表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/115

チョークスラム

 何気なく奴の右腕が動いたかと思うと次の瞬間俺の喉元に向けて伸びてきた。

とっさにその手首を両手で掴んだが重力など無いかのようにふわりと体が浮き、さっきまで見上げていた奴の顔を見下ろすことになった。

しかしそこに視線は無く、それはついさっき這い上がってきたばかりの墓穴に注がれていた。


 またあそこに投げ込まれるのかと思った次の瞬間、もう俺の体は投げ捨てられ落下を始めていた。

しかし、ほんの数メートルで到達するはずの墓穴の底ではないどこかに向かっているかのようにいつまでも落下が続く。

体が感じるスピード感からするとかなり深い穴を落下しているように思える。

果てし無く深い奈落の底を想像し始めた時に背中に衝撃が走った。


 俺の背中を受け止めたのは穴から出るときに足場にした棺桶の蓋だった。

あれだけ長く感じた落下の時間は何だったのだろう。


 さっきから時間の流れ方がおかしくなっている。

ほんの数秒間の出来事を何分にも感じてしまうことが何度かあった。


 不思議な感覚に浸っている暇は無い。土が降って来たからだ。埋めようとしていやがる。

もう一度棺桶の蓋を足場に外へ出ようとした。

目の前にシャベルが振り下ろされたのでそれを掴んで引き寄せた。

奴は不意を衝かれて体勢を崩した。

その隙に穴から這い出た俺はバイクに向かって必死で走った。


 やはりそうだった。

時間の流れ方はやはりおかしかった。

世の中と俺との時間がシンクロしていない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ