表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/115

五月蝿いなんてもんじゃない

 体も温まってきた頃だ。

序盤の探りあいからそろそろ試合が動く時間帯。

なんてことを思っていた時だった。


 なんだか騒々しい音が近づいてきた。

いや間違いなくそれはバイクの排気音だった。


 だんだんと大きくなるその音は、まったく統制の取れない騒音としかいえない代物だ。

どいつもこいつも景気良くアクセルを開けてはいるものの、全く音が流れない。

といって、ニュートラルで空吹かしをしているわけでもない。

低いギヤでエンジンをフル稼働させて、半クラッチのテクニックを競い合ってやがるようだ。


 じわじわ大きくなってくる騒音が遂にモニターにその姿を現した。

屋根のあるところで一斉にエンジンかけるなよ。

五月蝿いなんてもんじゃない。


 ぞろぞろ出てくる連中は、最後方が登場するまでにリングを取り囲み、エントランスをも埋め尽くした。

先頭のマシンがエンジンを止め、ライダーが片手で大きく合図を送った。

次々と停止したバイクが息を潜めていく。

しかし最後のマシンがその排気音を止めるまでには時間を要し、爆音が収まる頃には、その場に居合わせた全ての者が耳鳴りを共有することになった。


 リング上の三人の男達のみならず、皆が呆然とし、誰一人音を発する者はいなかった。

爆音が去った後、無音の時間が訪れる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ