ヒートアップ
威勢よくロープに走っては見たものの、俺はノープランだった。
リング中央で交錯しながらリングを往復する。
先に仕掛けてきたのは向こうの方だった。
流石先輩。
リング中央で方向転換し、俺の背後を追って来る。
ロープワーク直後の俺の足元に倒れ込む。
跨いで反対のロープに走り戻ってくる俺の前に仁王立ち。
タックルでぶちかましに行く俺の飛び越えてみせる。
一連の流れという奴だ。
タックルをかわされたまま反対のロープに走り戻ってくる俺にドロップキック。
その場飛びのドロップキックだが、降って来たかのように高い位置からキックが落ちてきた。
ジャンプ力が尋常ではない。
やられっぱなしでいられない。
ネックスプリングで跳ね起きるとジャンピング・ローリング・ソバット。
綺麗にヒットした。
お互いいい所を見せたところで距離をとって睨み合い。
不適な笑みを浮かべてタッチしやがったから、こちらも余裕の笑みを浮かべてケビンにタッチした。
ワンテンポ遅れて飛び出していったケビンが、先にリングに入っていた相手に低いタックルでテイクダウン。
そのまま体重をあずけて肩の関節を極めにいく。
アマレスでは相手の方が実績は上だ。
意地の張り合いのグランドレスリングが続く。
膠着する間も無く動きのある関節の取り合いの後、相手の足関節にたまらずケビンがロープエスケイプ。
離れ際にまたタックルにいったケビンは、今度はのしかかってパンチを降らす。
レフェリーの制止を振り切って殴り続けるケビンに、タッグパートナーが乱入し凄いキックを浴びせた。
俺も負けずにリングに入り四人での乱闘になる。
試合がヒートアップしてきた。
戦いの場は場外に移り乱闘は続く。
椅子やテーブルを使って殴り合い叩き付け合う。
こっちのペースになってきたぞ。