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社内編04話

――揃ったものは、疑われない。

チャイムが鳴る。

課長が立ち上がる。

「今日は飲むぞー!全員参加な!」

いつもの声。

強制。

誰も逆らわない。

――夜。

店内。

騒がしい。

声。

笑い。

グラスの音。

席が埋まる。

料理が並ぶ。

酒が回る。

「最近さ」

どこかの席。

「変わったよな」

「何が?」

「詰まらなくなった」

頷き。

「判断で迷うこと減ったよね」

「ミスも減ったし」

「てか、ほぼ出ない」

笑い。

軽い。

相沢。

グラスを持つ。

「……結果が揃ってる」

誰かが言う。

「いいことじゃないっすか」

当然。

相沢は少しだけ間を置く。

「……揃いすぎてる」

一瞬。

止まる。

「はは、何それ」

すぐに笑いに変わる。

「いやでも、前より楽なのはガチ」

「余計なパターン減った感じ」

「そうそう」

“余計な”

誰かがそう言う。

相沢は視線を動かす。

長瀬。

端の席。

会話に入っていない。

ただ、飲んでいる。

「それって誰がやったんすか?」

視線が集まる。

相沢。

「……長瀬」

止まる。

「え?」

「マジで?」

「何してた?」

「見てたけど、何もしてなくね?」

笑い。

「だよな」

長瀬は何も言わない。

グラスを持つ。

飲む。

「冗談でしょ」

誰かが流す。

「相沢さんがやったんすよね?」

納得の空気。

相沢は少しだけ言葉を探す。

「……違う」

それだけ。

誰も拾わない。

課長が手を叩く。

「そんな話どうでもいい!」

強く。

「結果出てんだろ?」

正論。

「それでいいじゃねぇか」

笑う。

空気が決まる。

「出来るやつがやればいいんだよ」

課長。

「出来ないやつはついてけばいい」

笑い。

誰も否定しない。

長瀬がグラスを置く。

そのタイミングが。

会話より、少し遅れる。

「再現しただけだろ」

小さく。

一瞬。

止まる。

「……は?」

「何それ」

「意味わかんねぇ」

笑い。

流れる。

誰も拾わない。

相沢だけが黙る。

“再現”

その言葉だけが残る。

時間が進む。

会計。

人が減る。

長瀬は先に立つ。

何も言わず。

外へ出る。

残る。

課長。

別の席へ移動。

二次会。

少し静か。

「でさ」

課長が笑う。

「なんで長瀬選んだと思う?」

「いや……」

「わかんないっす」

課長が指を立てる。

「簡単だよ」

「差を出すためだ」

沈黙。

「出来るやつが目立つだろ?」

笑う。

納得。

誰も疑わない。

グラスの中。

液体が揺れる。

ほんの一瞬。

遅れて戻る。

誰も見ていない。

「まあいいか」

課長。

笑う。

話は続く。

誤解も。

そのまま広がる。

正しいものは。

どこにも残らない。

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