最初の脱落者
リング下で俺とケビンは互いに目を合わせ、タッチされなかったことに胸をなでおろし、大きく深呼吸。
リング上では赤鬼が、俺達のコーナーで散々いたぶった後、獲物をリング中央に連れ戻した。
ここで若い方のマッチョがリングに乱入。
相棒を助けようとするが、コーナーから黒人アスリートがトップロープ越しにリングインして、これを阻止。
ベビーフェイス側は連携が取れていやがるぞ。
コーナーで待つタトゥーとアイコンタクトを取った赤鬼が自分のコーナーにマッチョを振る。
そして獲物を逃さぬよう押さえつけたまま相棒とタッチ。
観客がざわめく。
ゆっくりとリングに入ったタトゥーはいきなりアクセル全開のスピードで、もう一度パートナーの救出を試みる若いマッチョの顔面にビッグブート。
そしてコーナーで逃げ場の無い筋肉の塊をクローズラインで押し潰す。
クイックタッチを受けた赤鬼はコーナーポストからダイビング・クローズライン。
再びリングインしたタトゥーが、死に体の生贄の首を捕まえる。
そのまま大きく差し上げてチョークスラム。
レフェリーのスリーカウントが入り、チームが一つ消えた。
ヒールサイドの俺達が共闘して卑怯な作戦でベビーフェイスを困らせなきゃならないはずが、予定は未定にして決定にあらずってやつだなあ。
勝ったタトゥーがレフェリーに手を上げられている。
そして俺達のコーナーを睨みつけ、こちらを指差し喉を掻っ切るポーズ。
次の生贄は俺達ってことか。