親父登場
なんだか病室が騒がしいと思ったら、親父が来たようだ。
お袋から知らせを受けて帰国したのだろう。俺に向かって馬鹿だのドジだの言ってやがる。心配かけた手前仕方ないけどちょっとくらい反論したいぞ。
そもそもこの親父は商社マンで俺が高校2年のときに単身赴任で渡米したんだけど、大学卒業間際に脱サラして自分で会社立ち上げたからちょっと手伝えって事で、アメリカに呼びつけやがった。
それから3年こき使われた。幸いなことに仕事は順調で良い生活はさせてもらったけど・・・
大学卒業を控えて、いつも顔を出してたプロレス団体からウチへ来ないかって話しもらってたから、俺もいよいよプロのプロレスラーかなんて思ってた矢先の後ろ髪引かれながらの渡米だったけれど、それなりに充実した時間を過ごせた。
子供の頃から親父と二人で何かするのは面白くて好きだったからなぁ。
考えてみると、高校時代のラグビーもそれなりに勝ち上がってこれからって時に、同校生徒の不祥事って奴で行き場なくしてた頃にプロレスと出会った訳だし、そのラグビーだって小学校の時にやってた空手を中学になっても続ける気でいたんだけど、たまたま担任の先生がラグビー部の顧問で巧く乗せられてしまったって感じだ。
転機になるとなぜか風が吹くんだ。残念なことにそれが追い風だったことがない。でも結果的に向かい風でもないんだけれど。