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ご機嫌いかが
ぐっすり眠れたおかげなのか、やけにすっきりした目覚めだ。
病室には誰もいないようで、のんびり考える時間がある。
自分がこうなってどれくらいの時間がたったのだろう。
ぼんやりしていると足音が近づいてきた。
看護師さんが来たようだ。
何の反応も無い俺に向かい「ご機嫌いかが」と声をかけてくれる。
おぉこの声は、一番お気に入りの看護師さんだ。
今日は寝覚めが良いぞ。
どんな人なんだろう?
本当に眼が覚めた時には「ご機嫌いかが」と聞かれるまで眠ったふりをしておいて、「おはよう」と言って起き上がって驚かしてやろう。
勝手に好きな女優をイメージしたりして楽しんでいる。
これは夢じゃなくて妄想だな。
脈も体温も正常。
いつもと変わりなく時間だけが過ぎて行く。