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嫌な展開
振動の収まったバックミラーで後続車を確認してみる。とそこに映っていたのはビューエルだった。
ハーレーのエンジンを積んではいるが、車体はスポーツモデルそのもので、峠に入れば日本やイタリアのそれのようなマシンだ。
1200ccの排気量にしては極端に小さいマシンから大柄なライダーがはみ出して見える。
展開的にはタイタンのライダーが追ってきたものだと思っていたが、どうもそうではないようだ。
路肩に寄せてバイクを止める。
やはり後続のバイクも並ぶように止まった。
こちらに近づいてくるのは、やはり俺を墓穴に投げ込んだ奴とは別人だった。
今度の奴も馬鹿でかくて、タトゥーこそ無いが体も分厚くむしろこちらの方が強そうにも見える。
スキンヘッドが近づいてきた。口元には不気味な笑みが浮かんでいる。
正面に立ち俺を見下ろして「小僧、いい度胸してるじゃねぇか」。
嫌な展開だ。