進化
今日はもう一組の俺達がトライアウトを受ける日だ。
俺とケビンは、人事部長に頼み込んで立ち会うことにした。
朝早くから人事部長やロードエージェントやトレーナーも兼ねるベテランレスラーが会場に姿を見せている。
時間になり受験生達が現れた。
俺、ケビン、デビッド、ケリー、エディ、ルークの六人がトライアウトを受ける。
マイクは応援に来ただけだそうだ。
ジェリーとビリーは姿を見せなかった。
予備審査でドクターの問診と身体検査。
ここで衝撃が走った。
俺の身長が198センチもある。
何時の間に5センチも身長が伸びたんだ。
体重も増えている。
対峙した時に違和感を感じたのはこのせいか。
当人意外に同一人物だと気づかれないのも納得だ。
分裂以後、何か激しい変化が起きている。
身長や体重だけではなく、備えている能力が進化しているようだ。
デビッドに至っては220センチを超えている。
ケリーは垂直跳びで120センチ以上跳んだ。
俺に決定権があるならば、この六人は間違いなく合格だ。
しかし選手としての立場から言うと、かなり首の辺りに涼しいものを感じざるを得ない。
確実に自分より能力にある新人が入ってくるのだから。
分裂以降にこれほどの差が出来たということであれば、やはり俺のほうがオリジナルって事か。
何かこっちに優位があることはないのだろうか。
このまま引き下がる気は毛頭無い。
自分のほうが奴より優れている部分を必ず見つけてやるぞ。