観戦
速攻でシャワーを済ませ、ケビンと二人で舞台裏のモニターでダブルタイトルマッチを見ていた。
レフェリーが両者をコーナーに戻し、試合開始のゴングを要請した。
静かにリング中央に進んだ二人は、視線を合わせ、お互いニヤリとした後、一呼吸おいてロックアップした。
タメの取り方が何とも言えん。
気がつくと、さっきまで同じリングで戦っていたアスリート二人も同じモニターに食い入っている。
序盤の戦いは互いに様子を窺いながら自らの体を解している。
いつもより、少しゆっくりしたペースでシフトアップして行こうって展開だ。
それでも観客には退屈させない小技が時折繰り出され、レフェリーを含む三人が全てが団体を代表するトップスターだと思い知らされる。
この試合に尺を取る為に、俺達の試合が中途半端な終わり方をさせられたのか?
どうにも複雑な感情が沸いてくるぞ。
しかしここは、ケビン的に、深く考えずに目の前の試合を楽しむべきだよな。
派手な空中戦や、スパーリングの延長のような関節の取り合いがあるわけではないが、「勉強になる」という意味合いもあって、目が離せない戦いが淡々と続く。