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夢の話
どうやら時間は今お昼過ぎのようだ、外から見ると眠ったままのように見えるかもしれないけれど、実際のところはそうでもなくて、聞き耳を立てている時もあればぐっすり眠っている時もある。
夢だってしょっちゅう見ている。
暗い川原で子供が石を積んでる事もあれば、向こう岸から爺ちゃんが帰れって言ってる時もあるけど、そんな夢みたいな夢ばかりじゃなくて、現実的な夢ってのもおかしいけれど、さっきまで見ていた夢なんて仲間達と泳ぎに行って焼きそば食べていた。
お袋が話しかけてくれるのを聞いたり、看護師さんの会話に耳をそばだてたり、今日は誰が見舞いに来てくれるのかを待っているのもいいけど、それだけじゃやっぱり間が持たないと思う。
夢のおかげで精神崩壊しなくてすんでいるんだろうなあ。
夢の中ではしっかりものを見ることも出来るし、食べたものの味だって分かる。
みんなに伝えることは出来ないけれど、俺の中では自然な感じで時間が流れている。
そう言えば確かに元気に生活していた頃にはこんなに夢をみることはなかった。