始まりの日(2)
黒がかった赤髪の少年がたっていた。何で?どうして?私の頭のなかにはクエスチョンマークがたくさん浮かんでいる。すると少年の横に立っている女性が。
「初めまして、紅木優衣よ。よろしくね。」
と微笑みながら言った。すると、隣の少年もつられるように。
「紅木リュウだ。よろしくな。」
顔を見るとかなりカッコいい整った顔に赤髪が似合っていて、柄になく(カッコいい)と思ってしまった。すると、先程の紹介に付け足すかのように、母が。
「隣に引っ越してきた紅木さん。昔おじいさんがここにすんでたんだって。... ほら、すずも挨拶。」
そう言われると、ハッとして。
「は、初めまして、桜田すずかです。よ、よろしくね。」
早口ながらもそう言った。状況を整理すると、公園であった少年は隣に引っ越してきた子で、引っ越してきた挨拶に来たんだろう。と思ったが、母の対応がまるで友達に向けるものだったので、知り合いだということが分かった。昔から母は顔が広くどこで知り合ったのと、聞きたいぐらいの友人の多さだった。それに比べて私は、友達も少ない。学校の休み時間に、親友と話さなかったら、いつも一人で本を読んでいる。いわゆる人見知りというわけだ。なんて、くだらない事を考えていると母から思いもよらない言葉が出てきた
ーーーじゃあこれうちの鍵ね。ーーー
この発言に飛び付いた私は、母に。
「なんでうちの鍵、渡しているの?」
起こり口調ではあるが、小声で言った。
「え?なんでって... 。」母いわく、紅木さんとは高校時代からの友達で、仕事先も一緒だという。しかし、今年から姉が留学してしまい心配だと言ったところ、ならうちも一人だし何かあったときのためにということで話がまとまったそうだ。
「じゃあ、なんで私に言わないのよ。」
納得がいかない、それならそうと、もっと早くにいえばいいではないか。まぁ、そうであっても全力で反対するが。
「あれ?言わなかったっけ?」
忘れていた。この人がとんだ天然だったことを。そして、こうなってしまった以上私にもう勝ち目がないということが決まってしまった。母は運がいいのだ。それこそ宝くじを買えば何かしらのアタリがくる。しかも、自分の思った通りに事を進めることができるぐらいの、とてつもない運の持ち主なのだ。それなのに私は、ことごとく運が悪い。いや、悪いとは、言わないかもしれないが、そこまでいい方でもない。なんて、またまたくだらない事を考えていると、母に呼ばれていたことに気づくのが遅くなってしまった。
「まったくもう、聞いてるの?」
「あ、ごめん。」
見ると、もう、そろそろ帰ろうとしている2つの姿があった。もう、帰るその時に、少年、いや、リュウが。
「よろしくな!」
と、ニカッと笑って帰って行った。元気なやつだなと思い。リビングにもどって、勝てもしない反論を始めることにした。
時間は流れるようにすぎ日付はもう、8日。結局、母には負けてしまったが、もうしょうがないと、軽く流しておくことにした。しかし入学式前の日にしては早く起きすぎてしまった。時刻はまだ七時。私は、服を着替え、スマホを手に取ると、公園へと散歩に向かった。