一触即発
ボス的存在のハリーを先頭に俺達爆音軍団はリングに上がり陣取った。
まだ状況が飲み込め無いで、戸惑いを隠せないタフガイ。
いきり立つサラブレッド。
右往左往するレフェリー。
リングの中央に歩を進めたハリー。
肝っ玉の据わった野郎で運動神経抜群の精悍な男だ。
小汚いのに何故か爽快感の漂う不思議なオーラをまとっている。
少し後ろでマックスはいつもの薄ら笑い。
俺達四人がその後ろを固める格好だ。
レフェリーを押しのけ長身のアスリートが、ハリーの前に立ちはだかった。
視線を落とし睨みつけてくる。
こちらまで妖気が漂って来て気分が悪くなってきた。
なんとかこの場を収めようとするレフェリーと、まだ状況に対応しきれないでいるタフガイを引き連れて俺たちを退治しようってな勢いだ。
通路は爆音軍団の連中が制圧しているから応援は来ない。
にも拘らず奴は自分ひとりで俺達全員抹殺できると確信しているようだ。
ハリーとマックスがどの程度の男かまだ良く知らないが、俺達四人も捨てたもんじゃないぞ。
誰だと思ってやがる。
引く気はこれっぽちも無い。
一触即発、どちらも引くに引けない局面。