変な奴ら
ケビンと二人でここ数ヶ月のまとめをしていた。
どうもこのひと月、俺の記憶がかなり飛び飛びになっている。
現実は受け入れるが、何でこうなっているのかがどうにも思い出せない。
話をしながらのんびりしていると、聞き覚えのあるバイクの音が聞こえてきた。
ハーレーにドカティ、ホンダにビモータ、モトグッチまでいる。
ジェリー、エディ、ルーク、ビリー、デビッド、ケリー、マイク、皆相変わらずのようだ。
店の前にバイクを乗りつけるとにぎやかな連中がなだれ込んできた。
最年長のジェリーはV型エンジンってのは正面から見てなんぼだとモトグッチに乗り続けている変な奴。
エディは一番強いのはホンダの造るバイクなんだと言い張る変な奴。
ルークはビモータこそが究極のマシンでそれ以外は考えられないらしい変な奴。
ビリーはドカティでダートのレース走る変な奴。
デビッドとケリーはスポスタ改造してレプリカマシン追い回すのが趣味だって言う変な兄弟。
マイクはバイク屋の倅でいつも違うバイクに乗って来る変な奴。今日は隼で登場だ。
変な奴らばかりの集まりだが、ちゃんと働いて税金払ってる善良な市民ばかりなのが俺達の取り柄。
思い切った商売やりだしたのは俺とケビンくらいだ。
そもそもバイク乗りやプロレス好きなんてのは基本的に変な奴だとは思うが。
久しぶりに全員揃った色気の無い集団は、それぞれが勝手に言いたいことを言っている。
結論なんか無い話を繰り返していたときだった。
十台くらいのバイクの集団が店に近づいてきた。