いつもの店
今夜は仲間達が集まって皆でプロレス観に行くってことで、仕事を午前中で切り上げた。
集合場所のケビンの家に行くとそこにはすでに2台のスポスタと隼が停まっていた。
デビッドとケリーの兄弟と、見慣れない隼はきっとマイクだろう。
この三人は特にケビンと中の良かった連中で、この前の俺とケビンが出て来る生中継も一緒に観ていたメンバーだ。
デビッドは2メートルを超える長身、牛や馬相手に人間と同じように話する。
その弟のケリーは陸上十種の州記録の持ち主、草や花の気持ちが分かるらしい。
マイクは父親のバイク屋を手伝うようになってから、業績を一気に上げたビジネスマンだ。
並べてバイクを停め家に入ると、四人はコーヒーを飲みながら駄弁っていた。
俺もコーヒーブレイクに仲間入りしようと歩み寄った時に排気音が聞こえてきた。
ジェリーのモトグッチだ。
大学で教鞭をとるネイティブアメリカンのジェリーは俺達の良き兄貴分でもある。
続いてエディとルークのアフリカ系コンビが到着。
エディは父親の仕事の関係で日本で生まれた後、世界中あちこち転々としたから地球人なら誰とでも会話が出来る特技を身に付けたSEだ。
ルークは大道具の仕事をしているから、材木と塗料があれば大概の物は創っちまう神様みたいな奴。
最後にビリーがやって来た。いつもそうなんだ。皆が揃うのをどこかで見てたかのように最後にやって来る。
いつも冷静沈着な弁護士でスーツかライディングウェアしか持っていないと言う噂がある。
全員揃った。
せっかくだから少し流そうぜって話になり、いつもの店に向かってエンジンに火を入れた。