十字架固め
今日もまたおっさんレスラーと試合のようだ。この前と比べて大物感のある選手で、背丈は俺より小さいが体重では向こうのほうが上のようだ。
天然パーマかどうかは知らないが、やけに黒い髪でにやけた面してこちらを睨んでやがる。
このおっさん、強そうだけど覇気はあんまり感じない。おそらくほとんど練習していないんだろう。体はごついが張りも無いし、若い頃の貯金だけで今もやってる感じだな。
見るからに体が重そうだし、この前のおっさんよりは戦いやすそうだ。
なめてかかってたのが失敗で、あっという間に倒されて腕を極められた。見掛けによらず動けるようだ。リバースアームブリーーカーからアームシザース、キーロックと腕狙いで攻められた。時折「ほっ」とか「はっ」とか声を出しながらテンポ良く攻めてくる。力は強いし重いし、防戦一方のなかなかしんどい戦いだ。
なんとかヘッドシザースで切り返して少し息を整え、距離を置いてスタンドの展開に持込んだ。
そしたらドロップキックが飛んで来た。この体で跳んで来るなんて凄い身体能力だ。ちゃんと節制してたらとんでもない選手なんだろう。
しかしドロップキック一発で負けるわけにはいかない。もう一発狙ってきたのをかわしてエルボードロップ!
引きずり起こして波乗り固め。背後に回り両手首を取って背骨を足で押さえて絞り上げる中にサーフィンの要素は無いと思うが。・・・
この辺りからおっさんのスタミナが切れ始めたのが手に取るように分かった。こんな技知らんかったが十字架固めでフォールに行くと、何とか返してくるものの「いてて、いてて」と泣きが入る。
初めて使った技だけど、動きを封じてるだけでいったいどこが痛いのかよく分からない。
また自分の意思に関係なく試合が動き始めたようだ。
試合を決めにかかった俺は自らロープに飛んでスピアー。いや両手は自分の体の前に畳込んでいるからショルダータックルだな。そしてドロップキック。ふらふらと立ち上がってきたところにコブラツイスト。首に両手を回すタイプではなく腕を絞り上げるタイプであっという間のギブアップ。
今回は一本勝負なのを確認してからガッツポーズだ。
成り行き任せの展開にも慣れてきたし、この前より試合時間も短くて流れが緩やかだったから消耗も少ない。
年間250試合はやれそうだぞ。