やりなおし
ようやくこちらの事情を説明できそうな雰囲気になったみたいなので、頭の中を整理しながら話し始めた。
俺の前にいる三人は全身逆鱗だらけのようだから、言葉を選んで慎重に話さないと。
「まず・・・」
話し始めた途端にまた新展開だ。
向こうから男が一人走ってくる。今度はバイクでもなく車でもなく自分の足で走ってくる。
その姿はなんだかどこかで見たような気がする。
と思ったのもつかの間で、近づいてくるのはアメリカに住んでいた頃の友達のケビンだった。
この男、俺とは似たもの同士と言うか、背格好も似ているしバイクやプロレス等趣味も似ていて気のあう奴だったが、何でこんなところに出てくるんだろう。
息を切らしながら駆け寄ってくると「置いてけぼりは無いだろ」ブッカーの親父に言い放った。
そして、赤鬼に向かって「俺のバイクは?」
そう言やあのビューエル、ケビンののバイクだわ。
思い出したぞ。190超えた図体でそんなちっちゃいバイクに乗ってどうするんだとよくからかったものだ。
ケビンは息を切らしながら、今度はタトゥーの男に向かっていった。
「すんません、俺のダチがやらかしちまったみたいで。」
「ちょっと待て」ケビンに話しかけようとしたタイミングで五人がそれぞれ何か言おうとした。
またややこしくなってきやがった。このままじゃまとまるものもまとまらない。
タトゥーの男が少し語気を強めた「あのな」
これで誰も話せなくなった。
「いいかお前ら」「いつまでも御託並べてないで自分の仕事に戻りやがれ」
俺に向かって「小僧、てめえはこれで沈むのは勿体無い。今度はヘマすんじゃねえぞ。」
ほかの連中に「やりなおしだ」
流れ的に俺は赤鬼と一緒にトーラスワゴンに乗り込むことになった。
また拉致られんのかよ。