緊張感は増す
いよいよ俺達の今後を占う大一番があるPPVが始まった。
セミファイナルだから、出番まではまだ時間があるものの緊張感は増すばかりだ。
対戦相手はこの業界でトップを走っている選手ばかりだし、そう簡単に勝てないのは承知の上だ。
しかし何とかタッグタイトルの挑戦権を得たい。
チャンピオンは団体トップのベビーフェイスが持っている。
そしてその二人が今夜メインで世界タイトルの統一を賭けて戦う。
一人は怪力と無類のスタミナを誇る生真面目な男で子供達にも大人気の選手。
もう一人は超良血の三世レスラーで、生まれながらのセンスと恵まれた体躯で、業界の未来を担うとまで評価されている選手だ。
二人ともベビーフェイスの看板選手で、タッグチャンピオンだけではなくシングルのベルトも彼らが所持している。
どちらが勝っても恨みっこなしのフェアな戦いを宣誓して今夜の統一戦を迎えることになった。
まあいきなりシングルのベルトっていうのも、ポッと出の俺達には敷居が高いから、ここは一つ上手く立ち回ってタッグのベルトをいただく方向でやってみようか。
ちょうどベビーがチャンピオンだし、ヒールの俺達には都合が良いってなもんだ。
緊張はしているが、客観的には追い風を感じてもいる。
楽観的なだけかも知れないが。