サムアップ
スパーリングとは言え、ここで良いところを見せておかないと合格点は貰えないだろう。
ダウンした相手に追い討ちをかける。
リズムを切らずに責め込むところだ。
レッグドロップを落とそうかと思ったが、空手出身で打撃しか出来ないと思われるのも癪だ。
倒れた相手にのしかかりそのままグランドレスリングに持ち込んだ。
学生時代に総格の道場で練習してた事の復習だ。
関節を極めにかかるのではなく、相手の手足の動きをコントロールする方法。
プロレスにはこっちのほうが役に立つな。
しかし向こうも熟練のベテランだ。
強引に力で反発するだけではなく、きちんとデフェンスしてくる。
暫くグランドの展開が続いた後、うつ伏せになった相手の背後が取れた。
アナコンダバイスで締め上げる。
ベテランレスラーの足がロープに届いたところで5分間が経った。
試合終了。
自分の中では、こんなもんだろうという気持ちだ。
緊張することなく戦えたし、基本的な動きや、打撃、関節、どれも無難にこなせた。
今の俺の力量は伝えられたと思うから、満足なスパーリングだったと言える。
相手をしてくれたベテランに礼を言おうと近づくと、タオルで汗を拭きながらサムアップしてくれた。
いいなぁ。この感じ。
やっていけそうな気がするぞ。
この世界で。