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格パラ  作者: 福島崇史
154/169

死神の鎌

天地が歪む程に視界が揺れ、堪え切れずマットに膝をついた崇。

「ダウーンッ!」

この試合初めてのロストポイント、それを告げるアナウンスに会場が大きく沸く。

ワ~ン!、ツ~!、、、、

カウントが進む中、崇はリングに座したまま呼吸を整える。

(なんだ?、、何があった?)

左の首筋が熱く疼いている、、、

自分が何故倒れたのか理解が出来ず、回復をはかりながら思考を巡らせた。


その様子をニュートラルコーナーにもたれた大作が見つめている。

そこへリング下から有川が声を掛けた。

「あんな大技、よう決まったな」

「ん?あぁ、距離が良かったからなっ!」

ブレイクが解除され、試合が再開されたあの時、2人の距離は約1メートル、、、

「ファイト」の声が掛かるや否や、大作は柔道の前回り受身の様に体を前転させた。


(浴びせ蹴り)、、、骨法という武術においてそう呼ばれる蹴り技であり、空手にも(胴廻し回転蹴り)という似た技が存在する。

前転する事によって十分に遠心力の加わったその蹴り足が、まさに死神の持つ鎌の如く崇の首筋を襲ったのだった。


距離が良かった、、、大作の言葉通り、再開された時の間合いはこの技を決めるには最適と言えた。

その上、速攻だった事もあり、その蹴り足は難なく崇の首筋へと吸い込まれたのだ。

そして偶然だが、もう1つの幸運が大作に味方をしていた。


ブレイクの為に2人の間に割って入った朝倉。

両者が離れたのを確認すると、ファイトの声を掛けた後で2人の間から身を退いた、、、つまりファイトの声が掛かった時点では、三者が一直線上に居た事となる。

これにより崇にとっては朝倉の体が遮蔽物となり大作の姿が見えない。

そして大作にとっては奇襲の初動を隠す、絶好の隠れ蓑となったのだ。

再開と同時に、全くの死角から襲われる格好となった崇、反応など出来る訳も無く、不様にもその膝を折る事となってしまったという訳だ。


(考えてもしゃあない。倒れたんは事実や、、、)

首筋の痛みこそ未だ残ってはいるが、なんとか呼吸を整え気持ちを入れ替えた崇。

カウント7を過ぎた所でゆっくりと立ち上がる。

対する大作、、、試合開始時は距離があった為に仕掛けられなかった念願の奇襲、それを叶えたとはいえ崇が立つ事は判っていた。


先の浴びせ蹴り、当たりはしたが最も威力の期待出来る踵では無く、少しずれて脹脛(ふくらはぎ)が当たっていた。

その分、破壊力は数段落ちる、、、

もし踵が当たっていたならば、いくら崇であろうと立てはしなかったであろう。

しかし大作は落胆などしていない。楽しい遊びをこんなに早く終わらせたくなど無く、崇が立った事にむしろ安心している様子である。


崇が立ち上がるのを待ってから、ニュートラルコーナーを離れた大作、ゆっくりリング中央へと歩みを進めた。

四角い聖域の中心部で、嗤い合った両者が(おもむろ)に拳を上げて行く。

そして2人が構えを取ったその時、第2ラウンド終了のゴングが打ち鳴らされた。



現状説明

(持ちポイント)

崇・・・4ポイント

大作・・・5ポイント


(獲得ラウンド)

第1ラウンド・・・ポイント差が無かった為、ドロー

第2ラウンド・・・ダウンにより崇が1ポイントロストした為、大作の優勢ラウンドとする。



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