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張り詰めた空気

 店の扉が開くと、そこにはジェリーが立っていた。

少しだけ片方の眉を吊り上げ、怪訝そうな表情に薄い笑みを浮かべ立ち止まった。

一度足元を見つめて息を整えたのかゆっくりとこちらに向かって歩き始めた。

すぐ後にビリーの姿が見える。


 こちらのジェリーが息を呑むのが分かった。

「よぉ兄弟」こういう時に空気を読まずに何かやらかすのはケビンと相場が決まっている。

考える前に体が勝手に動く野郎だ。

こちらのビリーがケビンを制止するかのように前に出て、ジェリーと共にもう一人の自分達に向かって歩を進め始めた。

信心深いデビッドが小さく十字を切っている。


 ガシャーン クワ~ン、クワ~ン、クワ~ン

間の抜けた子供向けアニメの効果音のような音が響き渡った。

ステラが薄いステンレススチールのトレイを床に落としたようだ。

場違いな音を立ててしまったことを恥じ入るかのように落ち着く先を求めてくるくる回っている。

少なくともケビンよりは空気の読めるトレイだ。


 ステラはこの店のオーナー兼シェフのジョンのおかみさん。

口喧しいが面倒見の良い肝っ玉の据わった文字通り大きな女性だ。

しかも結構美人だし。

ただこの場面では少し後ろに下がっていて欲しい。

この期に及んでもし彼女が二人になっちまったら世界征服も夢じゃないような怖いおばちゃんなんだ。


 二組のジェリーとビリーの距離が縮まっていく。

さすがのケビンも大人しくその様子を追っている。

俺達だけでなく、店内の空気も張り詰めているのが手に取るようにわかる。

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