幕切れ
レフェリーにエプロンに戻され、成す術も無くいたぶられるケビンを見守る。
レッグロックと逆エビ固めを合体させたような関節技を極められ、ケビンはもう半ば意識を失っている。
レフェリーの制止をかわすために、頭上を飛び越えて俺はスワンダイブ式のカミカゼアタック。
どうにか技は解けた。
自軍にケビンを連れ戻さなくては。
自力で動けないケビンの脚を持って引きずり始めたものの、敵の相棒も黙っては見ていない。
どえらい勢いで向かってくるとクローズライン。
俺は場外まで叩き出された。
そして勢い余って奴も場外で転がる俺の上に降ってきた。
試合の権利のある二人はリング内でダウンしている。
参戦権の無い二人は場外で揉み合っている。
レフェリーはカウントを取る以外にやることが無い。
相当ゆったりしたカウントだが、10まで数え終わりやがった。
残った2チームがカウントアウトで引き分け。
まあなんとも、すっきりしない幕切れだ。
タッグタイトルの挑戦権はどうなるんだ。
不透明なままだが、とりあえずメインイベントを早く見たい観客も多いことだし、ここは一先ず流して結論は先送り。
ジェネラル・マネージャーが次の通常放送で結論を下すってか。
そして団体の看板二人が雌雄を決すべく、これからリングに向かう。
エントランス・テーマが流れ始めた瞬間、もう俺達のことを覚えている観客なんて一人もいない。