそのワードを言ったわけじゃない。

読者の方々、並びに運営の方々、トールくんは決してやましい気持ちでそういうモノローグを吐露したわけではございませんのであしからず!!

「だから、アナタ、モノローグが使いこなせてないんだって!」

どうやら俺はまた脳内のセリフを口からお漏らししていたようだった。

「いいから早く着替えなさいよ。指さして笑われてるわよ」

「もう五月蝿いな。わかったよ」

メアのお母さんキャラが加速していく。



王都には入国料というのが必要だった。

高々と積み上げられた煉瓦で城壁を作り、入り口にはズラリとゲートが並んでいた。

真っ黒な軍服を着た強面のNPCがゲートと同じ数だけ配置されていた。

ゴゴゴゴゴゴゴという効果音が顔から、いや身体全体から溢れていて脳みそが揺さぶられて・・・

トールはその場で嘔吐した。

王都の前で嘔吐した。

「ちょっと!!何してんの!!」

「わ、わるい、持病の知恵熱だ。」

「何言ってるの!?」

それは俺もわからない。本当の意味で意味がわからない。

「プレイヤー1人、探索者(サポーター)2人です。」

「はーい。プレイヤー1、探索者さん2ですね。ありがとうございまーす!!」

表示された金額を払い俺達はゲートの中へ促された。

まるでガソスタの店員のようなテンションとテーマパークのアクターのような笑顔で俺達を通したあとは

また劇画のような表情でNPCは外の方を凝視しはじめた。

なんでわざわざそんな事をする?

因みに入国料は全部メア・・・メア様持ちです。

だってトールくんお金なんてもってないんですもーん。


王都。

王都【ハッピーキングダム】は、だからもう某夢の国のようなテーマパークのような感じだった。

が、そう例えたけど俺行った事ないんだよなあ。多分、そんなような感じであってるんじゃね?

気ぐるみとかが風船持ってたり、なんか、あっちこっちから食欲のそそられる匂いがしたり、

四方八方からテンションの高い音楽や、喧しいくらい声を響かせる笑顔全開の村人・・・だよな?がごった返していた。

一歩歩くだけで凄い話しかけられる。落ち着かない・・・。

パンフレットとかくれるし。

「えっと、ここであのルル様が言ってた憧れの人のライブがあるって話だったんだよな・・・」

「それもあるけど私の目的にも付き合ってもらうわよ」

「そういうのはトールくんまだ早いと思って・・・ほら、知り合ってまだ間もないし。もうちょっと距離が縮まってから・・・」

「そんな女の子みたいな表情して何気持ち悪い事言ってるの?そういう『付き合って』じゃないから。」

表情一ミリ変えることなく一蹴される。

純情なトールくんの気持ちなんてまったく考えてくれないんだ。いや、わかっててやってるからいいんだけどね。いいんだけどね!

「おなかへった!!」

俺の頭の上でネコは空腹を訴える。俺の頭にかじりつきながら。

「確かにずっと歩いてて俺も腹減ったな。空気しか吸ってない上に意味もなくずっとネコをおんぶしてたしな。」

「それは私も同じよ。お腹グーペコ」

「女子高生かよ。」

今時の女子高生がどんな表現するか知らんが、メアちゃんが言うとなんだか違和感。

可愛いけどな!

「でもまず、その格好だとアレだから先に服装を整えましょう。」

そう提案されて3人でブティックに向かったのだった。

自分のファッションセンスなんて興味というか気にもしたことはなかったけど、確かに店のエプロン姿のままというのは

ドレスコード云々以前にRPGとしても可笑しな有様だった。



ブティックで買った服に着替えて(全部メアちゃんのお財布から)俺達三人は手ごろな飲食店に入店した。

『魔女っ娘シータンのマジックご飯』というハイカラででっかい看板が屋根に貼っつけてある小さい店だ。

屋根と看板の方がでっかいんじゃないかという有様だ。

しかし入店すると外と違って店内はむちゃくちゃ広かった。巨大な国立図書館ってレベルででかかった。

ところ狭しとキラキラと輝くテーブルに多種多様なキャラクター、NPCが食事を摂っていたり煌々と輝くローブに身を包んだ魔法少女っぽいNPC達が

忙しそうに駆け回っていた。

「圧縮空間の魔法ね。まぁ、そんなに難易度の高い魔法じゃないけど、それなりにスキルを積んでるみたいね。まぁ、私から言わせると簡単な魔法ね。」

初歩よ初歩。と偉そうに言う。

「お前って、時々プライド高いよな。」

「どうもどうも!!お兄様お姉さま子猫ちゃま!!いらっしゃいませェ!!シータンは店長のシータンでェす!今日はとってもとってもようこそこんにちわぁぁあ!!!」

螺旋階段からドカドカと漫画みたいに少女は駆け下りてきた。

「・・・・えっと、プレイヤー1に、探索者2なんだけど席って空いてる?」

しどろもどろに俺は尋ねる。

発光するローブは目が瞑れそうなほど眩しい。そして何かのサービスのつもりなのか終始ダンスをする。

オレンジ色の三つ編みツインテイルが鞭のようで回転する度におっかない。

人の話聞いてる??

「はぁあい!!もっちろん空いてまぁす!!空いてなかったら寧ろ空けてきまぁあすッ!!!シータンのハートもアタナの為に愛ていまぁああす!!!」

まぁああす!!!

まぁああす!!!

まぁああす!!!

すー・・・!すー・・・!すー・・・!

広々とした空間にハウリングを起こすほどの凄まじい声量。

鼓膜が爆発しそうだ。

だけど可愛いから許す!!

トールくんのハートも愛てまぁあす!!

「もっちもーち!!シータンでぇぇす!!3名様のハート取っ捕まえまちたぁ!!そっち愛てますかぁぁ!!?」

『はぁぁい!!こちら特等席!!愛てまぁああす!!』

「はぁぁあい!!お兄様達今日はラッキーでぇぇす!!特等席にご案内しまぁぁす!!」

トランシーバーでの会話を終えて俺達に教えてくれる。

「全部聞こえてたよ。」

必要ないんじゃね?そのトランシーバー。

トランシーバーよりも二階の奥の方からガンガンに聞こえてきたよ。

「なぁ、シータン。階段登るときは危ないからダンス止めてもいいんじゃないか?疲れちゃうだろ?」

「シータンは疲れまっせぇん!!ダンス止めたら死んじゃうもぉぉん!!」

「マグロか!!」


メニューは写真が載ってるわけじゃなく、全てがテキストで表記されていて

知らない・・・よくわからない名前のものばかり並んでいた。

「シータンの感情暴発」

「シータンのおピンク盛り盛りの残り香」

「シータンとの夏の想い出」

「シータンは冬の味」

シータン・・・シータン・・・シータン・・・。

「・・・・・・・教えて!メア先生!」

「私でもわかんないわよこんなの!!」

頼りであり知識リーサルウエポンのメア様でもお手上げ匙投げなメニューだ。

「ネコはどれがいい?」

「トール!!」

「ステイ!!」

即座に頭に噛り付こうとするネコを捕まえて行儀とく席に座らせる。

いい子だから大人しくしてなさい。

「じゃぁ、オススメでいいわ。」

メアが言ったそのセリフがまずかった。

そして、俺も「じゃぁ、俺もオススメで頼む」と乗っかってしまったのがいけなかった。

数秒後にテーブルに運ばれてきたのは大皿だった。

そして、その大皿に乗せられ運ばれたるは

・・・・・シータンだった・・・。

大皿に寝そべり、そして身体に肉や野菜、フルーツを乗せた全裸のシータンだった。

「・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・。」

「食べていいのか?お腹へった!」

「ちょっと待ってねネコ。」

メアはネコの目を覆いながら抑えつける。

俺、そしてメアは目の前に広がる現状に思考が追いつかなくて黙ってしまった。

一人、ネコだけが空腹を訴える。

「・・・もしもし?どうしましたトールさん?何か不具合でも?」

「シータンって知ってる?」

「あぁ、もちろん知ってますよ。魚の名前ですよね?」

久々に連絡をとった運営のタナカさんは、どうやら覚えていないらしい。

やっぱりお前適当に作っただろ!せっかく可愛かったのに!!

「どうしたの?はやくシータンを食べて。」

「いやいやいやいや!!シータン!!何してるのシータン!!女体盛りなんて!!女体盛りなんて!!おま!この物語R15なのにR18になっちゃうだろ!?」

「ウフフ!ビックリしちゃった?このシータンは食べ物だから。本物なわけないじゃなぁい。お兄様ったら何を想像しちゃったの?エッチなんだからぁ!!」

「必殺ハートブレイクッ!!」

「きゃぁああああ!!!シータァァアアン!!!」

女体盛り、恐らくは魔法か何かでお喋りができるように作られたシータンご飯を俺はでっかいスプーンで顔面から粉砕する。

「ごはんごはーん!!!」

解き放たれたネコも勢いよく、行儀悪く机に身を乗り出しシータンご飯を捕食し始める。

メアは行儀よくナイフとフォークを使って丁寧に両手両足を切り落としながら食べている。

「いやあぁああああああ!!!」

「あぁあああああああああ!!!」

食べ物と本物、二人の断末魔がテーブルを覆う。


波乱万丈、阿鼻叫喚な食後はドリンクを注文した。

「シータンと大人のハートの残り香」(恐らくはカフェオレみたいなもの)をいただいた。

口直しのつもりだったのに、なんだかその名に相応しく舌にベッタリと張り付くような後味だ。

まるでフッた女が実はメンヘラでずっとストーキングをしていて家の押入れとか屋根裏とかベッドの下とかに住み着いてるような

そんなベッタリベットリした鬱陶しい後味だ。

そんな経験、勿論ないんだけど・・・。

恐ろしいドリンクだ!やめておけばよかった!

「そんな青い顔して後悔するくらいならやめとけばよかったじゃない。」

最初から嫌な予感してたんだよな。いや、いい予感のする名前なんて一個も無いんだけど・・・

「だけど怖いもの見たさってあるじゃん?スリルってこういう事なんじゃないかってトールくんは思うわけだよ!だからジェットコースターとか

オバケ屋敷とか皆いくわけ。食事だって同じさ。自分の命を賭ける事になっても味わいたい欲求さ。痛気持ちいい。ってやつ。だからルル様の良さが際立つんだよ。

神様って怖いよなぁ。何故人類にそのような欲を与えたもうたのか。神様ありがとう!ルル様ありがとう!!あれ?俺はいったい何を?」

「こっちのセリフよ。」

とメア。

俺自信も何を口走っていたのか全く理解できない。まさか催眠効果まであったとは!恐怖のドリンクだ!

デバフみたいなものに違いない!!

「酷い!!シータンのドリンク、そんなの入れないもん!!」

「可愛い!!・・・じゃなかった。嘘だね!シータンって魔女っ娘なんだろ?そういうロシアンルーレットみたいな事普通にやってるだろ?」

「違うもぉん!!全部が当りなだけだもぉん!!」

「確信犯じゃないのぉん!!」

そんな風にシータンと楽しくイチャイチャしているとネコが例のドリンクに興味を持って手を伸ばそうとしていた。

「ダメよネコ。劇物と変態は二十歳から。」

なんだそのお酒とタバコは二十歳からみたいなの。

俺が変態みたいじゃないか。正解だ。あとで頭でも撫でてやろうっと。

「まぁ、トールが変なのはパッシブだから・・・。」

「グハッ」

だが、よし。認めよう。俺は変態だ。

何故なら俺はマゾとサドのハイブリッドである。

「サドッ気のある人はシータン大好きですよ!もっともっと虐めて欲しいです!!」

踊りながら言う。

回転しながら言われるとお代官様ごっこしてるみたいな気分になるな。ひっぱるもんなんて無いのに・・・。

とかやってると、突然店内の明かりが一斉に消えた。

シータンや他の店員の衣装も発光するのを休憩している。

隙間から漏れる外の光や非常口の明かりでやっと見えるくらいだ。(これならうっかり手が滑っても問題ないんじゃね?)



広い店内がざわつく。

しかし、生まれる音はとっても小さく。

仄暗い空間を通り過ぎる声も音も、まるで打ち合わせでもしたようにシンっと静まり返った。

嵐の前の静けさのようだ。

「・・・・なんだ?」そう聞こうとしてシータンは俺の口元に人差し指を置いて「シー・・・ッタン」と言った。駄洒落か!可愛いな!

そして、しばらくすると嵐の前の静けさが、まさにその通りと言える有様に生まれ変わった。

とっても暗い店内は、その数秒後、突然生まれてきた爆音と共に眩しく輝いた。

「おらぁあああああ!!!!!いくぞおおおおおおおお!!!!」

怒号も怒号。

中空に浮遊する足場の上で彼女はギターを掻き鳴らしていた。

彼女が髪を振り乱しながら叫ぶと同じに店内に芋詰め状態だったNPC、シータンの仲間達も含めて叫んでいた。

・・・・え、何コレ・・・・ひょっとしてルル様が行ってたのって、コレの事なの?

「そんなんじゃノレねぇぞ!!!!もっと叫べぇ!!!!!」

まさしく嵐のような声とギターの音に殴られる。怒られてるような気分だ。

「どうしたんですか?」

そう訊かれる。

「・・・初見殺しだ・・・」

こういうゴリゴリのロック?とか凄い好きでよく聴くけど、ライブと円盤は別もんだろ。

そして浮遊ステージ故に俺達の居る特別席のすぐ近くまで彼女らは迫ってきたりもする。

肩まで伸びた赤茶の髪を振り乱したり叫ぶように目の前で叫ばれる。

その彼女と目があう。

「ほら、お兄さんお兄さん。腕上げなきゃ。」とシータンに促されるままに

不慣れなノリに付き合う。

こ、こう?という具合に・・・。

「もっともっと、頭振って!ジャンプして!声出さなきゃ!」

もう許してください。トールくんを解放して介抱してください。ボクは無力な引きニートなんです。



『・・・・・・・は?ちょっと何を仰っているのか理解が追いつかないのですが??どういう事なのか最初から適切に述べなさい?つまりどういう意味ですか?』

なんだか久々であるルル様との通話タイムである。

シータンの店をあと、俺は体力的にも精神的にも疲れた身体を休めるべく適当にみつけたベンチにて休憩していたら、

トゥルルルっという恐怖のコールが鳴ったのだった。

ネコとメアは別行動という事で二人で観覧車に乗りに行った。平和だなぁ。

『アナタは、私の与えた仕事を休憩して今現在、私の馬車馬をしているはず。え、それがどういうわけか泥水をすすってでも這いつくばってでもあの方の映像データを

入手するという職務を、あろう事か忘れたというのですか??そう、私のお願いなどアナタからすればその程度であるということなのですね??なるほどなるほど?』

鋭く冷たく、毒々しい声が鼓膜どころか全身の神経を逆撫でする。

いや、逆撫でっていうか鉋とかで削られているような気分だ。

「ひぃいごめんなさいブヒ!!!ほんの不手際でごぜぇます!!どうか私めにもう一度!今一度チャンスをください!痛いのはもうウェルカムです!!」

こんなところでマゾっ気を発揮するな俺!!

『そして、何?あの方が眼前まで来て、目があった・・・ですって・・・?目が・・・?目が・・・メガ・・・ブッコロス!!!』

「ギャァアアア!!怖い怖い怖い!!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

メガ殺されるぅ!!

通話越しでもわかる。ガチギレである。メガギレである。

「あれ?お前・・・・」

不意に背後から声を掛けられる。

一瞬、メガギレしたルル様が、鬼のような速度で店から此処まですっ飛んできたのかと思った。

しかし、そこに居たのはメイド長ではなかった。

しかし、その声の主がルル様ではなくても俺は背後に現れた存在に驚いた。

「お前、さっき特別席に居たやつだよな?」

赤茶の髪の毛を肩まで伸ばした彼女はそう言った。

「さっきは楽しかった。ありがとな。だけど、もうちょいテンション挙げてくれても良かったんじゃないかって俺は思うぜ?その方がロックだろ?」

「え、あ・・・・はい・・・。ごめんなしゃい・・・。」

「あ?」

ひぃい!

「なんでビビってんだよ。別にとって食ったりしてねぇだろ。変なやつだなお前。」

「こ、これがボクのクセ・・・でして・・・。」

キャラが崩壊した。早く帰ってきてもう一人のボク!!

「あ、つか、通話中か。わりぃな。ほんの挨拶のつもりだったんだが・・・。おーい、向こう側の人!すまなかったな!」

『はひゃぁああ!!!』

「・・・・・?」

「・・・・・?」

通話している向こう側から裏返った声が聴こえ、何かが割れる音がした。

もっと言うと野太い声が悲鳴をあげる音声も混じっていた。多分ビリーさん。

いったい向こうで何が起きたのだろう・・・?

『は・・・はわわわ・・わ・・・。あの、いえ、こちゅらこしょぉお・・・。あ、アリガトウゴザイマシュ・・・』

向こう側で誰かがお礼を言っている。

酷く取り乱している。

んー?変だな俺は確かにルル様と通話しているはずなのに、途中で妹のララちゃんと通話を変わったのだろうか?

「えっと・・・ララちゃん?お姉ちゃんはどうしたの?さっきまでルル様とトークしていたんだけど・・・」

『お姉ちゃん?・・・お姉ちゃんですって?ゴミの中のゴミの分際で・・・。私のことをあろう事か「ちゃん」付けだなんて・・・削ぎますよ?』

態度一変!!

削がれる!!

つか、今のルル様だったの?多重人格だったんですかルル様!?

「なんだ?喧嘩か?」

「そういうのじゃないんだけど・・・」

俺はここまでのあらすじを彼女に述べた。

ルル様からのクエスト内容をかくかくしかじかと伝えた。

「なんだ、お前、俺のファンってわけじゃなかったのか。つか、ライブを録画とかすんの犯罪だからアウトなんだけどな?それはいただけねぇぜ?」

『ご、ごめんなさい。』

珍しい。しおらしいルル様である。

俺が言ったところで絶対に聞く耳を持っちゃくれなかったんだろうな。

「まぁ、俺の唄が聴きたいなら王都まで来てくれよ。待ってるからさ」

ガタン!!という何かが倒れる音と共に通話は切れてしまった。

だから、向こうでいったい何が起きているんだよ。


「ところでまだ名前聞いてなかったな。自己紹介といこうぜ。」

「あ、うん。俺はトールって言うんだ。」

「俺は桜ヶ丘恵美・・・・・・・・じゃなくて、メグだメグ。あんまり名乗ったりしないから忘れちまったぜ。・・・・どうした?」

「・・・・・・・・」

キョトンとする。

俺はどうやらちょっとした誤解をしていたようだ。

「ひょっとして、プレイヤーなのか?」

この世界で。

このゲームで現在、ログアウトしていないのは自分だけだ。という誤解をしていた。

「ん?そうだぜ?それがどうかしのか?」


どうやら桜ヶ丘恵美・・・メグもまたログアウトし忘れて閉じ込められた被害者らしい。










こんばんわ。こんにちわ。

楓季な火薬です。

本日は折角、ネコが仲間に加わったのでワチャワチャしてほしいと思って。

このような有様にしました。

並びにメグちゃんやシータンの登場。

世界には色々な女の子がいて、色んなハーレムがいます。

色んな性癖、色んな性格が存在します。

星の数ほど世界の数ほどに無限に。

色んなお気に入りの女の子を見つけてくれたら私は嬉しいです。


また近いうちに更新する予定なので、今後ともご贔屓にお願い申し上げます。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ