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10話~人にものを頼むときは頭を下げるべし!~




人面ナメクジに関しては、既にネコが何匹も捕まえていた。

だから、今更、血眼になって探すようなものでもない。

問題はその他だ。



「えっと、ナキワライのハッシュドキノコとクルシミマスイガグリの核、それからブンゴウドラゴンのダイアの心臓か・・・。どれも、簡単にどっかで買える様なもんじゃねぇだろうなぁ・・・。」

「まぁ、そもそも食用の素材じゃねぇからな。街や村なんかじゃなかなかな・・・。」

俺達はメアの薬の素材を探すべく二手に分かれて捜索する事にした。

中身の居るプレイヤーである俺とメグ。

そして、探索者同士であるメアとネコという組み合わせだ。

「ブンゴウドラゴンのダイアの心臓なんて、どう考えてもボスモンスターだろ。」

「ブンゴウドラゴンの討伐は皆で挑んだほうがいいな。」

という事は残りのキノコとイガグリの探索だな。

「ブンゴウドラゴンはともかく、メグはナキワライのハッシュドキノコとか例のクルシミマスイガグリってやつは見たことあんの?」

「まぁ、あるっちゃぁあるぞ?ただ、やっぱり高級品だからなぁ、・・・・・・2回くらい?」

「・・・・・・・・・・・・」

本当に大丈夫なんだろうか?

しかも、目標はいくつかなんだろう?

1個見つけて終わりとかないだろうなぁ・・・。



しばらく森を歩いていると、変わった模様のキノコがいっぱい生えているところに出た。

「うお!なんじゃこりゃスゴ!!」

適当に赤いキノコを引き千切って鑑定してみる。


~~イカリダケ~~

山やジャングル、森などによく生える一般的なキノコ。

火の素に出来る。又、強い香辛料としても使える。


「なんだ、ハズレか・・・・。」

「まぁ、沢山生えてるんだし、後で売ろうぜ。トール、金持ってないんだろ?」

「それもうだな。」

メグのすすめで俺達は持てるだけイカリダケを栽培する事にした。




そのころ、メアとネコは・・・・。

「ちょっとネコ!いい加減にしなさい!!!」

ジャングルの中で意味もなくひたすら穴を掘っていた。



「で、散々イカリダケを栽培しまくっただけだっていうのね?」

「お前等だって、ただただ穴堀まくっただけじゃねぇか!」

泥だらけのネコは実に満足そうだった。


日も暮れてきていたので、俺達は一度、宿に戻ることにした。

宿屋と言っても、バイト先の宿なのだけど・・・。

「やっぱり、そう簡単には見つからないもんかなぁ。なぁ、メアちゃん、いっそ諦めません?」

「絶対いや!!」

地響きが起きるような勢いで否定された。

「だって、メグでさえ数える程度しか見たことないような高級素材なんだぜ?無理だぜ。」

「勇者を名乗ろうとしてる人がそんな事を言うの!?」

「いや、別に勇者なんて言ってないし!俺が名乗ろうとしたのは悪魔で冒険者ですしぃ!!」

「そういうの屁理屈って言うのよ!!?」


「あの・・・喧嘩はよくないですよ?」

「あ、あぁ、ごめんねララちゃん。もうしないから・・・。」

お盆に紅茶を持ってきてくれたララちゃんは心配そうに、そう言う。

そうだな、あんまり騒ぐとルル様が目をおさましになられて、お冠になられてしまうな。

いやぁ、ララちゃんが止めてくれなかったら、きっとルル様にとんでもない目に合わされていたところだった。

いやぁ、危ない危ない。

「それで、何をもめていたんですか?」


「いやぁ、実は角々鹿々で。」

「んー?ナキワライのハッシュドキノコ?クルシミマスイガグリ?・・・ブンゴウドラゴンのダイアの心臓・・・?高級素材ですね。」

「そうなんだよ。それがなかなか見つからなくってさぁ。」

ララちゃんはキョトーンとした顔をして見せる。

なんて愛くるしい顔をするんだ!反則だぞ!

「ハッシュドキノコなら特殊な育成方法を用いれば、作れるってきいた事がありますよ!錬金術で作るんです!」

「「錬金術!?」」

ララちゃんのその発言に俺とメグを口を揃えて噴出した。

「そうです。ハッシュドキノコもクルシミマスイガグリも、通常の生成方法じゃ出来ないので、調合で生み出してるんですよ!流石にブンゴウドラゴンのダイアの心臓は、ブンゴウドラゴンから入手しなくちゃですけどね。」


「とはいえ、俺達のPTで調合なんて使えるやつ居なくね?メグのは調合じゃなくて錬金だしな。」

雰囲気的に似ているとはいっても、やはり、まったくの別物だというので出来ないらしい。

ウージー先生達も、調合は出来るが、そのスキルにだってランクが存在するらしく。

ウージー先生にはハッシュドキノコは調合できないらしい。

はて、他に調合のスキルが使える人材は居ないのだろうか・・・・。

「・・・・・ぁ。」





豪華に飾られた外装。

くどいくらいにデコレーションがビッシリのログハウスを模したレストラン。

「魔女っ娘シータンのマジックご飯」という看板がデカデカと掲げられている。

「よぉぉおおおおこそお!!!シータンデェェス!!!」

ッバン!!!と扉を破壊しかねない勢いで魔女っ娘店長、シータンは現れた。

「もぉおお!お兄さん、なかなか愛にきてくれないからシータン寂しかったぁん!!なになに!?お兄さんもシータンに愛たくて愛たくて仕方が無かったぁ!?いいの!!何も言わなくてもいいのよぉ!!何も言わずにさぁ!!あがってあがって!シータンの愛の国へ!!」

息つく暇すらなく、グイグイと店内へ引きずり込まれる。

「さぁさぁさぁ!!皆さん!!今日は何!?何を召し上がるぅう!!?」

「あ、あのさシータン!今日は折り入ってお願いがあってきたんだ!」

「えぇ!!?お兄さん!シータンに一体全体!何をお願いしにいいい!?あぁわかった!どうせエッチなお願いしにきたんでしょう!!もうお兄さんったらエッチなんだからぁ!!ダメだよぅ?そういうのはぁ!そういうのは大人になってからぁ!」

そういうのも是非注文したいところだけど今日は我慢して!

「いや、違うんだ!今日シータンにお願いしにきたのは、ちょっと魔法調合をやってもらおうかなぁって思ったんだよ!」

シータンのエッチな誘惑に負けたら、後で皆でボッコボコにされかねないからな!

ここは我慢だぁ!!

「ふぅ~ん・・・・。なぁ~んだ。そんな事だったんだ・・・つまんないのぉ」

シータンはそう言うと俺の身体に巻きつけていた腕を放してくれた。

ちょっと勿体無かたった気もするけど・・・。


「実は、私のスキルを抑制する為の道具を作るのに、ナキワライのハッシュドキノコとクルシミマスイガグリの核と、ブンゴウドラゴンのダイアの心臓が必要なの。だけど、ナキワライのハッシュドキノコとクルシミマスイガグリは調合でないと作れないという噂を訊いたのよね。だから、この街で一番調合のスキルが強いシータンさんに、調合をしてほしいと思ったの。だから、お願いできないかしら。」

そういうとメアは両手を机の上について、シータンに頭を下げた。

そんな姿を見たシータンはシータンで、そういう真面目な空気が苦手らしく、

「そ、そんな風にお願いされると断るに断れないじゃないのぉ。い、いいよ。やるよぉ・・・。」

シータンはなんだか、あっさりとナキワライのハッシュドキノコとクルシミマスイガグリの調合を引き受けてくれた。






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