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格パラ  作者: 福島崇史
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「1」を見つけろ

順調に事は進んでいる。

ルールの整備もほぼ終わり、一般公募者の選考も済んでいた。それらは勿論、崇1人の功では無い。

グングニルのメンバーやネットワークの協力あっての事である。

そんな中で1つだけ崇が全く関わっていない項目があった。

それについては大作の一声

「俺に委せてぇな」

を信じ委せる事にしたのだ。


尤もこれに関しては最初からそうするつもりだった。

自分の引退試合の相手を自分で決めるのも変な話だからだ。

しかし大作からは未だ決定の報は無く、少しばかりの不安と焦りを感じていた。

とはいえ元々崇は相手を入念に研究して試合に挑むタイプでは無い。

相手が決まった所で、試合映像すらも見るつもりは無かった。変に相手を知ってしまうと、いらぬ固定観念を持ってしまう、、、それが怖いからである。


どんな相手のどんな技にも対処出来るように備える。

それが座右の銘「常在戦場」の精神の一部でもある。

若かった頃は、その考えが一部では無く全てだったのだが、年齢と共に「常在戦場」という言葉への解釈が変わるに至った。

昔は字の如く、常に戦場に身を置くつもりで、いつでも闘えるように心身を備える、、、それがこの言葉の全てだった。

その想いの元に、尊敬する宮本武蔵の肖像画と共に刺青として背負ったのである。


しかし今はこう思う。

常に戦場に身を置く、、、つまりいつ死を迎えるのか判らない。故にいつ死しても後悔せぬ様に、1日1日を大切に生きろ。

それがこの言葉の真の意味であり、昔の武人、、、鮮烈な時代を生きた先人からの教えなのではないか、、、と。

そしてその教えに沿って生きている今の自分が居る。

実際には大作と優子との出会いのお陰でそう生きる事が出来ている訳で、その想いから2人との物語を文章に遺す決心をしたのだ。

如何せん多忙な為に筆を握れない日々が続いているが、引退後は嫌でも時間が取れるので、そこは焦っても仕方がない。

何より今はラグナロクである。

ラグナロクが終われば自分は指導者ではなくなってしまう。

どうしても、その前にやっておきたい事があった。


指導者として、己の持つコマンドサンボの技術をまだ充分に伝授出来ていない、、、崇はそう感じていた。

確かにグングニルが旗揚げしてからの、短い期間を考えれば当たり前の事であり、残された少ない時間で伝えきれる物でない事は理解している。

技術なんて一朝一夕で身につく訳は無い。

しかし大半の物事の真理は(大から小に到る)である。

恋愛や仕事でも多くの選択肢の中から、淘汰作業の末に「1

」を見つけ出すものだ。


武に於いてもそうである。多くの技術を見たり体験したりする事は絶対に無駄とはならない。

その中から各々が自分なりの「絶対なる1」を見つけ出し、後々それを体得してくれればそれで良い。


崇は翌日から早速動く事にした。

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